良質なコンテンツと計画的な導線設計で確実なユーザー育成へ
現場を巻き込み、営業、技術、マーケが協調できる場としてワークショップに着目
サイバネットシステム株式会社は、CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアの販売、導入コンサルティング、技術セミナー、受託解析など、CAEのトータルソリューションを提供し、「ものづくり」に夢と情熱を傾ける人たちをサポートすることに夢と情熱を傾けています。
ロフトワークが支援したのは、同社の取扱製品であるCAEツールのサイトリニューアルです。それは、CMSを使わずに1,000ページ規模のサイトを一新するという珍しいプロジェクトでした。担当ディレクターの田中裕也と村田真純が、サイバネットシステム株式会社の三宅毅氏、宮本千恵氏、河村昌保氏へのインタビューを通じて、成功要因に迫りました。
田中(ロフトワーク):まずリニューアルの背景からお話しください。
三宅(サイバネット):プロジェクトの目的はリードを増やすことでした。4、5年前にリードナーチャリングというキーワードに出会い、Webを回遊してもらうには魅力的なコンテンツを数多く揃える必要があることを知り、一年に何百ページと追加してきました。しかしこれまでのWebサイトでは結果的に、とても回遊できる状態ではなくなっていました。幸いWebからの売上が伸びつつあり、前回のリニューアルから時間も経っていたので、さらなるリード獲得のために、リニューアルを決めました。
田中:当社の提案の決め手は何でしたか。
三宅:ワークショップです。マーケティング部門だけで意見を出し合っても、ツーカーの仲では限界があります。プロジェクトに営業と技術のスタッフを巻き込み、現場サイドの意見を集約しながら、うまく協調できる形がベストだと考えていたので、ワークショップの導入に期待しました。
リニューアル方針策定書で、目指すサイト像を確実に共有
田中:製品のターゲット層が幅広いので、関係部署間で共通のユーザー像を持つことがサイトを構築する上で重要だと考えました。そこでまず、リニューアル方針を改めてヒアリングするために、アンケートを実施し、部署間でユーザー像に微妙なズレがあることがわかりました。この刷り合わせを目的にワークショップを設計したのですが、実際に参加していかがでしたか?
宮本(サイバネット):営業と情報交換する機会はなかなかなく、「言わなくてもわかっているだろう」と思っているところもありました。ワークショップでお互いの考えていることが可視化され、改めて整理できたように思います。これは全体を通して言えることですが、ロフトワークとのプロジェクトはコミュニケーションの量が多く、もやもやした状態で次に進むことがありませんでした。
田中:ワークショップ実施後は、報告書をまとめると共に、ワークショップでのアウトプットをもとにリニューアル方針策定書を作成しました。これは関係者間でリニューアルに向けた共通認識を持ち、コミュニケーションを円滑に行うことを目的としています。プロジェクト中は常に指針としていたのですが、お役に立ちましたか?
三宅:導線設計が明確化されましたね。ドキュメントをベースにメンバー間の意識を刷り合わせていけたので、プロジェクトの途中でコンテンツや導線の抜け漏れにお互い気付くことができたという意味でも有用でした。
村田(ロフトワーク):1,000ページ規模のサイトリニューアルにCMSを使わない選択も珍しいですよね。
三宅:他部門もCMSは未導入なので、レギュレーションが変わってしまうという懸念から、htmlベースで進めることにしたのです。SSIや自社開発の簡易CMSを活用すれば問題ないだろうとの判断もありました。
村田:これだけのページ数を移行する場合、CMSを使っていても、問題がでてくることが多くあります。今回は、見出しやテキストなど新しいページを構成するために必要な要素を先に作り込み、コンテンツを入れていくという流れを先に決め、移行範囲についても事前合意が取れていたので、大きな混乱なく作業を進めることができました。流し込んだあとの微調整ではやや工数がかかりましたが、河村さんや三宅さんのチェック体制とスピード感が素晴らしく、我々もエンジンの回転数を上げて必死で付いていきました。
訪問者数、インバウンド数などが軒並み2ケタアップ、問い合わせの質も向上
村田:リニューアル効果は実感されていますか?
三宅:訪問者数、インバウンド数などが軒並み2ケタ%ほどアップしています。CMSを導入できないなら、せめてCMSらしい動きを組み込もうと今回導入したサイト内検索の機能を使って、サービスページに関連キーワードのリンクを表示するようにしたので、回遊率はさらに上がっていくだろうと期待しています。何より問い合わせの質が上がり、次につながる具体的な問い合わせが増えました。
田中:導線を整理したこと、直帰率を下げる施策を行ったことで、豊富にある良質なコンテンツに到達できるようになったのは大きな成果でしょう。加えて、商談の確度を上げることに成功しているのはコンテンツの力に他なりません。運用面の変化はありますか?
河村(サイバネット):旧サイトは事例が散在していたり、レイアウトパターンが複数あったりして、運用側も把握しきれておらず、更新依頼が来る度にどのように作るか頭を悩ませてきました。リニューアルを機に複雑化したサイトが整頓され、レイアウトパターンもテンプレート化されたので、更新作業にかかる時間は大幅に短縮されています。リニューアルに際しては修正ポイントや確認すべきことが大量で不安もありましたが、オンラインサービスを使った確認フローや役割分担が常に明確だったおかげでスムーズに進行できました。
宮本:技術部隊からの事例の掲載依頼件数が増えており、更新担当者は嬉しい悲鳴です。みんなでWebをよくしていこうという意識が高まってきている証拠です。ワークショップやリニューアルの経験を通じて意識合わせができたからこそ、今があるのだと思います。
田中:今後は展開としてはどのようなことをお考えですか?
三宅:とにかく良質なコンテンツを増やすことを優先的に行いたいです。コーポレートメッセージに、お客様にとっての“First Contact Company”を掲げるているように、”最初に”当社のサイトを見てもらい、リードにつなげていくことが目標です。マーケティングオートメーションツールとの連携も視野に入れています。
田中:顧客との中長期的な関係づくりにWebがどう役立っていくのかは、大変興味深いところですね。本日はありがとうございました。
※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。
お客様の声
サイバネットシステム株式会社メカニカルCAE事業部 マーケティング部 販促グループ マーケティング担当
三宅 毅氏
ロフトワークを選んだ決め手は、ワークショップです。プロジェクトに営業と技術を巻き込み、現場サイドの意見を集約しながら、うまく協調できる形がベストだと考えていたので、ワークショップの導入に期待しました。ワークショップ後に作成されたリニューアル方針策定書では、導線設計が明確化されただけでなく、このドキュメントをベースにメンバー間の意識を刷り合わせていたので、プロジェクトの途中でコンテンツや導線の抜け漏れに気付くことができました。
サイバネットシステム株式会社メカニカルCAE事業部 マーケティング部 販促グループ マーケティング担当
宮本 千恵氏
ワークショップでお互いの考えていることが可視化され、改めて整理できたように思います。これは全体を通して言えることですが、ロフトワークとのプロジェクトはコミュニケーションの量が多く、もやもやした状態で次に進むことがありませんでした。リニューアル後、みんなでWebをよくしていこうという意識が高まってきています。ワークショップやリニューアルの経験を通じて意識合わせができたからこそ、今があるのだと思います。
サイバネットシステム株式会社統合管理統括部 コーポレートマーケティング部 販促支援グループ
河村 昌保氏
旧サイトは事例が散在していたり、レイアウトパターンが複数あったりして、運用側も把握しきれておらず、更新依頼が来る度に頭を悩ませてきました。リニューアルを機に複雑化したサイトが整頓され、レイアウトパターンもテンプレート化されたので、更新作業にかかる時間も大幅に短縮されています。リニューアルに際しては修正ポイントや確認すべきことが大量で不安もありましたが、確認のフローや役割分担が常に明確だったおかげでスムーズに進行できました。