鈴与鈴木社長×Takram田川氏×林千晶
「“空間”と“地域”から紐解くこれからの働き方とデザイン」
こんにちは、PR尾方です。2020年1月22日(水)鈴与株式会社本社5階CODOにて、「“空間”と“地域”から紐解くこれからの働き方とデザイン」が開催されました。
鈴与株式会社は、2018年5月よりオフィス改革プロジェクトを実施。今回のイベント会場となったCODOのリニューアルに取り組みました。また働く環境の変化がきっかけとなり、社員の意識改革の促進を目指した社長直下の特別プロジェクト「SIP(シップ)」もスタート。ロフトワークは、空間リニューアルとSIP、両方のサポートを行なっています。
今回は、SIPの活動の一環として、オフィス空間改革、働き方改革の取り組みについて社内外に広く共有するイベントを開催。
イベントには鈴与株式会社代表取締役 鈴木 健一郎氏、鈴与がオフィシャルクラブパートナーとしてサポートしているJ1清水エスパルスのクリエイティブディレクター、Takram代表 田川 欣哉氏、弊社代表 林 千晶の3名が登壇。空間がもたらす効能、デザインはどのように経営に影響を与えるのか議論を深めました。当日の様子をダイジェストにお届けします。
(イベント写真:中込 涼/空間写真:長谷川 健太)
偶発的な対話から価値は生まれる
リニューアルしたCODOを見渡しながらイベントがスタート。これからの時代に求められる空間の特性について議論を深めました。
林 「今回リニューアルしたCODO、すごくオープンですよね。これからの時代は、こういったオープンでコミュニケーションが生まれやすい空間が求められてくると思うんです。私自身、意図しない出会いから、気づきを得ることが多くあります。偶発的な出会いをいかに仕掛けられるか。そこから生まれるタスクの方が重要なのではないかなと思います。」
鈴木 「まさにそうなんです。自分の世界に閉じこもるのではなく、何をやってるんだろうと他のメンバーの活動を覗いてみる。そこで話を聞いて、自分が学んだり、ときにはアドバイスをさらっと言い合えるような環境を実現していきたいと思っています。きっとそこから新たな気づきや、発想が生まれていくと思うんです。」
田川 「パソコンがなかった時代は、周りがどんな仕事をしているか外から見てわかったんですよね。『何やってるの?』と話しかけられる環境でした。今のようにパソコンで作業をやってると、周りが今何やってるかわからない。だから声をかけない。会話が生まれず、発想も生まれない。これによって生産性が下がっていっているんです。
ある企業では、オフィスの真ん中にスペースを作り、新商品のパッケージデザインを必ず置くというルールを設けています。自然と会話が生まれる仕掛けがあることで、議論が起き、実際にそこで話された内容が商品開発に反映され競争力を高めているという事例もあります。
自分たちがやっていることを共有しやすいオープンな環境を作った上で、会話が生まれる仕掛けをつくり、化学反応をいかに起こしやすくできるかが重要になってくると思います。」
これからの経営は、右脳に響く活動が鍵となる
今回の空間リニューアルは、デザインの視点を取り入れた事例でもあります。2018年5月経済産業省・特許庁から公表された「デザイン経営宣言」の起草メンバーでもあるTakram田川氏と弊社林。経営力を高める手法として注目されるデザイン経営の視点からも今回の事例について紐解いていきました。
デザイン経営宣言
経済産業省・特許庁は、デザインによる企業の競争力強化に向けた課題の整理と対応策を検討してきた内容をまとめ、2018年5月に「『デザイン経営』宣言を公表。
▼デザイン経営宣言(PDFデータ)
https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf
これからの時代は、右脳と左脳の両方を使う経営が求められていると林は言います。
林 「デジタル化が進んだ現代、正しい計算は、コンピューターに任せればできてしまいますよね。AIも発達する中で、well-beingが注目されるように、楽しいであったり、幸せだと感じる体験を追求したり、新しい発想を生み出せるかが人間に求められる時代がきています。人間は、右脳と左脳のバランスを取りながら生きていますよね。これからの経営もそれが求められてきます。左脳的な視点だけでなく、人がどう感じるかといった右脳の要素も取り入れていくことが必要。それを可能にするのがデザインなんです。」
「デザイン」の定義について、田川氏は『統合思考』と『ヒューマンファクター』の2つの要素が組み合わされているかどうかと語ります。
田川 「細分化され硬直化した組織においては、各部署が自分たちのことだけを考え意見を言い合ったり、サービスの先にいる顧客のことを無視した議論がなされてしまうことも少なくありません。これからよりよいサービスを生み出していくには、組織をまたいだ『統合思考』が必要です。
また働く人、そのサービスを利用する人といった、『ヒューマンファクター』についての視点も重要です。機能性だけでなく、それを使った時にどう感じるのかも考える。たとえば、今回の空間だと、機能性で考えれば、収容人数は何人、遮音はされてるかといった話になりますが、この場所にきて心地がいいか、といった感覚についても考え、設計することがデザインにおける大切な要素です。」
鈴木 「私自身も、これからの経営は、左脳的なアクションだけでは厳しいと感じています。この会社が好き、ここで働き続けたいというような右脳に響く取り組みを進めていかなければだめだと思っています。このスペースをきっかけに、右脳に響くようなことをどんどん仕掛けていきたいなと思います。」
小さな変化が、未来をつくる
最後は、今回の取り組み、イベントに対してそれぞれのメッセージで締めくくりました。
田川 「未来って何だろうと考えた時に、日々の少しずつの変化なんですよね。地域の未来ってどうやって作っていくかっていうと、誰かが変化を作っていかないといけない。この空間は、その変化の大きなきっかけになると思います。ぜひ社員の方々にも自分には何ができるかなと考え、変化をたくさん起こしていってほしいなと思います。」
林 「場が変わって、一番変わって欲しいのなと思うのは、ここを使う人たちです。
この空間を作ることができたことは、本当にすごいこと。なかなかこういった空間って作れないものなんですよね。
この変化を応援したいと思う社員の人たちに全力で頑張ってほしいなと思います。ぜひこの輪を広げていって欲しいです。」
鈴木 「この空間をつくったことで、今回お二人がきてくれて、このイベントを開催することができました。鈴与の磁力が上がったということなんじゃないかと感じています。ここで出たような話をひとつひとつ実現していき、変化を起こし続けていきたいと思います。
そして今日来てくださったみなさん含め、一緒に鈴与を、そして清水静岡を変えていきたいと改めて思いました。今日はありがとうございました。」
質疑応答では、参加した社員の方から「この空間に初めて足を運んだ瞬間、これは鈴与の歴史的においてすごい瞬間に立ち会ったんだと思いました。誠実であり、真面目であることが鈴与のプライド。そこに楽しいであったり、面白いという要素がプラスされて嬉しく思いました。」という発言があったり、この空間をより活用していくためのヒントを求める声も上がりました。
小さな変化がたくさん起こり、積み重なることで大きな変化を生む。これからの動きに期待が高まります。
ロフトワークが共同で進めてきた空間リニューアルプロジェクトやSIPの取り組みについては、事例として公開しています。ぜひこちらもご覧ください。
創業220年の働き方改革。
静岡の物流大手、鈴与が取り組む磁場づくり。
https://loftwork.com/jp/project/suzuyo
空間から働く人の⾏動や思考を変える
鈴与本社リニューアルhttps://loftwork.com/jp/project/suzuyo/space
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