持続可能な社会への移行を促進する「トランジションデザイン」を活用した
事業創出ツールキットが、経済産業省サイトにて公開
株式会社ロフトワークが2023年1月〜3月に行った、次世代型リーダーの人材教育プログラムの内容を再編した「Transition Leaders Starter Kit(トランジション・リーダーズ・スターターキット)」が、経済産業省のサイトにて公開されました。
本ツールキットは、持続可能な社会への移行を促進するデザインアプローチである「トランジションデザイン」を用いて、望ましい未来を築くためのビジョンを描く力、そしてそれを実現するための戦略とアクションプランを策定する力を身につけることができるものです。本書が一人でも多くのトランジションリーダーを生み出し、社会をよりよい方向に導く一助となることを願っています。
Transition Leaders Starter Kit
経産省が提唱する「高度デザイン人材」の育成に呼応
政府は、「成長戦略実行計画」(令和元年6月、令和2年7月閣議決定)にて、第4次産業革命がコスト競争から付加価値の獲得競争へと構造の変化をもたらすなか、アートやデザインなどの「創造性」を備えた社会人を育成することが重要であると示しています。また、経済産業省は、クリエイティブの領域とビジネスの領域を越境し「デザイン経営」を推進する「高度デザイン人材」の育成を提唱し、「高度デザイン人材育成ガイドライン」を公表しています。
このような背景のなか、ロフトワークは2023年1月〜3月に、企業の中からビジョンを起点に事業創出を行う次世代型のリーダー人材教育プログラム「Transition Leaders Program(トランジション・リーダーズ・プログラム)*」を開催。「高度デザイン人材育成ガイドライン」のなかで、最も未来志向な人材とされる「ビジョンデザイナー」に必要な、「社会の動きやテクノロジーのトレンドから憶測される未来像を創造して提示すること」「今現在の世の中の価値観や信念に捉われず、社会を巻き込みながらオルタナティブなアプローチによって価値を創造すること」ができる人材の育成を目指し、全8回の講義とワークショップを開催しました。プログラムには、定員の3倍を超える応募があり、選考を経て選ばれた社会人30名が参加、10名の講師を招いた講義とワークを経て、プログラム終了後も、熱量の高いコミュニティとして交流が続いています。
*経済産業省令和4年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)」の一環として開催。
新デザイン理論「トランジションデザイン」のアプローチを活用
今回公開された「Transition Leaders Starter Kit」は、「Transition Leaders Program」の内容をもとに再編した、持続可能な社会への移行を促すための創造的思考力と事業創出力を身につけることができるツールキットです。新しいデザイン理論として注目される「トランジションデザイン」のアプローチを活用しています。
「トランジションデザイン」とは
21世紀の社会が直面する、複雑性が高い地球規模の課題に対して、国家や行政がトップダウンで一元的な解決策を提示することは不可能であることを前提にし、ビジネスデザイナーが地域住民や身近なコミュニティと共に、持続可能で望ましいビジョンを思い描き、ボトムアップの様々な活動を結集することを通じて、大きな変革を促すことを目指した理論です。2015年、カーネギーメロン大学デザイン学部が、地球規模の巨大な問題に対して、社会規模の価値観の移行をデザインする理論として提唱しました。
ツールキットの特徴
「トランジションデザイン」のプロセスやマインドを学ぶことができる
様々な領域の知識を扱う学際的なデザインアプローチである「トランジションデザイン」は発表されて日が浅いこともあり、日本語での手法紹介はまだ数少ないのが現状です。加えて、企業実務への応用を意識したものは国内においては、数えるほどしかありません。Transition Leaders Programでは、トランジションデザインの考え方に沿い、デザイン以外も含むさまざまな領域の専門家の力をお借りし、手法を研究し、開発・実践しました。このキットでは、その一つ一つをお伝えします。
「未来構想編」と「事業構想編」を通して、ビジョンと事業戦略双方をつくる力を身につけることができる
ツールキットは、2つの章に分かれており、それぞれ3つのプロセスを紹介しています。
未来構想編では、複雑な社会課題を構造化し、システム全体に影響を与える介入点を特定する能力、長期的な視点で社会の移行を分析し、新しい市場機会を発見し社会課題を解決するヒントを見つける能力、そして個人を起点に社会にとって意味のある未来ビジョンを作る能力を目指します。
事業構想編では、バックキャスティングによって因果関係を可視化し、理想に辿り着くまでの道筋を設計する能力、実際に現場の声を広い、共創のビジネスモデルを構築する能力、そしてステークホルダー間の相乗効果や補完性を考慮して、持続可能で価値の高い事業構想を立案する能力を目指します。
本ツールキットの説明会や交流会も予定
ロフトワークでは、プログラム参加者と共に、トランジションデザインについての勉強会やコミュニティを運営していく予定です。本書を読んで興味を持った方は、下記よりぜひご参加ください。
Transition Leaders Starter Kit 制作・協力クレジット
監修、編著:株式会社ロフトワーク
担当:古田希生、谷嘉偉、飯田隼矢、伊藤望、中圓尾岳大
デザイン:REFLECTA, Inc.(田岡美紗子+岡﨑真理子)
講師:岩渕正樹、峯村昇吾、水野大二郎、木村宰、松沢裕作、 樋口恭介、加藤有也、井上彩、松山由樹、上平崇仁
プログラムの事業報告書も公開されました
なお、本スターターキットと合わせて、プログラムの報告書も下記のURLで公開されています。あわせてご覧ください。
お問い合わせ
本ニュースへのお問い合わせは、下記までご連絡ください。
ロフトワーク広報 pr@loftwork.com
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