アートとテクノロジーをまぜて、こねた、クセのある154作品から選出

マクセル株式会社が主催し、ロフトワークが企画運営を行う公募「クセがあるアワード:混」のファイナリスト8点を発表しました。

このアワードでは、「( )と( )をまぜてみた」をテーマに、アートとテクノロジーが介在している作品を形式・ジャンル問わずに募集し、約2ヶ月の応募期間で多様な表現の作品が154点集まりました。

クスッと笑える作品、新たなコミュニケーションを生む作品、一風変わった身体感覚を覚える作品、なぜか見続けられる不思議な作品、時代を象徴するメディアを用いた作品、自己表現に留まらない社会的な作品など、これからの未来の“日常”をつくっていくような、ユニークで先端的な表現がファイナリストに選ばれました。

ファイナリストに選出された作品は、2024年8月6日(火) から 9月5日(木)に、「クセがあるスタジオ」(京都府)でグループ展を開催します。

展示概要

これからの未来の“日常”をつくっていくような、ユニークで先端的な表現が京都・大山崎に集まります。

 

タイトル
“混展” クセがあるアワード:混 ファイナリストによるグループ展
会場
クセがあるスタジオ 
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字鏡田30番地1 (アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都内)
会期
2024年8月6日(火) 〜 9月5日(木)
※8月12(月)〜8月16日(金)は休館
時間
9:30~17:00
入場料
無料
主催
マクセル株式会社
協力
株式会社FM802、株式会社ロフトワーク

ファイナリスト作品

全ファイナリストの作品は、以下のリンクからもご覧いただけます。

ファイナリスト8作品の発表ページ

『滑琴(かっきん)6号機』
おおしまたくろう

スケートボードの裏面にギターの弦を張った道楽楽器。通常のギターが弦を指で弾くことで発音するのに対し、滑琴はスケートボードのように上に乗って走行することで路面の凹凸により弦を振動させて発音する。またカーブを曲がる際の体重移動による弦の張力の変化によって音高を操作できる。スケートボードとエレキギターを混ぜ合わせた滑琴は、全く新しい発音構造と音色を持つ楽器であり、街を楽譜に見立てて演走(えんそう)する音楽「道楽(どうらく)」を奏でる。

『マニ四駆』
さば電子

チベットや台湾では一般的な回転させることで徳を積むことのできる「マニ車」、これを更に太陽光で自動化した「ソーラーマニ車」、これを初めて見たときに「テクノロジーによって効率化された現代の仏具だ」と感動した。そこでマニ車と玩具のミニ四駆を言葉遊び的に組み合わせてマニ車を四筒積んだ「マニ四駆」を製作。更に徳が積めるように同じくテクノロジーで進化した自動でお経を唱える仏具「ブッダマシーン」も組み込んだ。

『Omi 3D』
KURANOIE

温めれば何度でも好きな形を作れる新しい布。本プロジェクトでは滋賀県の湖東地域で生産される伝統的工芸品である近江上布に着目した。豊かなテクスチャを持つ近江上布の1つである「生平(きびら)」に樹脂のフィラメントを織り込み、形状記憶する新たな布「Omi 3D」の開発を行った。また、それらの特徴を活かした照明シリーズ「Omi 3D Lamp」をデザインした。

ネオンサイン構造を極小サイズで再現した光るピアス
新霓 (佐藤 賢吾)

ネオンサインの発光の仕組みと加工技術を理解した上で、構造的に可能な限り模倣するためにアクリルとインクを用いて製作。発光部分が中空に浮くような独特な構造を表現するため、アクリルに対して特殊な加工を行なっている。また、中空に浮く構造によりもたらされる背景板への光の”ボケ”を再現するため、アクリルの片面に印刷を施している。
この製造方法は特許申請中のステータスであり、類似する製法を含めてカウンターが用意されている状態で、製品流通を行っている。

『アロエベラシンセサイザー』
西田騎夕

アロエベラのもつ「メモリスタ」という電気素子としての特性を、アナログモジュラーシンセサイザーの回路に組み込んだ楽器。メモリスタとは抵抗、コンデンサ、コイルに次ぐ第四の電気素子として提唱され、近年研究が進められている。一方で、モジュラーシンセサイザーとは、従来の電気素子を組み合わせることによって音を加工する楽器である。「アロエベラシンセサイザー」ではこれらを組み合わせることで生まれる、新しい音楽表現の可能性を探究した。

『波間にて』
羽田光佐

脈拍センサーとインタラクティブに生成される映像を用いて、鑑賞者が自身の寿命を擬似的に体験することを試みる。何かに違和感を感じたとき、無視できない感情が膨れ上がったとき、変化が起きはじめているとき…。自分のことをないがしろにせず、自身の内で鳴っている感情を聞き、1つ1つ選択していけるように、自分の背中を押してくれるものとして死を想起する作品を制作した。

『TATAMI ReFAB PRODUCTS』
HONOKA

古くから日本で愛されてきた畳は、香り豊かで肌触り良く調湿や消臭の性能を備えた植物から作られている。しかし生活様式の変化により、近年畳に触れる機会は少なくなった。大型3Dプリント技術を用いて畳を現代の暮らしに編み直す「TATAMI ReFAB PROJECT」より、新作の花瓶やトレイを制作。使い終えた畳や廃棄される原料を再生可能樹脂と混ぜ合わせ、新たな畳の魅力を次世代へ発信する。

『Superposition machine』
Mutsushi Asai/Metalium llc.

ポリゴナルシンセによって生まれた形状を複数人が同時に操作しそれぞれ別々の図形と音を作り、それらを重ね合わせることで発生する保存されることのない生成物とテンポラリーな技術の生まれを体験することができる。
この生まれこそ、まだ我々が言語や人種の垣根を超えて行うことのできる感覚的コミュニケーションに対しての可能性が秘められている。

審査員と審査基準

審査員

一次審査には、NHKエデュケーショナル プロデューサーの佐藤正和氏、アーティスト・デザイナー・研究者の福原志保氏、TANK酒場/喫茶マスターのフルタニタカハル氏、マクセル株式会社 執行役員 佐野健一氏が参加し、8つの作品をファイナリストとして選出しました。

佐藤 正和

佐藤 正和

NHKエデュケーショナル
プロデューサー

福原 志保

福原 志保

アーティスト,デザイナー,研究者
Poiesis Labs CEO

フルタニ タカハル

フルタニ タカハル

TANK酒場,喫茶 マスター
アートディレクター/DJ

佐野 健一

佐野 健一

マクセル株式会社
執行役員

審査基準

荒削りでもユニークと思えるクセ(= 個性、創造性)があることを大事にしています。作品の審査にあたっては以下の審査のポイントと、審査員の専門分野による独自の視点を評価の軸としました。

  • まぜたもの(WHAT)
    • 新旧の技術、異質な素材、異分野の活動など、横断的なコラボレーションを試みているか
  • まぜかた(HOW)
    • ルールや手順を作る、市民参加を促す、先入観を疑うなど、まぜるためのプロセスに工夫があるか
  • まぜたわけ(WHY)
    • 意外な着眼点、社会的な必然性、個人的な偏愛など、他者の共感を生む物語を宿しているか

展示会場について

クセがあるスタジオ

京都府大山崎町、マクセルの敷地の一部がアートとテクノロジーの混ざり合うオープンイノベーション拠点に生まれ変わりました。「クセがあるスタジオ」はその一画に位置する約100平米のスタジオです。これまで出会うことのなかったクリエイターやアーティスト、エンジニア、まだ見ぬ新たなプレイヤーそれぞれが持つ“クセ”を掛け合わすことができる拠点が完成。クリエイターやアーティストによる展示やイベントから、マクセルの技術を体験できるワークショップまで。ものづくりに携わる人の感性やテクノロジーが混ざり合うようなプログラムが開催されることで、未来の日常を生み出していきます。

ACCESS

〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字鏡田30番地1 (アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都内)
お車の場合:大山崎IC・JCTから約3分 (国道171号線沿い大阪方面)/駐車場60台あり
公共交通機関の場合:JR山崎・阪急大山崎駅から徒歩約20分
※正門入口は西側(東側のマクセル株式会社正門側から入れません)

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