Y/OurClimate(ユアクライメイト)に申し込む前の、疑問点を解消するガイドページプログラムガイド

Y/Our Climate(ユアクライメイト)に関心を持っていただきありがとうございます。このページは、申し込む前に「プログラムでどんな学びが得られそうか」「自身の業務や活動にどう関連を持たせられるか」と迷われている方に向けて、作成しています。

オンライン事前説明会

とにかく「直接話を聞いてみたい」「あの疑問を解消したい」そんな方に向けた事前説明会を企画しました。このページにも書いている、よく聞かれる5つのトピックについて、ロフトワーク運営メンバーがお話しします。質問タイムも設けていますので、どんな細かいことでも気軽におたずねください。

日時

  • 7月 23日 (水曜日)⋅16:00~16:30(最大17:00)
  • 7月 25日 (金曜日)11:00~11:30(最大12:00)
  • 7月 31日 (木曜日)14:00~14:30(最大15:00)
  • 8月 4日 (月曜日)14:00~14:30(最大15:00)
  • 8月 5日 (火曜日)09:00~9:30(最大10:00)

申し込みは以下のフォームよりお願いします。

プログラムについてよくある質問

1.なぜ微気候(Microclimate)なの?

テレビの天気予報では「33℃」と出ていたのに、家の外に置いた温度計は「37℃」。そんな経験はありませんか? 実は、気温は住まいや周囲の環境によって大きく変わることがあります。アスファルトや植栽、建物の素材や構造などの影響で、ごく限られた場所だけに生じる独自の気候があります。このような、地域全体の気候とは異なる、特定の場所における局所的な気候を「微気候=Microclimate(マイクロクライメイト)」と呼びます。微気候は、以下の社会・企業・個人の視点からも、注目すべきテーマの一つと私たちは考えています。

  • 社会:2024年4月に気候変動適応法が改正。暑熱避難施設設置推奨、熱中症対策義務などの枠組みの変化が加速
  • 企業:月刊事業構想8月号の「特集:気候リスクに挑む適応・防災、緩和のビジネスチャンス」。リスク(例:需要予測)とチャンス(例:適応商品)の再考のタイミング
  • 個人:健康など暮らしに直接影響あり。一方で、文化や知恵の喪失あり。向き合わないといけない課題
Climate Adaption Products(THE NORTHFACE 2025)
Welcafe(暑熱避難×地域包括)(Welcia 2024)

ポイントは、あくまで気候変動という巨大なスケールで捉えるのではなく、局所的な気候というローカルなスケールで捉えて、できることを探ること。

2.なぜシステム思考なの?

  • 理由:都市の気候をめぐる問題は多様/複雑で捉えづらい。一方でいろんな取り組みも行われ始めている。一度、まな板の上へのせたい
  • 概要:問題を点ではなく「因果関係」でみる。その関係性をみながら、介入点をさぐるアプローチ
  • 詳細:ロフトワークではNEC総合地球環境学研究所(地球研)のプロジェクトで導入実績あり。ただし今回は一部のみを体験。(詳細は解説動画などを参照)

総合地球環境学研究所とのPJでのループ図例(2024)
ロフトワークで研修ワークショップも定期的にやってます(2025)

今回は主に、俯瞰的にみて学ぶ「レクチャー」で視座を、経験的に感じて学ぶ「プラクティス」で実感を得る。2つのレイヤーを行き来するイメージでプログラムを実施していきます。

カテゴリ アプローチ 得るもの
レクチャー 大局・俯瞰 視座
プラクティス 経験・身体 実感

3.どんな話がなされるの?

  • 構成:全7回。最初の2回がイントロ。途中の3回がテーマ深掘り。最後の2回が異なった視点
  • 例1:日下先生。第一人者。都市気候研究の基礎〜トレンド最前線など
  • 例2:羽鳥さん。建築や空間とランドスケープの関わり。包括性なども射程に入れて
  • 例3:小越さん。気象データをもとにしたマーケティング事例など。健康視点も

都市街区気象モデル City-LES(出典:筑波大学日下研究室)
ビジネスと気象データ(WeatherX powered by 日本気象協会)

今回は、隣接領域も組み込み、微気候(Microclimate)という視点を通じて見える、都市生活課題を広く捉えて可視化していく。

4.どんな宿題があるの?

  • 構成:レクチャーの裏側で、実感を持つためのプラクティス(宿題)を実施する
  • テーマ:最高の日陰、最悪の日陰をハントしよう 〜快適さとは何か?
  • フレームワーク:オルゲーの生気候図、アフェクト(情動と呼ぶ、感情の手前の知覚反応)
  • ツール:スマホの天気アプリ(温度、湿度、風速など)、任意で放射温度計、湿度計、照度計など
  • 記録:それぞれの場所・時間、音や匂いなども含めてノートに記録する
古典・基礎のオルゲーの生気候図(1963)
日陰の都市 -The city of shades(2024)

プラクティスのステップ

  • 最高と最悪の日陰を、参加者のみなさんが暮らす街でハントする
  • その日陰がなぜそうなっているか?その裏側にある背景を調べる
  • それらの記録をもとに、ループ図を使って可視化していく

プログラム終了後、レクチャーとプラクティスの内容をまとめてリサーチブック(PDF版)を作成し、配布する予定。

日陰ハントのねらいについては、こちらもご覧ください。

日陰から都市のやさしさをみる ミニワーク「日陰ハント」を楽しむための前説

5.どんな人たちが参加するの?

  • 都市開発・公共施設系の方々だけでなく、空調・エネルギー、小売・商業施設、食品・飲料、医療・ヘルスケア、観光・レジャーなどの業界が対象
  • 現在申し込まれてる方は、例えば、空調、防災、電機、生活関連のメーカーさんなど

こんな方におすすめ

  • 緑化や冷涼さを組み込んだ場づくりを計画する都市開発・公共サービスの事業責任者の方
  • 街のインフラとして機能する憩いのシェルターやコモンズを考えたい官公庁・自治体の方
  • 気候への適応や緩和を盛り込んだプロダクト・サービスを構想する事業開発担当者の方
  • 気象・気候データと都市におけるニーズとのマッチングを探究したい研究機関の方
  • その他、気候の変化がもたらす都市の未来の構想を、自社の経営や事業に活かしたい方
企画当時に描いたパーパスモデル
最終日には懇親会 at FabCafe Osaka

何より、それらを通じながら、登壇者および受講者の方々とオープンに対話し、プログラム終了後も続くつながりをつくれるところが魅力。

コラム|微気候を学び、気候と都市の新たな関係をデザインする

都市の公園で木陰に入った瞬間、ふっと涼しさを感じたことはありませんか?それが「微気候」です。数メートル単位で風の通りや温度、湿度が変わる、この小さな気候は、私たち人間が介入することで、よりよい状態をつくることに参加できるのです。建物の配置、素材、植栽、水辺の設計、人の行動——これらの要素が複雑に絡み合い、快適さや安全性を生み出す。微気候を学ぶことは、自然と都市の関係を再構築する第一歩です。

日本の9割が都市に暮らし、2050年には世界の都市人口は7割に達すると言われています。気候変動により、都市は新たな適応のフェーズに突入しています。しかし「気候変動」という大きなテーマだけでは社会実装が難しくなりがちです。一方で、日本には四季を快適に過ごす工夫が日常に根づいており、心地よい日々は小さなデザインの集合体で成り立ってきたとも言えます。

また、防災や熱中症対策といった身近な課題も、今や大きな市場となりつつあります。国内の防災関連市場は2035年に2,500億円、熱中症対策市場も1,000億円規模に達する見込みで、世界の防災市場は30兆円へと拡大しています。さらに、気候テックをはじめとした新たな技術が、これまでにない解決策を生み出す可能性を広げています。

もちろん、引き続き世界規模での気候変動に対する課題は、みんなで解決を目指さなくてはなりません。一方で、いますでに起こっている課題にもまた、適応し、予防し、あるいは新たな共存のあり方を模索していくことも同時に重要です。微気候を学ぶことは、そんな未来の都市生活へアップデートするための重要なテーマの一つです。気候をマクロ視点だけでなく、都市生活の視点からも探ることが、きっと私たちの気候と都市の新たな関係をデザインする鍵になると考えています。

(株式会社ロフトワーク Culture Ecexutive 岩沢エリ)

最後に

プログラムをまとめたリサーチブックが完成したら(2026年1月)、報告会も企画したいと思っています。今回だけでなく、いろんなつながりがこの先も続いていくと良いなと考えています。プログラムの概要がまとまったチラシも、必要に応じて自由にダウンロードしてお使いくださいませ。

Y/Our Climate(ユアクライメイト)のお申し込みはこちらです。改めて、プログラム概要、チケット概要、Q&Aなどを確認されたい方は、ウェブサイトをご覧ください。