開催レポート|2015年こそ、スタートをきりたい担当者へ Webリニューアル事前講座
リニューアルの必要性を感じながら、なかなか踏み出すきっかけをつかめず、先延ばしにしてしまう。そんなWeb担当者が、今年こそ目の前の課題に真っ向から挑むにはどうしたらよいのか。2015年3月20日、ロフトワークが、そんな担当者のプロジェクトスタートを後押しするためのセミナーを開催。リニューアルのステップとポイントを解説しました。
決めるべきことを決めれば、リニューアルはうまくいく?
事前準備のチェックリスト
はじめに、リニューアルのステップと成功に導くためのポイントをロフトワークの矢橋友宏が解説。プロジェクトが円滑に進み、成功させるためにはまず「決めるべきことをしっかりと決めるべきです」と強調。
リニューアルプロジェクトのステップは大きく5つのステップ「要件定義」「設計」「デザイン・開発」「コンテンツ製作・移行」「公開」で進んでいきます。そもそもWebリニューアルは、目的と達成すべきゴールがあってはじめて成立するものです。
ロフトワークではその目的とゴール設定を見誤らないために、要件定義フェーズや、それ以前のプロジェクト準備に力を入れ、事前に明確にすべき項目をクライアントと一緒に像合わせをしながら一緒に作り上げていきます。
7つのチェックポイント
- リニューアルの目的・ゴールは明確か?
- Webサイトのターゲットユーザは明確か?
- ターゲットユーザのニーズ(どんな情報が欲しいのか?何を求めてサイトに訪れるのか)を把握しているか?
- 自社のビジネスモデルを理解できているか?また分かりやすくそれを表現できているか?
- プロジェクトの判断基準、また判断する決裁者は明確か?
- 納期とプロジェクトの内容のバランスは適正か?
- 必要な予算を確保できているか?
もちろん、すべての項目が明確になっていても、プロジェクトが成功するとは限りません。なぜなら、計画の変更を余儀なくされることはよくあるからです。「予期せぬ事態が発生するということは、リスクマネジメントを行わなくてはいけないということ。リスクをなくすには、リスクから逃げずに立ち向かわなくてはいけない」と矢橋。
ロフトワークでは、10年以上前からプロジェクトマネジメントという手法をWeb制作のプロセスに採用。リスクヘッジまでを計画に盛り込むことで、プロジェクトがコントロール不能に陥らないようにしています。
また、最初に決めるべきことの中で特に重要なのが、Webの目的、役割です。矢橋は、「Webサイトの目的は、情報を伝えることにより、求めるアクションを引き起こすこと。多様なステークホルダーがいる中で、誰からどんなアクションを引き起こすのかを考えていかなければならない」と強調。
そこで重要になってくるのが「対話」です。「Webをコミュニケーションのハブとして考え、Webマスターは、コミュニケーションをデザインすることが仕事だと認識したほうがよい。単に情報を整理して探しやすくするだけでなく、昨今はコミュニケーションをどう作るかに主眼が置かれるようになっている」と矢橋。コミュニケーションを設計する際には、次のようなフレームワークが有効であり、ロフトワークのプロジェクトでも積極的に取り入れています。
フィールド調査
街や店舗など、実際に現地へ出向いてユーザの行動などを調査。可能な限り写真を撮影し、あとからメンバーで共有できるようにする。
ユーザーインタビュー
エンドユーザーに会ったり、社内のメンバーやその家族、知り合いなどにインタビューを実施して定性・定量的なデータを収集する。
ワークショップ
自社の価値は何か、ターゲットは誰か、その人たちは何を考えているのかといったことについて、関係者間で議論しながら仮説を立てる。ワークショップを通じて共通認識をつくり、プロジェクトの軸がぶれないようしっかりと言語化する。
ビジネスモデル・キャンバス
自社のビジネスを整理する手法。自社ビジネスだけでなく全体の環境も俯瞰できる。
カスタマー・ジャーニー・マップ
ターゲットユーザーの検討プロセスを旅に見立て、さまざまなタッチポイントと、その時のユーザの心理状態などを視覚化する方法。Webに限らず、オフサイト、オンサイトを含めたタッチポイントで、何を発信すべきかを見極めていく。
プロトタイピング
Web、プロダクトなど幅広く、実際に操作できたり手にとって使える試作品を作成。プロトタイピングとフィードバックのサイクルを短く、数多く回すことによってよりアウトプットを洗練させていく。
自分ごととして「リニューアルしたい!」と心から思えている?
続くパネルディスカッションには、ロフトワークのプロデューサー陣が登壇。モデレーターを務めた松井創と、柏木鉄也、柳川雄飛の3人が、リニューアルの成功ポイントに迫りました。その一部をご紹介します。
スケジュール・予算はどのくらいが適正?
松井:当社は、100%インバウンド型の営業手法を取っている。イベントやWebサイトのフォームを通じてお問い合わせをいただくことがほとんど。そのフォームに目標とする制作終了日を入れる欄があるが、スケジュールはどう考えたらよい?
柳川:ミニマムでも4、5ヵ月。事前のワークショップやユーザーインタビューを含めると、要件定義から設計、コーディング、CMS導入まで半年ぐらいは必要。
柏木:中には機会損失がないようになるべく早く!というケースもあるが、予算消化のタイミングが一つの目安になったり、新商品発売までに受け皿となるWebサイトを準備したり。ボリュームから逆算するケースも多い。
松井:もう一つ難しいのが予算だと思うが。
柏木:前回のリニューアルや隣の部署の例などが一つの目安になる。あるいはプロモーション予算の中で使えそうな費用を感覚的なところで判断してもよいと思う。いずれにせよ、最初の段階で情報として提示していただけたほうが、発注側と制作側のコミュニケーションがスムーズになる。
リニューアル担当者の”想い”が大切。ロフトワークはどんな支援ができる?
松井:最初に訪問するときはどんな点に注目する?
柳川:ご担当者のリニューアルにかける思い、情熱が最も気になるポイント。自分ごととしてリニューアルしたい!と心から思えているかどうか、一緒にお仕事をしてうまく進められそうかどうか。当社のことをどの程度ご存じかを確認することも多い。
柏木:その会社のビジネスのためにも、同じ方向を向いて進められるかどうかが重要。リニューアルのきっかけが何であろうと、プロジェクトの主担当者に明確な思いがあると、実現のための施策を考えやすいし、公開後にプロジェクトの成否を判断しやすい。また、目的とゴールをきちんと説明できる状態にあれば、社内での協力体制の構築や、他部門と折り合いをつけるためのコミュニケーションもしやすくなる。
松井:社内への説得がこれからである場合は、どんなサポートを提供できる?
柳川:現時点で明確になっている範囲を把握した上で、足りない情報を補足したり、社内に対してどんな説明をすればよいかアドバイスしたりしている。
松井:つまり、お会いした時点で社内環境が整っている必要はないということ。仮説ベースでもいいので、ご担当者としてどんなリニューアルにしたいかをお伝えいただき、一緒にその先を考えるのが我々の役目だと思う。
柏木:社内で補えない部分を外部のパートナーと一緒にやっていく。そういうチームビルディングができるかどうかがカギ。どこまでが社内でできて、どこからパートナーに頼むのか、その線引きのための打ち合わせから始めてみてもいいのでは?
松井:当社では、ひたすらリニューアルのことを考える合宿も実施している。同じ釜の飯を食べ、一つのテーブルで膝を突き合わせて、目指す方向を一緒に考えられるのが良い。成功の定義はいろいろあるが、まずはご担当者のみなさんとのコミュニケーションをうまく作っていきたいという思いで取り組んでいる。
[ ワークショップ ] 社内稟議書をつくる
パネルディスカッション終了後は、3~4人のグループに分かれ、稟議書に必要な情報をまとめるワークショプを実施。Webリニューアルの前提条件を発散・整理するワーク1と、稟議書の目次とアウトラインを作るワーク2を通して、今すぐ稟議書が作れる情報が出揃いました。
また、個人ワークのアウトプットをグループメンバーと共有する過程で、さまざまな気づきもあった様子。これを機に、リニューアルに踏み切る第一歩となった参加者もいらっしゃり、有意義な講座となりました。
イベント概要
「ビジネス成果をだすためには、そろそろWebリニューアルが必要だ。」多くのWeb担当者が感じる思いです。
しかし、何からはじめればいいのか?社内のコンセンサスがとれるのか?リソースがそこにさけるのか?そういった要因からリニューアルは来期にしよう、と先延ばしにしてきた方も多いのではないでしょうか。
本イベントでは、2015年こそはリニューアルをしたいがトレンド、自社の状況、プロジェクト進行のステップがつかめてない担当者向けにプロジェクトを始めるために必要な情報をご紹介します。
パネルディスカッションでは、数多くの案件をてがけてきたロフトワークプロデューサーがリニューアルが成功するために欠かせないポイントを厳選して解説。
参加者の皆さんがリニューアルをはじめるために欠かせない稟議資料を作成し、明日からの具体的アクションにつながるワークショップもご用意しています。 来年度のWeb戦略を検討している皆さんは、きっとヒントが見つかるはずです。
開催概要
セミナータイトル | 2015年こそ、スタートをきりたい担当者へ Webリニューアル事前講座 |
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開催日時 | 2015年3月20日(金) 14:00〜17:30 (開場 13:30 相談会 17:30〜) |
場所 | loftwork Lab(ロフトワーク渋谷 10F) 地図 |
対象 | ・2015年度内にWebリニューアルを実施したい方 ・Webリニューアルの社内稟議資料を作成したい方 ・プロジェクトの具体的な進め方が知りたい方 |
参加費 | 無料 |
定員 | 30名 |
主催 | 株式会社ロフトワーク |
ご注意 | ・個人、同業のご参加はご遠慮ください ・プログラムは予告なく変更される場合があります ・当日の参加者の皆さんのお写真は、後日公開するレポートなどに掲載させていただきます |
プログラム
- 14:00~14:40
- 2015年Webリニューアルのステップ
・成功事例からみるWebサイトのトレンド
・成果をどこに定めるか
・リニューアルの全プロセス
事前、戦略、設計、構築、移行、運用
・スタートから戦略フェーズまで担当者がすべきこと
・ロフトワークのプロジェクト進行 – 事前〜戦略フェーズまで
– ヒアリング、リサーチ、カスタマージャーニーマップなどのフレームワーク
– 進行スタイル ワークショップ、プロトタイプ、アジャイル
– チームはどうつくるべきか - 14:40~15:20
- [ パネルディスカッション ] 成功するリニューアルはここが違う!
・担当者は何からはじめるべきか?
・僕らはヒアリングでここをきく
・立ちはだかるハードルはここにある(戦略、稟議、ステークホルダー) - 15:20~15:40
- 休憩
- 15:40~17:30
- [ ワークショップ ] 社内稟議書をつくる
ロフトワークのプロデューサーが参加者の皆さんの状況をおうかがいしつつ社内稟議書を一緒に作成します。 - 17:30~18:30
- 相談会