EVENT Report

大阪・うめきた発!多様な人が混ざり、
新しい価値を生むコミュニティとは。

2024年9月開業予定のグラングリーン大阪の中核機能「JAM BASE」が、様々な人と新しいイノベーションを育んでいくための公開作戦会議を実施。約40人の参加者と11名のローカルイノベーターが集まり、議論を重ねたイベントの様子をレポートします。

“JAMMING(ジャミング)”のように、多様な人と価値が集まる場所

イベントの冒頭では、グラングリーン大阪の企画・検討を行う佐々木一洋(一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター 事業統括副部長)さんから、プロジェクトの概要が説明されました。

「今回のプロジェクト全体のテーマは、『みどり』と『イノベーション』の融合拠点としています。大阪から様々なイノベーションを生んでいこうとしている中で、その中心になるのがJAM BASE。コワーキングスペースのほかにも、オープンスペースや屋上庭園があったり、キッチンがあったりと、様々な空間を用意しています。要素や機能をあえてごちゃまぜに配置しているので、視線や動線が交差して、色々な人と出会い新しい刺激が得られるのではと考えています。

音楽の即興演奏のことを“JAMMING(ジャミング)”と表現するように、多様な人が集まり、新しい価値を一緒に生み出していける場所になってほしいという願いで”JAM BASE”と名付けました。今日のイベントでも、ぜひ気軽に議論に参加して、楽しんでいただければと思います」

JAM BASE 施設ロゴムービー

佐々木さんのプレゼンテーションの後は、座談会で話す2つのテーマが発表されました。
参加者とゲストも2チームに分かれ、それぞれ円になって顔を向き合わせます。

座談会の時間は、40分。各チームで議論した内容は、外崎佑実さんと三宅正太さんによってすぐに可視化され、スクリーンに投影されたグラフィックレコードを見ながら、それぞれ話を深めていきました。

交換の仕組みを考え直す「商い2.0」

Aチームのテーマは、「-Innovation-うめきたで変化球なイノベーションを起こすには」。

佐々木さんのほか、眞鍋邦大(龍谷大学 経営学部 准教授)さん、鎌田頼人(合同会社NEWSKOOL 代表取締役CEO)さん、小島伊織(アイナインオー株式会社 共同創業者兼代表取締役社長)さん、小島和人(株式会社ロフトワーク プロデューサー)を中心に議論。佐々木さんがまとめて全体発表をしました。

「そもそも大阪ならではの創造性とは何だろうと考えるところから、Aチームの議論は始まりました。そのひとつに、商売があると思います。大阪は古くから商人の街と呼ばれていますし、土地の文化や歴史は、商売によってつくられてきたものも数多くあります。商売の基本は、お互いが価値と捉えている、何かと何かを交換すること。それを改めて定義した上で工夫を加え、『商い2.0』として考えようと話が進んでいきました。

商売で交換する『何か』は、形があるものだけではなく、スキルなどの目には見えないものも含まれています。デザインや文章などのスキルは分かりやすいのですが、もっと広く捉えて『今日お昼ご一緒できます』『1時間だけ子どもの面倒を見ることができます』など、お互いの余白時間を活かし合うのも面白いという意見がありました。スキルはクラウドソーシングとして取り引きされることが多いですが、伝言板にチョークで書いて募集するなど、アナログな方法にするのも良さそうです。それを見るために、人が集まってきますからね。ものの価値は人それぞれなので、いかにうまく交換できるような仕組みを作るかということが、人を混ぜる上では重要だなと思いました。

また人が集まるときは、中心に焚き火があると良いなという話が出ました。それぞれが向き合うと対話が強制されてしまうようで、緊張感が生まれてしまいます。ですが焚き火があると視線は火に向かっているので、一人で静かに火を見つめていても良いし、隣の人とは話したいときにだけ話せば良いんです。目的がなくても、またイノベーションが生まれない理由に、面倒臭さがあると思いますが、焚き火があれば一本だけ薪をくべたり、マシュマロを焼いたりと、それぞれが好きな範囲でアクションを起こすことができます。こうしたハードルの低さが、イノベーションにつながっていくのではないかなと考えました

大人が『混ぜて』と言いたくなるような仕掛けをつくる

Bチームのテーマは、「-Community-うめきたに無関心…そんな人をどう混ぜる?」。

こちらのチームは、奥祐斉(株式会社bona代表取締役)さん、中村純二(一般社団法人ツワモノ 代表理事)さん、小笠原舞(合同会社こどもみらい探求社 共同代表)さん、廣川文花(BUNCA.代表)さん、芦田枝里(一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター 室長)さん、阿久根聡子(一般社団法人 for Cities)さんの6名。

輪に加わった参加者の大学生、社会人などさまざまな意見が飛び交い、まさに“JAMMING”な状況だったBチーム。「めちゃくちゃ楽しい40分でした!」と、JAM BASEの立ち上げを進める芦田さんが発表を担当しました。

「うめきたという場所は、お買い物に来た人も、通勤している人も、様々な人が行き交っています。どのように人を集めて利益を出していくかというよりも、どうやったら居心地の良さや気付きがある機会をつくれるかを中心に議論が進んでいきました。その上でBチームでは、皆さんに関わっていただけるイベントをやってみたいという方向で意見がまとまりました。

イベントには、あえてすごくダサい服を着て集合してもらいます。普段背負っている肩書や、格好つけている自分を脱ぎ捨てることが目的ですね。そして、その後はみんなで焚き火を囲みます。事前に相談していたわけではありませんが、焚き火はAチームの皆さんとアイデアが被りましたね(笑)

その後はJAM BASEの中を散策して、自分にとって居心地が良い場所を探してもらいます。みんなで話し合ったり、イベント後も見たりできるよう、好きなポイントは付箋に書いて残しておきます。そして最後は、クラブのように音楽やお酒を楽しみながら、仲間をつくっていく……そんなイベントをチームの皆で考えました。

うめきたのイメージを話し合ったときに、チーム内から『消費する街』という声が出たんです。服を買ったりご飯を食べたりすることは、本来自分に対する投資のはずなのに、いつの間にか消費に感じてしまっている。まずは『JAM BASEにいることは消費ではなく、投資になるんだ』と、気づきを得られる場所になることが理想的だなと思います。

子どもの頃は、楽しそうなことがあると、すぐに『混ぜて』と言って飛び込んでいたと思います。大人になっても本気で『混ぜて』と言いたくなるような場所やイベントをつくり続けていれば、必然的にコミュニティは大きくなって、仲間が増えていくはず。JAM BASEが、そんな空間になったら良いなと思っています」

今回のイベント時間は、2時間に満たないほど。そんな中、肩書きも立場も異なる参加者が交流し、次々に意見を交換している様子からは、JAM BASEの快活な未来を垣間見たような気がしました。

JAM BASEが誕生するまで、あと1年半ほど。今回話されたようなアイデアが、様々なプレイヤーが混ざり合って実現されていくことが楽しみです。

 

「グラングリーン大阪」の中核機能施設「JAM BASE」が2024年9月に開業予定

https://loftwork.com/jp/news/2023/10/10_jambase

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