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原 亮介 2016.07.26

コピーワーク便秘解消の準備運動をはじめてみた

クリエイティブワークにおけるプランニング、コミュニケーションのフェーズで、いつだって長時間の格闘を強いられるのが、コピーワークってヤツです。
 
  • コンセプト
  • サービス、プロダクトのネーミングやキャッチコピー
こんなアウトプットを生み出そうとすると、あたしゃもうエンドレス。
キャリアのスタートがライターで編集者歴が長かったにも関わらず、超難しい。
なぜ頭を悩ませてしまうのか。
多くの情報を咀嚼して、消化(昇華)して、粋にアウトプットしなくてはならないし、ロジックだけでは解が出せない、いわゆる“クリエイティブジャンプ”が強烈に求められるから。
これは相当難易度の高い芸当です。
本職のコピーライターではないので、局面ごとのポイントでしかコピーと奮闘してこなかったのですが、10年以上に渡るコピーとの奮闘ヒストリーのなかで導いたひとつの解……。というかわかっているんだけど、解けない方程式みたいなものはあります。
 
良いコピーというのは
“未知の良さを、心にくいことばで表現したもの”
 
もう少し細かくすると
 
“未知の良さを、
今の世の中のキブンに合わせて、
心にくいことばで表現したもの”
 
ということです。
 

 
未知の良さ
みんなが思ったり感じたりしているけど表面化されていない良さ。埋もれている価値観みたいなもの
未知の良さについては、コンセプトメイキングについての名著、玉樹真一郎さんの『コンセプトのつくりかた』にも、“コンセプトには未知の良さがなければならない”と書かれていますが、世の中で名コピーといわれる作品は、いずれも未知の良さもしくは潜ってしまっている良さを言語化したものばかりです。
 

 
今の世の中のキブン
世の中に流れている文脈・感覚・価値観みたいなもの
 

 
心にくいことば
みんなが簡単には思いつかない表現、言い回わし。
 

 
例えば、ロフトワークが手がけているプロジェクトのなかでは、ジャパンブランドのプロデュース支援事業「MORE THAN プロジェクト」、フルネーム「MORE THAN FUJIYAMA、SUSHI,SAMURAI,GEISHYAプロジェクト」のネーミングは大好きです。
日本のなかにはパブリックイメージだけではないブランドが数多くあるという「未知の良さ」
 
東京五輪やクールジャパンのムーブメントにのってもっと海外に届けようじゃないかという「今の世の中のキブン」
 
それをMORE THAN→FUJIYAMA、SUSHI,SAMURAI,GEISHYAと、直球勝負のカンタン英語という「心にくいことば」で表しています。
 
ネーミングとロゴデザインのバランスも良いですよね。
 
自分もこんなヒットコピーの安打製造機になりたいなと最近強烈に想い、
いくつかの準備運動をはじめたのでここで紹介します。

準備運動 未知の良さと今の世の中のキブン編

未知の良さと今のキブンを捉えなければ、心にくいことばも作れない。
というわけで、個人的に最近準備運動として実践している方法を紹介します。

「ことば社会年表」で価値観サーフィン

引用:ことば社会年表
ドラマのセリフ・広告コピー・商品名・歌のタイトル・有名人の発言・人や集団の呼び方・社会現象を表すキーワード…etc.。1960年から今日まで日本の社会で共有されてきた、さまざまな「ことば」2000語以上を集めて、年表にしているサイトです。博報堂が提供。
日本人が時代ごとに共感してきたことばを、いろんなカテゴリーから眺めることができます。
 
例えば「家族」のことば
1992 家庭回帰
2011 家族になろうよ
2012 2.5世帯住宅
 
家庭、家族、住まいの価値回帰への流れがあることがわかります。

Amazon検索でタイトル流し

引用:amazonでの検索結果画面
これは単純、Amazonで書籍のタイトルを眺めるという手法です。
・本のタイトルにはテーマをどう切り取るか、切り口が表現されています
・タイトルには背景として社会のキブンが反映されています
 
これも家族で見てみると
 本カテゴリーで家族と検索、ソート順は出版年月が新しい順番
 
『ていへん親孝行』大日野 カルコ
『蜃気楼家族』沖田×華
『家裁調査官は見た―家族のしがらみ―』村尾泰弘
 
家族☓格差社会という切り口が世の中のキブンという気がしてきます。

準備運動 心にくいことば編

良いコピーの方程式の3つ目のファクター、「心にくい言葉で表現する」。
これは、一朝一夕で身につけられる芸当ではありません。
とにかくインプット、とにかく書いてみるの習慣化しかないと思っています。
もっとも効率のいいインプットのツールは、やっぱりTwitter。
 
心にくい言葉のシャワーを浴びる
難しいことは考えず、Twitterで心にくい言葉発信アカウントフォローしまくることにしました。
 
@copy_writter
元面白法人カヤック コピー部で、現在株式会社コピーライターの代表、長谷川哲士さんの、街やネットや本などにある「広告コピー」などを1日1回程度つぶやいているアカウントです。
 
@Copy__writing
プロのコピーライターも数多くフォローしているアカウントです。
無断転載で炎上してたり、問題児でもありますw
 
@TheCopyTheMovie
数ある映画のキャッチコピーつぶやきアカウントのひとつ。
 
@GAMEcatch_bot
ゲームのキャッチコピーBOT。異ジャンルのコピーが意外と参考になったりする。

準備運動 書け

書け

これはとにかく書いてみるしかないんだと思っています。
ボクはまだ習慣化できていません……。
 
すこし発想が飛躍しているようですが、ことばの鍛錬のために、とにかく書いてみる習慣のために、NHK「ケータイ大喜利」にも挑戦したいと思っています。
そのチャレンジについてはまた別の機会に。
原 亮介

Author原 亮介(MVMNTユニットリーダー)

関西のファッション/カルチャーマガジン編集長、ロボットテクノロジー関連ベンチャー、戦略PRコンサル会社を経て、2014年6月よりロフトワーク所属。マーケティング視点を軸に、クリエイティブな価値創出〜価値浸透まで幅広いプロジェクトを手がける。“ヒトを動かす”と“ユースカルチャー”が生涯の学習テーマ。

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