
地域資源を活かした”共創のまちづくり”
共創の力で地域を活性化する、ロフトワークのプロジェクト事例
「まちづくり」は、地域と共に未来を描く営みへ
これまでのまちづくりでは、空間整備や制度設計といった“かたちづくり”が重視されてきました。 その一方で、「整備した場所がうまく活用されない」「担い手が定着しない」といった課題も各地で見られるようになっています。
地域を取り巻く環境が大きく変化する今、必要なのは“つくって終わり”ではなく、 「人」と「関係性」という目に見えにくい資源を、どう育てていくかという視点です。
いま求められているのは、“プロセス重視”のまちづくり
全国の自治体で、行政・地域住民・民間プレイヤーが対話を重ねながら、地域の未来像をともに模索する取り組みが少しずつ増えてきました。
こうした動きの多くに共通しているのは、ゴールをあらかじめ定めるのではなく、問いを共有しながら実践と試行錯誤を重ねていく“プロセス重視”の姿勢です。制度や空間をつくるだけでなく、それを動かす人と、関係を育てる土壌をどう耕すか。この視点の有無が、まちの活力や持続可能性に大きく影響する時代になりつつあります。
ロフトワークが伴走支援する、共創のまちづくり
ロフトワークは、自治体や企業からの委託を受けて、構想・立ち上げから運営・発信まで、地域と目線をそろえて伴走しながら、まちづくりのプロセス全体を支援しています。
本ページでは、公共空間の活用、人材育成、観光、発信など、異なるテーマを持ついくつかのプロジェクトをご紹介します。 いずれも、地域の中にある資源や想いを起点に、関係性を丁寧に編んでいきながら、活動を育てていく「共創のまちづくり」の試みです。
それぞれの地域で芽吹きはじめた変化の兆しから、これからのまちづくりの可能性を感じていただければ幸いです。
地域資源の再編集から生まれる、新たな体験と担い手
地域に点在する歴史や文化、空間、産業、そして人々の想い── そうした「地域資源」を見直し、新たな視点で組み合わせることで、まちに眠る価値を掘り起こし、今ある環境を活かした新たな体験や活動を生み出すことができます。
ロフトワークは、こうした再編集のプロセスを、地域の方々や企業、自治体とともに設計・実行していきます。
事例: 南海電鉄 × 大阪なんば
街の担い手を育む、レジデンスプログラム「Chokett」

都市のなかに点在する遊休空間や日常の風景は、放置されれば“無関心の対象”となりがちです。南海電鉄が手がける本プロジェクトでは、なんばという観光地であり生活圏でもある街で、そうした資源をどう活かし、地域のにぎわいと関係性を育てていけるかがテーマでした。
街の空間や文化的背景に、クリエイターの視点や技術を掛け合わせ、「なんばの街全体をステージにする」ことを目指したレジデンスプログラムを企画・運営。街の多様な場所でクリエイティブな実験を行い、その過程で街の担い手となる人材の育成も同時に行っています。
ロフトワークは、構想立案からクリエイターのコーディネート、プログラム運営、発信支援まで、全体を一貫してサポート。地域資源を編集し、新しい価値を生み出す土台を育てるプロセスを伴走しました。また、プログラムを通じてつながったクリエイターや地域関係者の関係性は、街の未来を共に考え、支え合うコミュニティのきっかけにもなっています。
共創のポイント
- 「地域資源」を“見立て”と創造の視点で再解釈
- 空間の活用と人材育成を同時に実装
- 地域住民・企業・自治体を巻き込んだ“対話型のにぎわい創出”


詳細については、以下の事例記事をご覧ください。
事例:滋賀県大津市坂本
「周遊+食」で体験価値を高める、地域ブランディングの実装プロジェクト

滋賀県大津市坂本エリアは、歴史的な寺社や街並み、食文化など豊かな地域資源に恵まれていますが、観光の動線や発信手段が限られ、継続的な集客や経済効果の波及には課題がありました。
坂本のまちに点在する景観や店舗、文化的背景を「周遊」と「食」の軸で再編集。エリア内の事業者とともに、食の新メニュー開発や、観光ルートや体験コンテンツを企画する「OTOMO(オトモ)プロジェクト」を実施。訪れる人の五感に届く、地域滞在価値を再設計しました。
ロフトワークは、現地リサーチ、コンセプト設計、事業者間の共創ファシリテーション、体験コンテンツの企画、Webサイトやフライヤー制作による情報発信まで一貫して支援。地域資源を“伝わるかたち”に編集し、地域とともに届ける仕組みづくりを担いました。
共創のポイント
- 食や風景といった既存の資源を「体験化」することで、観光コンテンツへ転換
- 地元事業者との協働を通じて、地域ブランドと関係性を醸成
- コンテンツと連動した発信設計により、持続的な集客モデルを模索


詳細については、以下の事例記事をご覧ください。
「共感をカタチにする」コミュニケーションと巻き込みのデザイン
まちづくりは、一部の専門家や行政だけでは進められません。地域に暮らす人々の想いや日常の声をすくいあげ、共感を育て、他者を巻き込みながら「ともに創る」プロセスが、地域を動かす力になります。
ロフトワークは、参加型のプログラム設計や発信支援を通じて、「伝える」だけでなく「ひろがる」まちづくりを伴走します。
事例:宮崎県延岡市
動画総再生数2,000万回。“エンタメ不足”を地域の手で乗り越える、共創型ショート動画プログラム

宮崎県延岡市では、若者の流出や人口減少が進む中で、地域への関係人口創出が喫緊の課題となっていました。その解決の鍵となるエンターテイメントについても、県内で不足しているという状況に直面。こうした背景に対し、地域密着型のメディア企業であるケーブルメディアワイワイが、地域課題の解決に取り組んだのが本プロジェクトの始まりです。
市民と動画クリエイターがチームを組み、延岡の“日常”を題材にしたタテ型ショート動画を制作・発信。延岡のまちや自然環境を撮影地として活用し、200人以上の地域住民が映像制作に関わることで、「自分たちのまちを、自分たちで表現する」という共感と熱量が生まれました。
ロフトワークは、企画段階でのコンセプト設計から、共創の仕組みづくり、市民・クリエイターの橋渡し、SNSを活用した発信戦略まで、 プロジェクト全体をつなぐ“共創のプラットフォーム”としてのデザインを担いました。発信された動画はYouTubeやTikTokを通じて2,000万回以上再生され、延岡の認知拡大と交流・関係人口を増やすことに寄与しました。参加を通じて生まれたつながりや関係性は、今後も地域の中で自発的な動きを生み出す土壌となっていくことが期待されます。
共創のポイント
- 200名超の市民が“表現者”として企画に参加
- 地域資源を「エンタメ」に変換する共創的プロセス
- SNS等を活用した発信が、地域内外に好循環を生む


詳細については、以下の事例記事をご覧ください。
継続的な共創の“土壌”をつくる
まちづくりは、単発のイベントや補助金事業で完結するものではありません。地域の人びととともに、新たな価値を繰り返し生み出していくためには、「つながりを保ち続ける仕組み=共創の基盤」が欠かせません。
ロフトワークは、地域と民間、行政と市民をつなぐ“共創のしくみ”づくりから伴走します。
事例:奈良県生駒市
公民連携を仕組み化する「協創対話窓口」とガイドライン整備

生駒市では、公民連携の取り組みとして「生駒市協創対話窓口」を設置。民間企業や大学などと連携したいという思いがありながらも、事業者からの提案が増えず、市役所内でも知られていないなど、認知の面で大きな課題がありました。
窓口を活性化し、公民連携を促すために、生駒市の協創のビジョンを示す「公民連携基本指針(案)」とこれまでの取り組みをまとめた「生駒市協創対話レポート」を策定。単発の施策ではなく、多様な主体が対話し続けられる“仕組み”としての連携基盤をデザインしました。
ロフトワークは、行政と民間をつなぐ共創のインフラづくりを包括的に支援しました。具体的には、生駒市公民連携基本指針(案)と生駒市協創対話レポートの2種類のレポートの企画・制作を支援し、事業者・市役所職員・市民の誰にとってもわかりやすい内容にまとめました。また、生駒市の公民連携の目指す姿を明らかにするため、異なる部署のメンバーが参加するワークショップを実施したほか、「生駒市協創対話窓口」のロゴマーク制作も行いました。
共創のポイント
- 目的別に段階的に連携を進められるフロー設計
- 行政・民間の双方にとってわかりやすく使える指針の言語化
- 対話が常態化する“文化”づくりまでを視野に


詳細については、以下の事例記事をご覧ください。
小さな実践から見えてくる、共創型まちづくりの共通点
人材育成、体験設計、公共空間の活用──ロフトワークが各地で伴走してきたプロジェクトは、それぞれ異なる文脈を持っています。けれども、どの現場にも共通して見えてきた「まちづくりのエッセンス」があります。
それは、“何かを整える”のではなく、“ともに考え、少しずつ育てていく”という姿勢。地域の中にある想いや資源と丁寧に向き合い、小さな共感を重ねながら未来につながる変化を生み出していく──そんなプロセスに重きを置く取り組みです。
実際に見えてきた、共創型のまちづくりに共通する視点は、次のようなものです。
- 地域の“見えにくい資源”に光を当てる(空間、文化、人の想いなどを丁寧に掘り起こす)
- 共感と発信を通じて、関わる人を少しずつ増やしていく(プレイヤーの拡張と巻き込みを地道に重ねていく)
- 単発の施策ではなく、持続可能な仕組みとしての「エコシステム」を育てていく(共創の文化や仕組みを地域に根づかせる)
こうした積み重ねから、小さくはじまり、育てながら、つながりながら、やがてまち全体の可能性へと広がっていく。それが、ロフトワークが考える“共創のまちづくり”の未来像です。
ロフトワークは、行政や企業の委託パートナーとして、“共創のまちづくり”を支援します
ロフトワークは、まちの課題や資源を起点に、地域の人々とともに考え、育てていく“共創型のまちづくり”を、行政・自治体・企業と協働しながら支援しています。
構想段階のアイデア出しから、リサーチ・共創プログラムの設計、空間や拠点づくり、発信・運営まで。プロジェクト全体を、現場の目線に立ちながらトータルで伴走するのが私たちのスタイルです。
特に、「地域資源の再編集」「コミュニティ形成」「にぎわい創出」「関係性のデザイン」といったテーマにおいて、行政・自治体との協働実績が豊富です。まちなかの再生、公共空間の活用、地域イベントの企画・運営など、目的や規模に応じた柔軟な設計と支援が可能です。
支援内容の詳細についての問い合わせや、「自分たちの地域でも取り組めることがあるか話してみたい」「費用感も含めて、どんな支援が可能か知りたい」「他地域の事例を参考に、次の一歩を考えたい」「地域の課題にあわせた支援の形を相談してみたい」といったご相談も歓迎しています。 まずはお気軽に、以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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