組織を超えたナレッジ共有で、Webサイト制作の企画力を磨く。
Gear8との合宿型勉強会「DEGEIKO」体験レポート
札幌に拠点を構えるWebブランディング&クリエイティブチーム、株式会社Gear8。2024年8月に、同社が他社との合同勉強会として企画する「DEGEIKO(デゲイコ)」がロフトワークとの共同で実施されました。ロフトワークからは、若手を中心としたディレクター9名が札幌へと足を運び、Gear8さんとの技術交流やWebサイト制作における企画力の向上を目指しました。
本勉強会では、「Webプロジェクトの企画とプレゼン」をテーマに、両社混合でチームとなり、それぞれの手法や考え方を学びながら2日間の合宿形式のワークに挑戦。課題として設定された架空のWebサイトのリニューアル方針策定書(企画書)の作成をゴールとして、講師役のメンバーをクライアントに見立て、企画書の作成とプレゼンテーションに挑みました。
本記事では、そんな2日間の濃密な合宿の様子を、ロフトワーク クリエイティブディレクターの小池 陽香がレポートします。
クライアントの3つの「シコウ」に刺さる企画とは?
まず最初は、各課題のクライアント役のメンバーからWebサイト制作/リニューアルの背景や仕様・要件についてインプット。これからのワークにもつながる「お題」であると同時に、プロジェクトの組み立て方も含めて紹介され、各社の手法も垣間見えました。
さらに、各社からは企画書作成につながるヒントもシェア。ロフトワークからは、仕様書や書類を読み解きながら、要件を構造化していき、調査や競合調査に反映させていくプロセスを説明。Gear8からは、調査・ヒアリング時のベースとなる質問やヒアリングを通して達成したい項目の共有が行われました。
「綺麗にまとまりすぎた企画書は刺さらない」と話す待島さん。
企画書を作成するうえで整理しておくべき情報は、クライアントとなる企業・団体の歴史や顧客像だけではありません。彼らの業界での立ち位置、業界のトレンド、ライバル(競合)など、ヒアリングや調査を通して多角的な情報を把握・考察する必要があります。さらに、調査をしながら、どうやって自分ごとにして、ユーザー目線に立てるかが重要になるといいます。
「調査は、相手の『思考』『指向』『嗜好』を想像するための知識を得るために必要。」
と、待島さんが話したように、企画書のフォーマットをただ埋めていくのではなく、何を伝えると相手に響くのか、そして相手が理解できるのかを考える必要があるのです。このような「相手に刺さる企画書」のナレッジを踏まえつつ、いよいよワークがスタートです!
整理した情報をもとに、資料作成とプレゼンに挑む
まずは担当者へのヒアリング項目を決めるため、各チームで調査を進めます。
資料をみながらディスカッションを進めるチームもあれば、時間を区切って個人ワークからスタートするチームもあったりと、各社のやり方を取り入れながら、紙の付箋やFigjam、スプレッドシートでヒアリング項目を整理していきました。
課題設定者をクライアントにみたててヒアリングをした後は、いよいよ企画作りに着手。限られた時間のなかでは、いかに提案のコアになるアイデアに時間をかけられるかが、その精度を左右します。そのためのスケジューリングのコツなどをインプットしつつ、企画のコアコンセプトのアイデアをチームでディスカッションしながら検討しました。
1日目の終わりには、中間発表としてヒアリングとデスクトップリサーチの結果をプレゼンテーションしました。クライアントの特性を考察し、キャッチーなコンセプトを打ち出したチーム、ターゲットユーザーの想定を丁寧に説明をしたチーム、Webサイトを情報発信だけでなく他の機能も付与することを目指すとしたチーム等、それぞれ仮説を打ち出しました。
発表を受け、クライアント役から中間講評のフィードバックとブラッシュアップのヒントをもらい、1日目は終了!
企画をよりよくするために、「要求の一歩先」へ踏み込む
前日の懇親会で別チームのメンバーとも様々な話に花を咲かせた一同は、より打ち解けた状態で和やかにワーク2日目をスタート! と、ここでロフトワーク 取締役COOの寺井 翔茉から前日の中間発表を受けて各チームにもう一歩ストレッチさせる言葉が……。
「みんな、クライアントの『要求範囲のなかだけ』で考えてしまっていないか?」
クライアントの要求に、どう答えるかを考えることはもちろん大切。しかし、要件定義ではまず「何を要件にすべきか」を問うことが不可欠です。つまり、クライアントの想定範囲の外側から提案し、「それがやりたかったんです!」と思わせることが必要だということ。
今回お題とするWebサイトで、なぜリニューアルをするのか? を改めて本質的に問い直し、課題のリフレーミングをして、「要求」を超えていくことを考えようというアドバイスでした。また各チームに向け、昨日の発表でのよかった点と、もう一踏ん張り必要な点が伝えられ、ワークメンバーは改めて気合をいれて資料づくりに挑みました。
ヒントは「思いやり」。企画プレゼンで意識すべきことは?
ワークのナレッジシェアでは、Gear8さんから企画書づくりとプレゼンテーションについての極意が。
「企画書の内容を考える時は、全体を見渡すことと、1ページに集中することの両方が大切」だと話す待島さん。誰が見るのか、どんな視点で見るのかを意識し、バランスを考えながら企画書の構成や内容を考えていくことが大事です。
目的を簡潔にまとめつつ、どんなコンテンツを提示するのか、それをどんなサイト構成で実現するのか。スケジュールも含め、これまで調査してきた内容を、具体的なスケジュールとも照らし合わせながら落とし込んでいきます。説得力を持たせる材料として、データやアンケート、リファレンス資料の活用も欠かせません。
また、どれだけいい企画書を作っても、プレゼンで伝わらなければ意味がありません。Gear8の梅木 雄太さんからは「プレゼンは『おもいやり』だ」という金言が。
伝えている内容を相手がわかっているか、思いやりながら話をし、相手にどんな印象を与えるかが大切だといいます。この人たちに任せたら、うまくいきそうと思ってもらえるか。そのためには、自分たちが自信を持って「これが成果です」として提示できるかが鍵だそう。
また、細かなテクニックとして、プレゼンのなかに「雑談時間」をあらかじめ組み込んでいるそうです。単調にならないよう、余白を用意しながらどう山場をつくるか。どんな意外性を提示できるか。言葉に温度を載せながら、納得感が生まれるように伝えていく。とっておきのナレッジシェアを経て、参加メンバーはワークのラストスパートに挑みました。
これまでの学びとフィードバックを踏まえ、最終プレゼン!
最終プレゼンテーションタイムでは、各チーム、資料の見た目や構成にも工夫をこらし、この2日間で向き合ったクライアントに向けて熱いプレゼンを展開しました。クライアント役の待島さん、菊池に加え、Gear8 CEOの水野 晶仁さんと寺井からも、それぞれのチームに向けて最終講評。
「初めての人とチームを組んでやるのは、難しいところもあったと思う」とねぎらいつつ、厳しくも暖かい、丁寧な講評をしていただきました。
組織を超えた「学び合い」を通して見えたこと
Webサイト企画のプレゼンテーションに初めて挑んだメンバーも、普段の業務から向き合っているメンバーもいるなか、集中して企画作りに取り組んだ2日間。
ワークを進めながら、お互いに「普段はどうされてるんですか?」といった会話も飛び交い、講師からのインプット以外でもナレッジのシェアが行われていました。今回は「架空のWebサイト」をお題とした勉強会でしたが、実際に2社でWebサイトをつくったら、また新しいことがみえてくるかも!?といった、もしもの話に花を咲かせ、名残惜しいなかでの閉会となりました!
クライアントによってWebサイトを構築/リニューアルする動機や目的、達成したいことはさまざま。その一方で、Webサイトがクライアントとその顧客をつなぐコミュニケーションツールの1つであることは共通しています。DEGEIKOで各チームが考えた企画や得られたナレッジが、さまざまなニーズに応え、よりよいWebサイト制作をしていくための引き出しを増やしてくれました。今後のプロジェクトでも、DEGEIKOでの学びを活かしていきたいと思います!!
ロフトワークでは、一緒に働く仲間を募集しています。
自身のWebディレクションスキルを活かしながら、クライアントの課題の本質へとアプローチし、より良いアウトプットを手掛けたい方へ。
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