2020年1月10日(金)~4月5日(日)、漢検 漢字博物館・図書館(以下 漢字ミュージアム)において、企画展『カンジ・ムジカ』が開催されます。ロフトワークは本展示の企画、コーディネート、展示設計を担当。2人のアーティストが「漢字が生まれたとき」に想いを馳せて、音の作品として表現。本展示は「みる」「きく」「さわる」といった五感を大切にしており、来場者が漢字に対して感性的、身体的なまなざしで対峙できるような体験型の展示を目指しています。

「漢字はどこから、なぜ生まれたんだろう?」文字の起源を鑑賞者の身体に呼びおこす体験型展示

2020年1月10日(金)から3ヶ月間にわたって京都の漢字ミュージアムで開催される企画展「カンジ・ムジカ」。ムジカは「音楽」。「漢字はどこから、なぜ生まれたんだろう?」という問いを手がかりに、音のアーティストである2人が、自然現象、人の営み、記すことなど様々な漢字の起源から連想される事象を研究することからこの企画は出発しました。身の回りの現象や光景を記号に変換していく感覚を鑑賞者それぞれの身体に呼び起こす、体験型の展示です。

本展示では「春」も重要なキーワード。会期中、1月から2月は地中の生き物たちが春に向けて力を蓄える季節。3月4月になると命が蠢き、大地に溢れて芽吹きの季節となる。そんな春の持つ、力強さや生命力も表現のインスピレーションとなっています。

2人の音のアーティストとのコラボレーション

企画展では、詩人/作詩家の志人と、声のアーティストであり美術家の山崎阿弥の作品が展示されます。2人とも感情や感覚など、目に見えないものを音を通して可視化しているアーティスト。今回は、漢字 / 文字を「音」という要素を中心に再構築することで、説明的な学習ではなく、鑑賞者の自由な感性で体験できる展示空間が生まれました。

展示1|音郷響門閃闇立日 -なにゆえの あいうえお ことばは どこから?

詩で形づくられた「門」をくぐり、文字の起源を追体験する異世界に入り込むところから、展示体験がスタートします。会場には、詩人/作詩家でありながら木こりであるアーティスト・志人自らが収集した「山岳有魂物体」「丸太」「這」「水鏡」など、様々な漢字のもともとの姿をイメージさせる物を展示。これらは来場者も「さわり」「かなでる」ことができます。また、ハガキの起源であるという「多羅葉」の葉に、期間限定で文字を記す体験などもできます。今回のための書き下ろしを含む音声ガイドを作成。73 分間のおと・ことば・かたり・うたが会場の中に降り注ぎ、鑑賞者自身が展示を通してそれぞれの物語を作ることを促します。音声ガイドに合わせた映像も投影され、志人の「ことば」を視覚的に楽しむことができます。

志人が住まう京都府の山の中から発見された「カタチ」。これらの一部も展示予定

展示会場イメージ図

作家による趣旨文
文字のない時代に人類が命を営む上で取り巻く自然の姿や遍く音に触れる原始的体験を通し、私たち人類が言葉(ことば)を他者へ伝える口承手段・芸術、そして書く(描く)行為により伝達方法を見出した瞬間を表現した体感型展示です。言葉はどこから来たのか? 果ては音はどこから湧き出たのか? その途方もない問いに対し、ひとひらの閃きを拾う旅への誘い。門に人が入り、音に触れ、閃き、闇の中で見つけた文字星の光とは如何に?

志人(詩人/作詩家)
独自の日本語表現の探求により-言葉-に秘められた全く新しい可能性を示す-言葉の職人-。音楽表現のみならず舞台芸術、古典芸能の分野においても国内外で活動する表現者。また森林生態学研究者としても活動し、日々深山に入り地元山林の山守をしている。

展示2|声/千闇千刻の光

半透明のカーテンをくぐった先にあらわれる、「膜」に覆われた10mにおよぶドローイング。鑑賞者がその「膜」にふれると、まるでレンズのように、無数の線が浮かび上がってきます。山崎が声を出しながら紙の上に記したこの「音と響き」を、鑑賞者が自らの手でなぞることを通してアーティストの行為を追体験するとともに、「鑑賞者にとっての文字」を再発見することができます。また、入口側に設置される一対の箱からは、山崎が雨から連想し、刻んだ無数の線が光とともに浮かび上がります。会場全体を包む春の霧のような「うた」に満たされた空間で、鑑賞者自身が、文字をとりまく現象のあわい、記号になる前のカタチ、声と記されたものの関係性を見いだすことを促します。

(右上/左上/左下)レジデンス会場FabCafe Kyotoで制作。うたいながら10mにおよぶ紙に千本を超える線を引く。
(右下)雨からインスピレーションをえた作品。呼吸のようにゆっくりと明滅する光によって像が浮かび上がる。

展示会場イメージ図

作家による趣旨文
これらのかなのいみがわかるとき\それをたすけているのがかんじです/かんじはことばにきめとおくゆきをあたえます/ことばがぞうをむすぶとき\かんじはそれによりそい\あなたのこころやしこうがおこるばしょをゆびさす ―このさくひんは\きざまれたいくせんのせんがつくるやみから\いっぽんのいとをひきあげるように\いみのあるむすびめをあなたがみいだすけいけん/そのとき\かんじのおとは\あなたとわたしのこえでさいせいされ\あなたのなかであたらしくぞうをむすぶでしょう/

山崎阿弥(声のアーティスト/美術家)
自らの発声とその反射を用いエコ・ロケーション(反響定位)に近い方法で空間の音響的な陰影を感得しパフォーマンスやインスタレーションを制作する。近年は量子力学に関心を持ち、声を手がかりに時間と空間の行方、世界の成り立ちを探求している。

展示概要

企画展『カンジ・ムジカ』

期間:2020年1月10日(金)~4月5日(日)
   ※月曜休館。休館日が祝日の場合は、翌平日に振替。
   ※3月30日(月)は開館。
場所:漢検 漢字博物館・図書館 2階
(所在地:京都市東山区祇園町南側551番地)
料金:入館料のみ必要
主催:漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)
ディレクション:株式会社ロフトワーク
問い合わせ:公益財団法人日本漢字能力検定協会/漢検 漢字博物館・図書館 広報担当 岩橋恭子 TEL: 075-757-8513(直通)、075-757-8686(漢検 漢字博物館・図書館  代表電話)
詳細:https://www.kanjimuseum.kyoto/kikakutenji/detail/200110.html

ロフトワークについて

オープンコラボレーションを通じてWeb、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー。
グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材と向き合うクリエイティブサービス「MTRL(マテリアル)」、クリエイターとの共創を促進するプラットフォーム「AWRD(アワード)」を運営。世界中のクリエイターコミュニティと共創することで、幅広いクリエイティブサービスを提供します。

株式会社ロフトワーク 広報:pr@loftwork.com

漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)について

京都・祇園に2016年6月29日に開館した日本初の漢字ミュージアム。京都市元弥栄中学校跡地に建設され、ただ漢字を見るだけでなく、触れる・学ぶ・楽しむ展示を通して、いくつもの驚きや発見を生み出す体験型ミュージアムです。開館3年目を迎え、総来館者数が約35万人となりました。京都から日本の漢字文化を国内はもとより世界へ広く発信し、「漢字って面白い!」と思える子ども大人がたくさん増えるよう、これからの未来に繋がる“かんじ”好奇心をお届けします。

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