株式会社ロフトワーク(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:諏訪光洋)は、日本のZ世代における、自己の外見の捉え方とケアの実態に関するリサーチを行い、レポート「HOW TO FACE GEN-Z?」として公開しました。

デザインリサーチとは、対象者へのインタビューや行動観察を通して、インサイト(人々の行動や態度の深層にある無意識の心理・本音)を導くことを目的としたリサーチの総称です。自身もZ世代であるディレクター3名が中心となり、リサーチ対象者と同じ目線で、対象者が抱えてきたコンプレックスやその発生源、乗り越え方、また一人一人の価値観を丁寧に抽出。Z世代が密かに抱えるニーズのヒントを導きました。

リサーチの背景

メディアやマーケティング調査のなかでよく話題となる「Z世代」。ある特定の年齢層に「Z世代」というキャッチーなカテゴライズがされたことにより、他世代との違いを強調する記事や投稿を目にすることが多くなりました。しかし、Z世代を一括りにして「このような価値観を持っている」という定義づけは可能なのでしょうか。

本レポートは、Z世代と一括りにされることに違和感を感じていた、自身もZ世代であるディレクター3名が発案、実行しました。選んだテーマは、Z世代のコンプレックスにもとづく「自己の外見の捉え方とケアの実態」。ボディポジティブ、ボディニュートラルのムーブメントが広がり外見に対する価値観が多様になっているとされる現在、日本のZ世代は実際どのように自己の外見を認識しているのでしょうか。

「外見の悩み」は人々が抱える普遍的な悩みであるにもかかわらず、その内実を外部が探りにくいテーマです。対象者と同世代であるディレクターが、デザインリサーチの手法であるインタビューや行動観察を通して、生身のZ世代一人ひとりが持つ価値観を丁寧に抽出し、Z世代が密かに持っているニーズを顕在化させることを目指しました。

「HOW TO FACE GEN-Z?」レポートの特徴

「HOW TO FACE GEN-Z?」では、Z世代を一括りにして「このような価値観を持っている」という定義づけは行いません。リサーチ対象者と同じくZ世代である著者自身が、自分たちが持つ価値観は一人一人多様で複雑、かつ流動的なものであると考えているためです。

メディアで報じられているような「一般的なZ世代」とされる人々が存在することを否定はしませんが、私たちが重要だと考えているのは、生身のZ世代一人ひとりが持つ価値観を丁寧に抽出し、Z世代の中の個人と向き合い続けることです。そのため、リサーチ対象者一人一人が持つ着眼点や過去の経験といった細かい粒度でインタビュー結果を整理し、「アーキタイプ(人物像)」「個人(n1)分析」をアウトプットとしてまとめました。

「HOW TO FACE GEN-Z?」構成

1.対象者の特徴を分類した、5つのアーキタイプ(人物像)

インタビュー内容から5つのアーキタイプ(新たなサービスを発想する際の参考となる顧客の人物像)
を作成。アーキタイプの分類は下記2軸で分けています。

  1. 外見に対する価値基準の軸が自分にある/他人にある
  2. 外見に対する自身の価値基準を認識している/認識しておらず探している

また、各アーキタイプに人物のキャラクターがイメージしやすくなるようタイトルを記載しています。

2. 各アーキタイプごとにインサイト、サービス創出のヒントなどを分析。

彼ら彼女らを構成するインサイト

アーキタイプを構成する対象者の発言全体から推察される、「無意識の心理」を記載しています。インサイトはまだ市場で顕在化されていないユーザーのツボを突き、新規のサービスアイデアを考える際に役に立ちます。

サービス創出のヒント

インサイトからサービスアイデアを考える際に使用する「問い」を記載しています。単にインサイトに対応するアイデアを考えるのではなく、様々なエッセンスを加えた「問い」を作成することで、インサイトから想起されるサービスアイデアの幅を広げています。

これまでの外見に対する認識(モチベーションマップ)

モチベーションマップ作成ワークでアーキタイプを構成する対象者に記入いただいた、小学校から現在に至るまでの自身の外見に対する認識を記載しています。モチベーションマップ内ではポジティブ/ネガティブの指標をもとに認識の上がり下がりを表現していただき、顕著に上がったところ/下がったところについてインタビューで深掘りを行っています。

ストーリー

アーキタイプを構成する対象者の発言内容を一連のストーリーとしてまとめています。ストーリーを読むことで、アーキタイプを構成する対象者が現在に至るまでにどのような経験をし、何がきっかけで現在の価値観を抱くようになったのかについての概要を知ることができます。

著者(Z世代)の視点

インタビューを行う中で同世代として著者が感じた共感ポイントや推察をコメントとして記載しています。

3.対象者一人一人の発言から外見に対する価値観を抽出した、9名の個人分析

「外見の捉え方」に関するインタビューの回答と、小学校から現在までにおける外見に対する認識のモチベーションマップ作成ワークの結果から、9名それぞれの「外見に対する価値観」を抽出しました。
個々人のインタビューから、自身のコンプレックスの捉え方、コンプレックスの発生源、乗り越え方をまとめることで、「Z世代」と一括りでは語ることのできない多様で複雑な「外見に対する価値観」が明らかになっています。

「HOW TO FACE GEN-Z?」概要

調査
総数:9名
年齢:10代後半~20代前半

期間:2022年6月〜9月

内容: 日本のZ世代における自己の外見の捉え方とケアの実態について

ダウンロードURL: https://loftwork.com/jp/202210_genz

目次

  1. はじめに|実際、日本のZ世代は自身の外見をどのように認識しているのだろう?
  2. プロセス|「外見に対する認識」をテーマに対象者の過去から現在を知るインタビュー 
  3. アウトプット①|対象者の特徴を分類した、5つのアーキタイプ(人物像)
  4. アウトプット②|対象者一人一人の発言から外見に対する価値観を抽出した、9名の個人分析
  5. おわりに|Z世代とどう向き合ったら良いのか?

デザインリサーチとは

デザインリサーチとは、対象者へのインタビューや行動観察を通して、インサイト(人々の行動や態度の深層にある無意識の心理・本音)を導くことを目的としたリサーチの総称です。既存の商品・サービスの改善を目的としたマーケティングリサーチ(市場調査)とは異なり、個人の心理に着目することで、これまでの市場の延長線上にはないような新たなニーズを見つけ、イノベーションを起こすためのヒントを得られることが特徴です。

リサーチメンバー

ロフトワークでは、デザインリサーチを通してユーザーのインサイトを抽出し新規事業につなげる取り組みを行っています。本レポートを制作したのは、ディレクター集団であるロフトワークの中でも、特に未来洞察や機会発見に特化したVU(読み方:ヴィーユー)チームです。

株式会社ロフトワーク ディレクター 近藤理恵(写真中央)、吉田真貴(右)、幕内稜也(左)

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