ロフトワークが総合プロデュースを手がけた、大阪市港区にある水族館「海遊館」の特別展「視点転展(してんてんてん)~色んな見え方、感じ方~ 」が、第57回日本サインデザイン賞にて銅賞を受賞しました。

海遊館エントランスビル4階

ゆらぎのリズムや食事をするリズムなど、生き物の様々なリズムを、ライトの明滅で表現している空間。鑑賞者自身の心拍をとり、ライトでリアルタイムに鼓動を再現し、他者に触れてもらう体験もできる

双眼鏡のような形をしたカラフルな5つの装置を覗くと、水槽の中を泳ぐ熱帯魚が、ヒトとは異なる色んな見え方をしていることに気が付く

一つの大きな問いに対して、生き物の視点と鑑賞者自身の視点を比較して考えるコンテンツ。スロットのような仕様になっており、答えは一つでないことを表現。写真は「クラゲと考える、じぶんってなんだろう」

キューブの裏には、各生き物の担当飼育員が、それぞれの生き物に対する「偏愛」を詰め込んだ手書きの「B面キャプション」を執筆

制作チームからのコメント

視点転展の制作過程で、成田さんのデザインが加わった時、これまでモノの組み合わせだった展示に命が吹き込まれた!と感じたことを忘れません。そしてデザインのよさだけでなく、チームに成田さんの人間力が加わって、現場の空気が変化して、制作がぐんと進んでいったことも、これまでにない経験でした。成田さん、制作に関わってくださったみなさん、ありがとうございました!

(株式会社海遊館 飼育展示部 部長 兼 海遊館館長 村上寛之)

視点転展のテーマは「視点の多様性」。開催前の数ヶ月間、どうすれば鑑賞者自身の思考を促す展示になるかを、プロジェクトメンバーのみなさんと一緒に何度も試行錯誤を繰り返したことが印象に残っています。最終的に、見方によって文字の立方体の向きが変わって見える錯視の仕掛けを取り入れたタイトルロゴと、ダイナミックに色彩を使い分けて手描きの表現を取り入れた「色んな見え方」を体感する空間サインデザインの表現に至りました。思いの詰まったこのプロジェクトが、今回サインデザインの面からも評価をいただけたことを大変嬉しく思っています。ありがとうございました。

(ナリカタデザイン相談室 成田可奈子)

成田さんが本プロジェクトにジョインしたのは中盤のタイミング。ド共創のプロジェクトらしく、どれを取捨選択するのか、各コンテンツは誰のものなのか、やや混迷した時期でもありました。しかし、成田さんのサインデザインが文字通りこの展示の「標」となり、メンバーの意識及び展示がグッと引き締まりました。そんな成田さんはじめプロジェクトメンバーの結晶がこの度の評価に繋がったこと、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

(ロフトワーク 京都ブランチ共同事業責任者 上ノ薗正人)

海遊館「視点転展」プロジェクトメンバー
左から時計回りに)柳原 一也(ロフトワーク MTRL クリエイティブディレクター)、山口 晶(TEAM クラプトン)、服部 木綿子(ロフトワーク クリエイティブディレクター )、成田 可奈子(ナリカタデザイン相談室 )、今野 恵菜(YCAM )、上ノ薗 正人(ロフトワーク シニアディレクター )、村上 寛之(株式会社海遊館 飼育展示部 部長 兼 海遊館館長)(2022年撮影)

日本サインデザイン賞について

公益社団法人日本サインデザイン協会が主催する日本サインデザイン賞は、優れたサインデザイン作品を広く社会にアピールすることにより、サインデザインの普及および啓発をはかることを目的として、1966年以来続けられてきた顕彰事業です。

海遊館 特別展「視点転展」について

今回、受賞した海遊館は、大阪市港区にある世界最大級の水族館です。展示期間は2022年7月14日(木)から、2024年1月9日まで、約1年半に渡ります。本展のテーマは「視点の多様性」。わたしたち人間を含めた生き物たちが認識している世界の違い、視点や感覚の多様性を実感できる展示を目指しました。

展示空間は、キューブ状の什器や装飾を中心に構成されています。ひとつのキューブは、生き物の命や世界のメタファーであり、それぞれがつながって世界ができていることを表現しています。展示エリアは大きく3つあり、生き物の視点を借りながら問いに向き合う「比較」のエリア、生き物の多様な見え方を擬似体験などする「体験」のエリア、さまざまな生き物のリズムを、光や触覚で感じる「リズム」のエリアです。ぜひこの機会に特別展に足をお運びください。

特別展「視点転展(してんてんてん)~色んな見え方、感じ方~ 」

期間:〜2024年1月9日(火)
場所:海遊館エントランスビル4F
時間:海遊館営業時間と同じ
料金:海遊館入館料に含む
問い合わせ:海遊館インフォメーション 06-6576-5501

海遊館「視点転転」Webページ

Keywords

Next Contents

昨年度滞在制作作品が多数の映画祭で入賞。
延岡発、縦型ショートムービーに特化した映像祭の第2回を開催!