上)京都オフィスメンバー、下)渋谷オフィスメンバー
イラスト:yuriko sumi

あけましておめでとうございます。

2024年の干支は「辰」。辰は、十二支の中で唯一の想像上の生物で、漢字には「振るう」という意味がこめられています。本年も、ロフトワークと皆さんが共振しながら想像することで、未来を創造していきたいと思っています。「すべての人のうちにある創造性を信じる」ことが、ロフトワークのあらゆる活動の出発点です。

これからの未来に向けて、取締役COO 寺井翔茉、Culture Executive 岩沢エリ、Sustainability Executive ケルシー・スチュワートのメッセージを新年のご挨拶としてお届けします。

もっとコレクティブに、より大きなインパクトを

2024年のロフトワークのキーワードの一つが、“コレクティブインパクト”です。これまで私たちは「コミュニティ」を大切なキーワードとして、さまざまな企業、自治体、教育機関のみなさんと共に共創プログラムや場の立ち上げを支援してきました。それら一つずつのプロジェクトが「Unlock potential」や「We believe in CREATIVITY within all」というロフトワークのコアコンセプトにもとづいて取り組んできました。専門家の創造性だけに頼るのではなく、関わる人々それぞれが持つ独自の創造性を発揮することで、風通しのよいオープンな世界を実現できたと信じています。

その一方で、「単一のクライアントの/単一の予算で/単一の活動」によって生み出せるインパクトの限界に直面しています。プロジェクトに求められるゴールが、自社の問題解決だけでなく、より広いステークホルダーへの社会的インパクトを求められるようになる中で、プロジェクトの立ち上げ方や運営方法の進化が必要とされているように感じます。

そのために、ロフトワークがチャレンジする新しいアプローチが“コレクティブインパクト”です。発起人である1社のオーナーシップだけに依存せず、ビジョンを共有できる仲間を集めリソースを提供しあいながら、長期的かつ同時多発的に実践していくような、マルチ・オーナーシップ型プロジェクトの実装に挑戦したいと考えています。そのために必要な契約の枠組みや意思決定の仕組み、成果の把握や、生み出された知財の扱いなど、実現するためのハードルは、山ほどあります。これをご覧の皆さまの中で、よいアイデアがあればぜひご連絡ください。この挑戦もまた、私たちロフトワークだけで実現できるものではなく、コレクティブなアプローチで実現していきたいと思います。今まで考えもしなかったやり方で、もっとオープンにクリエイティブな社会を実現していきたい。2024年のロフトワークは、昨年よりもさらに面白くなると信じています。一緒に企んでいきましょう!

(寺井 翔茉/取締役 COO)

小さな変化を楽しく続けて、想像もしなかった未来にたどり着く

時代の転換期にある今。喫緊の課題ばかりがあちこちに転がっている。どの課題も一筋縄にいかなくて、互いに複雑に絡み合っていて、なかなか解けない。こうした問題に対して、デザインの領域もまた、プロダクトやサービス開発、ビジネスデザインから射程を拡げ、新たな時代に向けた組織変革、さらには社会システム変革やエコシステムの更新へ生かす動きに発展している。私たちが関わるプロジェクトも同じで、大きく複雑な課題をどう解決するか、新しい技術や方法を取り入れながら試行錯誤している。

ただ、こうした問題解決モードのとき、案外忘れがちなのが、「その解決策、ワクワクしますか?」ということだったりする。虫のウンチのお茶、人毛でつくった紙、本物の木の枝にくるくる巻かれた綿飴。いずれも、昨年12月に開催したロフトワークの恒例行事ともいえる大忘年会改め、未来を一緒にソウゾウ(想像・創造)する企み会、「Year End Party」で紹介したり振る舞ったりしたものだ。一瞬言葉に詰まるもの、反射的にドキっとするもの。私たちは自分のあたりまえをつっつかれると、小さな心の抵抗が生まれる。だけど、いざ試してみたら思ったより美味しいし、なんだか面白い・・・意外とありかもしれない。そう思った瞬間から、私たちのソウゾウできる未来が拡張する。

私たちは、ロボットではなく生きものだ。感情がある。家族や友人がいたり、傷ついた経験や大切な思い出、叶えたい欲などを抱えて生きている。どんなにロジックが通った正しい答えと道筋を描いても、人が動かなければ絵に描いた餅で終わる。正しさは、線を引く。楽しさは、輪を広げる。問題の解決策を示すだけに止まらず、「こんな未来をつくりたいね!」と出来ることから面白がって、実践しているうちにあれもやろうこれもやってみようと人が集まり、気がついたらこれまでの問題も解決してしまっていた! 私たちは、そんな人のソウゾウする力を呼び覚ますアプローチをこれからも続けていきたい。小さな変化が小さな変化をよび、いつしか大きな変化へ繋がると信じて。

(岩沢 エリ/Culture Executive, マーケティング リーダー)

グローバルなネットワークの力で、慣習を打ち破るイニシアチブをとっていく

あけましておめでとうございます。
地域のクリエイターやクリエイティブコミュニティを、世界各地のFabCafeネットワークを通じて、グローバルへと繋いできたFabCafeは、今年で12年目を迎えます。昨年は、台湾の大学生達と一緒にバンコクのデザインウィークでXRプロジェクトを展示したり、ニューヨークのコロンビア大学の教授と共に、徳島県や岐阜県で循環経済のフィールドツアーを行いました。

FabCafe Globalは、循環型経済に関するプロジェクトを世界中の地域やコミュニティから集める、crQlr (サーキュラー)Awardsも、2021年から行っています。今年は3月に東京・バンコク・バルセロナでcrQlrサミットと展示会を開催します。

循環経済は、長期的な環境と経済の回復力をサポートするために、従来の直線的な生産と消費のモデルを再考し、現状に挑戦することでもあります。私はこれまで、crQlr Awardsを通じて、とても野心的で創造的な数々の受賞プロジェクトに刺激を受けてきました。一方、コミュニティや企業、組織で持続可能性を目指すプロジェクトを始めるための共通言語作りに苦戦している意思決定者の方々にもたくさんお会いしてきました。

ここで、環境保護活動家として知られるモリス・K・ユドール下院議員(1977-1991)の言葉を紹介することで、皆さんが2024年に一歩を踏み出すきっかけになればと思います。

私はこれまで十数カ所の国立公園を創設する法案を見てきたが、いつも同じパターンだった。最初に現地を訪れて地元住民に国立公園を提案すると、首をくくりつけるぞと脅される。5年後、再び国立公園を提案すると、地元の人たちは 「こんな素晴らしいことはない」と言う。20年後は、さらに賞賛され、山にあなたの名前がつけられるかもしれない。

慣習を打ち破るようなイニシアチブをとろうとすると、はじめは周囲から抵抗を受けるかもしれません。しかし、時が経つにつれて、コミュニティがつくったアイデアは人々の喜びとなり、より持続可能な未来へと開花する可能性を秘めていると私は信じています。

(ケルシー・スチュワート/Sustainability Executive , FabCafe チーフコミュニティオフィサー)

未来を創造するプロジェクトを、一緒にはじめませんか?

3人のメンバーによるメッセージで触れた活動は、ロフトワークの各種SNSでお届けしていきます。また、週に一度配信しているメールマガジンでは、私たちがプロジェクトの実践を通じた発見や、皆さんと一緒に考えた未来の兆しなどを、インタビューやコラムといったコンテンツにしてお送りしています。まだフォローしていない方は、ぜひこの機会にご登録ください。

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