学校法人産業能率大学 PROJECT

リニューアルはスタート地点。PDCAの礎を固めるCMS導入

機会損失を招く構造やデザイン、情報発信のあり方にメスを入れ、CMSを導入

常に最新のマネジメントを研究し、プロフェッショナルな人材の育成を通じて、社会に貢献し続ける学校法人産業能率大学(以下、産能大)。特色ある教育を実践する大学として、その魅力をどう発信していくかは、今回のサイトリニューアルでも大きなテーマとなりました。同学企画広報部長の村山滋氏と、情報サービスセンターの内村雅江氏、ロフトワークの斉藤実帆の鼎談でプロジェクトを振り返りつつ、今後の大学サイトのあり方を考えました。

斉藤(ロフトワーク) 今回リニューアルに至った経緯を教えてください。

村山(産能大) 大学のサイト運営については、従来から大学事務部メンバーと教員からなる担当チームを発足させ、コンテンツの集約を図ってきました。しかし、前回のリニューアルから4年経ち、様々な場面で陳腐化を痛感するようになりました。特に、リニューアル後の無作為なコンテンツ追加の結果、平板で羅列的な特長のないホームページとなってしまっており、本当に見てもらいたいものを見てもらえないという大きな機会損失に陥っていることが問題となっていました。ただ、そうはいってもページ数が多く踏ん切りがつかない。そこへ学科の新設が決まり、いざPRしようとすると、今の構造や情報の出し方では訴求力に欠けることが明白なので、本格的に検討を開始しました。

斉藤 リニューアル前は手動更新だったので、運用負荷がとても高く、情報発信の頻度が低くならざるを得なかった。大学の「顔」としてのサイトトップページが、しっかりメディアとして機能していないという課題がありました。また、大学のパンフレットでは魅力的な講座がたくさんあるのに、サイトにはメインイメージとお知らせのみで勿体ないと感じていました。そこでサイトのデザイン、そして構造を一新するご提案をしました。最終的になぜロフトワークに決めたのですか?

学校法人産業能率大学 企画広報部長 村山滋様

村山 ロフトワークさんのインハウス・セミナーに何度かお邪魔させていただき、基本的な考え方に共感していたことと、たくさんの事例が紹介されていてイメージが掴みやすかったことが大きいです。また、今回はCMSの導入が前提だったので、実績が豊富なことも安心感を覚えました。実はCMSに関しては、いくつかのベンダーさんから話を聞いていて、代表的な製品については調べてたんです。導入・運営に関する費用やシステム的な条件から絞り込み、実際のユーザになる部門の担当者に紹介しました。そちらで検討した結果、ロフトワークさんにお願いすることとなりました。 

内村(産能大) 以前は各部署からコンテンツ作成の依頼を受けHTMLを組んでいたのですが、どうしても時期が集中します。できるだけタイムリーかつ迅速に情報を発信したかったので、担当者が直接ページ作成のできるCMSの導入は必須でした。ロフトワークさんに関しては、要件に適合するCMS製品(WebRelease2)を的確に提案してくれました。またデザイン案もしっかりとした根拠があり、納得の出来るものでした。

大学らしさはいらない!企業サイトを参考に”産能大らしさ”を追求

ロフトワーク クリエイティブディレクター 斉藤実帆

斉藤 驚いたのは、当社がワイヤーフレームを提出するより先に、産能大さんからワイヤーフレームが出てきたことです。みなさんの思いの強さを感じ、いい意味でプレッシャーがありました。例えば、6つあるグローバルメニューの項目などでは強いこだわりをお持ちだったのを覚えています。お互いが真剣勝負だったからこそ、衝突が起こりつつも、切磋琢磨しながら一つのものを作り上げることができたのかもしれません。

村山 私が最初に申し上げたのは、リニューアルはゴールではなくスタートだと思ってください、ということでした。作って終わりではなく、日々運用することを踏まえて取り組んでいただきたいんです。あと斉藤さんから参考にする大学(のサイト)はありますかと聞かれた際に「他大学を参考にしていたらそこを超えられない。業種にとらわれずに尖ったサイトを参考にして!」と言いましたね。やるからには、他の大学がやっていないことを実現したい。そういう思いの強いメンバーばかりでしたから、コンセプトやデザインを決めるフェーズで徹底的に議論しました。

内村 コンテンツに関しては、大学の強みをどんどん出さないと“産能大らしさ”が出ません。これまで以上に大学の目玉になるものをタイムリーに表に出していくことを中心に、担当者一人ひとりにヒアリングを行いながら検討していきました。

斉藤 「部活動が活発」「カリキュラムに実践的なビジネス講座が多い」「アクティブラーニングの取り組み」など産能大の魅力がWeb上で活かされるべきだと感じ、デザイン提案ではその魅力をサイトトップページで効果的に見せることに注力しました。なるべく大学の外の人々に向けて情報が伝わるサイトになるように設計をしました。

ロフトワークが提出したワイヤーフレーム案

今回、プロジェクトメンバー外の関係者が約30名ほどいました。プロトタイプを提示しながらのプレゼンも何度かありましたが、なぜこのデザイン?なぜこの施策?といった質問がかなりありました。ステークホルダーが多いと調整も大変だったのではないですか。

村山 デザインやレイアウトを決める際に、みんなの意見に耳を傾けることは必須です。ただ好みの問題もあるので、全部の意見を採用することはできません。それを無理に調整しようとすると誰の意思でもないものになりがちです。だから目的は全員で共有しておき、それに合うものは採用し、合わないものは見送る、という進め方をすることで納得性が高まると思います。それから、階層に従って順番に意見を聞いていくと尖った部分が段々と削られてしまう恐れがあるので、担当者への説明会には事務部長や学部長にも同席していただきましたが、情報の共有化という面でも非常に効果的でした。

リニューアルはゴールではなくスタート。PDCAを回しながらWebサイトを強化

斉藤 オープンに向けてはタイトなスケジュールでしたが、産能大側の体制と役割が明確で、スムーズに進行できました。また、フラットな関係を作れたことで、同じ目標に向かうチームとしての一体感がありました。

村山 この短期間で出来たのは、やはりロフトワークさんに実力がある証拠でしょう。もちろん、限られた時間とリソースの中でやり繰りするには、当方で割り切らなくてはいけないことも多々ありました。しかし、あとは運用を通じて検証していけばいい話。最初に述べたようにリニューアルはゴールではなくスタートです。ここをスタート地点にPDCAを回していきます。

斉藤 今後の具体的な計画はありますか?

村山 まずはスマホ対応ですね。高校生のスマホ保有率が高まっているので、しっかりと情報を伝えていく必要があります。Webサイト自体のマーケティング機能強化も課題です。アクセス解析をしっかり行ってサイトの改善につなげるとともに、ソーシャルメディアとの連動も図っていきたいと考えています。CMSについては、今後の運用を見極めた上で(今回対象にならなかった)他のコンテンツへの横展開も考えています。

内村 CMS導入後については、今はまだ当センターで更新作業を行っています。コンテンツを作成する各担当者に徐々に操作に慣れてもらい、自分たちで情報発信できるようになれば、コンテンツがどんどん増え、Webサイト自体も強くなっていくでしょう。あとは、見る人の心に刺さるコンテンツをどう作るかですね。

斉藤 実際の顔や様子が見えると、より伝わるかもしれません。ロフトワークも産能大サイトの発展に寄与できるよう、継続してアイデアを提供し、共にイノベーションを起こせるパートナーであり続けたいと思います。本日はありがとうございました。

※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。

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