
誰もが使いやすいWebサイトへ
運用を見据えたアクセシビリティ改善
Outline
2024年4月に施行された改正障害者差別解消法を受け、事業者のWebサイトにおけるアクセシビリティ対応の必要性が高まりました。この法改正により、事業者には障害のある方に対する社会的障壁の除去、すなわち「環境の整備」が努力義務として求められ、Webサイトのアクセシビリティ確保はその重要な一環と認識されました。しかし、その実現への道のりは、必ずしも容易なものではありません。
長年、北摂エリアの地域医療を支えてきた大阪医科薬科大学病院でも、あらゆる人が利用するWebサイトのアクセシビリティ改善を検討していました。
ロフトワークは、2017年のWebサイトリニューアルから継続して、同サイトのアクセシビリティ対応を支援。アクセシビリティチェックの対象ページとして、代表的なページとアクセス数の多いページを中心に50ページ選定し、チェック結果をもとに課題を改善。さらに、アクセシビリティ対応に関するルールを既存のWebサイト運用マニュアルに追記し、多くのユーザーが快適に利用できる基準である「JIS X 8341-3:2016」におけるAA準拠レベルを目指しました。
Process
Webサイトにおけるアクセシビリティ対応の実現に向けて、主に以下の3つの取り組みを支援しました。
アクセシビリティ試験
JIS X 8341-3:2016 達成基準AAに準拠したアクセシビリティ試験を実行。初回と修正後の計2回実施し、現状の課題を専門的な視点から洗い出しました。
Webサイト改修
試験結果に基づき、CMS(WebRelease2)のテンプレート修正やコンテンツの修正を実施。カラーコントラスト比を考慮しながらデザインを調整し、アクセシビリティとユーザビリティの両立を図りました。
運用マニュアル整備
既存の運用マニュアルにアクセシビリティ対応に関する具体的な操作手順を追記。画像のALTテキスト設定、リンク設定時の注意点、テキストのコントラスト比など、運用担当者が今後もアクセシビリティを維持・向上できるための実践的な情報を提供しました。
Output
アクセシビリティとユーザビリティを両立する、Webサイト改修
より多くの人々にとって使いやすいサイトを実現するために、各種機能やデザインなどの改修を行いました。



アクセシビリティ対応を継続するための運用マニュアル整備
アクセシビリティ対応を持続可能なものとするために、過去のリニューアル時に納品した運用マニュアルに、アクセシビリティに配慮したコンテンツ作成のための具体的な手順と注意点を詳細に追記しました。
この運用マニュアルは、大阪医科薬科大学病院にとって、アクセシビリティに関する知識を組織内に蓄積し、担当者が変わっても継続的にアクセシブルなコンテンツを作成できる基盤です。これにより、Webサイト全体のアクセシビリティ品質を長期的に維持・向上させることが可能になります。また、アクセシビリティに配慮した情報発信は、より多くの人々が快適に情報を取得できるWebサイトへと繋がり、病院の信頼性向上にも貢献します。
具体的には、コンテンツ作成担当者が日常業務で参照できるよう、以下のような項目を盛り込みました。
- 画像の代替テキスト:種類や内容、分かりやすく記述することの重要性を解説
- コントラスト比:画像内のテキストと背景色の適切な比率を提示
- ビジュアルエディタ:Wordなどからのコピー&ペースト時の注意点と対応方法を紹介
- リンク設定:外部リンクやPDFファイルへのリンクは別ウィンドウで開くよう推奨
- 読み上げに配慮した記述:音声リーダーが誤読しやすい記号と、その代替表現を掲載
- スペースの利用:見た目調整のための安易なスペース利用を避け、適切なマークアップを推奨。

Credit
プロジェクト基本情報
- クライアント:大阪医科薬科大学病院
- プロジェクト期間:2024年12月〜2025年4月
体制
- 株式会社ロフトワーク
- プロジェクトマネジメント:小野村 香里
- ディレクション:伊藤 友美
- プロデュース:藤原 里美、吉江 美月
- 制作パートナー
- アクセシビリティチェック:株式会社ハマ企画
- コーディング、テンプレート開発:株式会社ネクストページ
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