柔軟性・拡張性の高いCMSを採用、今後の拡張を見据えたサイト
2社体制になった日本法人を、分かりやすくPRするためにサイトをリニューアル
IT関連の雑誌・書籍出版、オンラインメディア事業、イベント事業と幅広く展開するIDGジャパン。約3年前、事業拡大に伴い、新会社のIDGインタラクティブにオンラインメディア事業とイベント事業を移管しました。2012年6月Webサイトの情報整理とCMSの導入を目的に、両社の情報を掲載したコーポレートサイトをリニューアル。
今回のプロジェクトを担当したIDGインタラクティブの吉田聡氏と中島浩則氏、ロフトワークのクリエイティブディレクター太田聡との対談で、開設までのプロセスを振り返ります。
太田(ロフトワーク) 今回サイトをリニューアルすることになった経緯を教えてください。
吉田(IDGインタラクティブ) 私たちは、メディアと調査、イベント関連事業を97ヶ国で手がける米インターナショナルデータグループ(IDG)の日本法人で、IT系のメディアとイベント事業を30年前から展開しています。3年前、業容の拡大と市場環境の変化に対応するため、組織改革を行いました。ビジネスを大きく2つに分け、IDGジャパンは雑誌・書籍出版に特化し、オンラインメディア事業とイベント事業を新会社のIDGインタラクティブに移管する体制に変えました。
日本法人は分社化はしたものの、2つの会社は密接に連動しています。別々のコーポレートサイトを運営していては読者と顧客のみなさんを混乱させてしまうのでしばらくは、IDGジャパンのコーポレートサイトにIDGインタラクティブの企業紹介ページを置いていました。それから3年が経ち、「IDGインタラクティブをしっかりPRしていこう」ということと、社員が簡単に情報を発信できるようにリニューアルすることにしたんです。
太田:そういう経緯があったのですね。そのなかで、今回、Web制作会社としてロフトワークを選んで頂いたのはなぜですか?
吉田:IDGインタラクティブのオンラインメディア「CIO Online」と「Computerworld」は、CMSにDrupalを採用し、米本社のコーポレートサイトもDrupalで運営しています。なので、今回のプロジェクトも使い慣れているDrupalを活用することを決めていました。
そこで、Drupalを扱うことができるWeb制作会社を探したのですが、なかなか見つからなかったんです。そんななかで、ロフトワークを知り、声をかけたら「ぜひやらせてください!」と言ってくれて。ロフトワークは、Web制作者やデザイナーなどのクリエイターも集まって、リソースも潤沢にある。(開発プロジェクトに関わる)人員を確保できないと言われる心配もなさそうだと思っていましたし、実績が豊富にあることも知っていたので、お任せすることにしました。
ニーズに合った独自の細かい設計を可能にするCMS「Drupal」
太田 ありがとうございます。プロジェクトは2011年10月にスタートし、開発期間は約7ヶ月。長い間お付き合い頂きましたが、ロフトワークとのプロジェクトはいかがでしたか?
吉田 デザインに関しては、米本社のサイトとデザインの統一感があり大変気に入っています。
太田 ありがとうございます。今回は、デザインプランを2パターン用意して、1つは米本社のテイストを意識したもの、もう一方が日本らしいオリジナリティを出したものを提案させて頂きました。いろいろと意見を交わして、最終的に本社サイトとの親和性があるデザインをベースにしたものを採用してもらいました。
中島(IDGインタラクティブ) 多くの社員から意見をもらって、実は最終的には多数決で決めたんです。以前のコーポレートサイトは、見にくく情報も整理されていませんでしたが、異なるボタンとフォントを使うことなどで情報を体系立ててくれ、すごく見やすくなりました。
太田 リニューアル後のサイトはいかがですか?
中島 非常に使いやすいです。さすがによくDrupalを研究されていて、カスタマイズしていると感じました。格段に更新しやすくなったので、営業部門やイベント部門が自らCMSを操作して積極的に情報発信する習慣が生まれました。そのおかげで、コンテンツのボリュームがだいぶ増えました。
太田 Drupalは拡張性の高いCMSで、今回のプロジェクトは私にとってもチャレンジでした。どのように仕様を策定するか、制約条件はどこにあるのかを、エンジニアと頻繁にコミュニケーションを取りながら、緻密に形にしていきました。業務時間外でも、専門書を読み込んでかなり研究をしましたね(笑)。
また、今回のプロジェクトでは予算的制約もあり、最低限のテンプレートしか用意することが出来ませんでした。しかし、中島さんも、サイトを更新する方々もHTMLが書けることが分かっていたので、妥協点を探しながら設計を進めることが出来ました。
中島 DrupalはCMSというよりも開発環境なんですよね。誰でも簡単に使うことができるわけではない“くせ者”。その代わりに自由度が高く柔軟性がある。どんな使い方をして、どこまでの機能を使うか、太田さんと細かくすり合わせをしながら慎重にプロジェクトを進めました。コミュニケ—ションの面では、太田さんにかなり助けられました。小まめにコンタクトを取っていただいて、こちらも安心して進行をお任せできました。
太田 確かにそうです。Drupalは、他のCMSに比べて機能が非常に豊富な印象を持ちました。ワークフローなどの細かい権限設定も可能で、増改築しやすい構造なので、エンタープライズ並みのCMSとして、高いポテンシャルがあるな、と。最初はシンプルにつくり、その後機能を拡張させながら育てていくには格好のプラットフォームですね。
企業サイトをDrupalで構築 拡張性の高さに広がる未来
太田 おかげさまで、サイトを開設することができました。吉田さんは、今後も段階的にWebサイトを拡張していこうと考えていますね。
吉田 やりたいことはたくさんあります。イベントページでは、単にイベントの概要を掲載するだけでなく、参加の申し込みをページ内で出来るようにしたい。有料のコンテンツを紹介し、購入したいユーザーに対して即座に課金・決済する機能も欲しいですね。メールマガジンも定期的に配信しているので、メールの一斉配信機能もあったら便利です。
先ほどもありましたが、Drupalは拡張性が高いので、今はシンプルな機能にとどまっていますけど、今後は進化を続けて使いやすさを維持しながら多機能化を図っていくつもりです。
中島 Faceboookなどのソーシャルメディア系サービスとの連動で、面白いことが何かできないかなと、私は思っています。
太田 なるほど。ソーシャルメディアの研究は、われわれもかなり力を入れています。今後の機能拡張でも、ロフトワークがお手伝いすることができる部分があると思うので、今後ともぜひよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。