エースホーム株式会社 PROJECT

回遊性の重視とモバイル最適化により、Webへの流入機会を創出

ファンづくりの土壌としてのWebサイトへ、3回目のリニューアルを決断

エースホーム株式会社は、地域密着型の住宅供給をめざしてフランチャイズを展開する企業です。「みんなに夢のマイホーム」を合言葉に、お客様との末永い信頼関係を大切にする姿勢は、同社のWebサイトの進化にも見て取れます。そのリニューアルの歩みは、CMSを導入し更新作業を効率化した1回目、コンテンツの拡充によりブランディングを強化した2回目に続き、早くも3回目。

Webサイトのあるべき姿を一緒に考えてきたロフトワークと共に、今回はどんな狙いのもと、どんな成果を手にしたのか。発注者と受注者の関係を超え、まさにチーム一丸となって取り組んだエースホームの佐藤直敬氏、金森剛史氏、ロフトワーククリエイティブディレクターの太田聡、小川友梨子の4人がプロジェクトを振り返りました。 

太田(ロフトワーク) 前回のリニューアルから2年。今回はどのような経緯でリニューアルに踏み切ったのですか?

エースホーム株式会社 佐藤直敬様(左) 金森剛史様(右)

佐藤(エースホーム)  ブランディングに努めてきた成果として知名度が上がり、企業の信頼感、安心感も醸成されつつありました。しかし、「ホームページを見て安心した」で終わるのではなく、その先に目指すべきは、エースホームを好きになってもらうこと。そのためのリニューアルです。 

金森(エースホーム) 前回のリニューアル後に資料請求が150%の伸びを見せるなど目に見える成果を上げ、Web担当者として嬉しい反面、次のステップに向かうには資料請求以外のゴールもあるのでは?と考えるようになりました。たとえば、加盟店が開催するイベントへの来場予約フォームを追加したのも、新しい流れを作る施策のひとつです。

消費行動モデルを念頭に、Webサイトが担う共感→確認の役割を重視して設計

小川(ロフトワーク) 今回大きなテーマになったのが、共感→確認→参加→共有・拡散の消費行動モデル「SIPS」でしたね。中でもファンづくりにおいて重要なのが、共感→確認の部分。この点についてプロジェクトメンバー間で共通認識を形成し、サイト設計では、お客様が「そうだよね、いいね」と思うコンテンツを用意し、サイト内で回遊する仕組みを作るよう心がけました。

特にパワーと時間を割いたのが導線設計です。ワークショップを実施してメインターゲットを明確化するとともに、エースホーム自身がどんな思いで商品を作っているかをヒアリング。見せたいコンテンツは何なのか、ターゲットがどういう軸で商品を探すのか、みんなで議論を重ねながら、主要なページはシナリオを何パターンも作って導線を確保していきました。

金森 その結果が落とし込まれたワイヤーフレームは、かなり具体的で精度の高いものでした。そもそもターゲットが曖昧だと意図した見せ方はできません。そのために出したい情報が出せずにいたのも事実です。以前から展開していたコラムや、紙媒体で発信している情報など、すでにあるコンテンツを見てもらい、客観的な視点でアドバイスをもらえたのも良かったです。

サイトワイヤーフレーム

一方で加盟店の協力も不可欠。当社を気に入ったお客様は、近くに加盟店があるか?どんなお店か?を知りたいと思うでしょう。加盟店が積極的にWebサイトの運営に関わることで情報量が増え、お客様が加盟店に来店したり、イベントに来ていただきたりすると思います。そこで、CMSの運用マニュアルや更新しやすいテンプレートを作ったり、Ustreamの説明会を実施したりと、当社なりにいろいろ工夫しました。

佐藤 加盟店への来店、イベントへの参加は絶対に必要なアクションです。とにかく一回足を運んで「エースホームはいいね」と思ってもらい、気軽に立ち寄ってもらえる関係を目指す。このステップなくして商談には至りません。だからこそWebを効果的に活用し、検討の初期段階、あるいは検討に入る前の段階で顧客接点を創り出したかったのです。今回お願いをしたスマートフォン対応も、顧客接点創出、共感醸成の一環で行いました。

スマホ、タブレットでの閲覧増加を見越し、モバイル対応も実施

小川 顧客接点の創出という意味では、今回スマホ、タブレットでのサイト閲覧に最適化したのは重要だったと思います。近年スマホやタブレットでのサイト閲覧数は確実に上がっています。エースホームさんのメインターゲットユーザも、まずはスマホで検索しサイトにたどり着くことが多い、また今後もそういうシチュエーションは増えていくと考えました。スマホでコンテンツを閲覧しても「いいね!」と共感してもらえるよう、意図したとおりコンテンツを表示させるために実装にはとても苦労しましたが、結果としてユーザとの信頼関係を築き、共感を醸成するためにはスマホ対応は必要だったと思います。

狙いどおりコンテンツ間の回遊性が向上、“見られる”サイトに変貌

太田 現時点でリニューアルの成果をどのように感じていますか?

金森 加盟店経由での流入が多かったのが、リニューアル後はトップページからの流入が一気に増え、離脱率も低下。ファンづくりを意識したサイト設計が功を奏したのか、訪問者数、総ページビュー数、平均訪問別PV数、滞在時間が軒並み上昇し、狙いどおりコンテンツ間の回遊も見られます。ただ、資料請求数がほぼ横ばいであること、イベント予約の出足が鈍いことについては、ボトルネックを分析する必要もありそうです。

小川 厳しい見方をすれば、回遊しているということは迷っていると考えることもできます。ゴールに到達しないのはなぜか、資料請求に至らない人やイベントに関心のない人とどう接点を持ち、どうコミュニケーションを取るべきかをもう少し詳しく探ってみたいですね。運用面では何か変化はありましたか?

金森 加盟店の主体性を促すことで本部での更新負荷が減り、コンテンツは増えるし、Web担当者としてやりたい仕事に注力できる土壌が出来ました。

佐藤 もちろん、まだまだやりたいことはありますよ。次のステージは、エースホームで検索して来てもらうのではなく、家を探している多くの人たちに来てもらえるサイト。今回のリニューアルで、その一歩を踏み出すことができました。何より一番良かったのは、発注者と受注者ではなく、1つのチームとして関係者全員が主体的にプロジェクトに関われる関係を維持できたこと。最初に役割分担を明確にしつつ、進捗状況や負荷を見ながら柔軟に対応いただけたのも助かりました。

太田 ディレクター冥利に尽きるお言葉です。確かに全員が自分事として仕事をしていた感じはありました。引き続き、いかにしてお客様にとってストレスのないコミュニケーションを実現し、エースホームが必ず候補に入る状況を創り出すかを考えながら、次なる挑戦にも一緒に臨めれば幸いです。本日はありがとうございました。

※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。

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