京都ステーションセンター株式会社 PROJECT

京都駅前地下街を活性化させるシンプルで使いやすいサイト設計

京都駅前地下街「ポルタ」のリニューアルに伴いWebサイトも一新

2014年3月20日、京都ステーションセンター株式会社が運営する京都駅前地下街「ポルタ」がリニューアルオープン。改装を機にメインターゲットを20~30代の女性に設定。“ときめき”と“やすらぎ”をコンセプトに、感度の高いアパレルや雑貨のショップを集積させました。

新ポルタの盛り上げ役として期待されるのが、同時にリニューアしたWebサイト。注目すべきは、CMSのconcrete5を導入し、スマートフォンでの更新を可能にした点です。運用を変える決断の背景やリニューアルの狙いについて、ロフトワークの川上直記が、京都ステーションセンターの野澤雅子氏と松上奈央氏に伺いました。

川上(ロフトワーク):ポルタ店舗自体がリニューアルのきっかけとはお聞きしましたが、旧サイトではどのようなな課題がありましたか?

京都ステーションセンター  営業推進部 販売促進課 係長 野澤氏

野澤(京都ステーションセンター):すべての情報を前に出そう、出そうとした結果、情報が整理されないまま更新され続けることになり、まさに“カオス”状態でした。改めて情報を整理するとともに、新しいサイトでは、ショップが発信するさまざまな情報を1つのテーマで集めて、自動表示してくれる仕組みを実現したいと考えました。また、運用の負荷軽減を目的として、一度の更新で複数のデバイス向けのページが生成される(ワンソース・マルチユース)ことも必須要件でした。

新しく実装した各店舗の情報をテーマで集め、自動表示する仕組み

スマートフォンでの更新を可能にし、ユーザーにとって使いやすさと運用のしやすさを両立

松上(京都ステーションセンター):以前のサイトは情報であふれるくらい、自由に作れる部分もあれば、非常に制約が大きい部分もあるという状況で運用側が苦労していました。また、更新作業は自分達か外部業者のみしか対応できず、店舗の情報発信をタイムリーに行えないのも不満でした。

野澤:ショップの店員が写真を撮ってその場で更新できる、あるいは普段から更新しているショップブログなどの内容をそのままコピーできるぐらいのことを考えてあげないと、鮮度の高い情報が増えていきません。若い店員はFacebookやTwitterでのコミュニケーションにも慣れていますから、同じ感覚で、スマートフォンで手軽に更新できたらと考えたのです。

川上:運用負荷を減らしながら、いかに効率よく、かつ効果的に情報を発信していくか。そこで、スマートフォンで更新という発想になったのですね。Webサイトの表示をスマートフォンに最適化するケースは数多く経験していますが、スマートフォンでの更新に挑戦した事例は当社も初めてかもしれません。

川上:ロフトワークをパートナーに選定されたのはどんなきっかけでしたか?

野澤:CMSを使いコンテンツを一箇所に集める仕様を実現したいと考え、情報を集めていた際に、ロフトワークのセミナーに参加したのがきっかけでした。CMSの実績はもちろん、カフェも展開されていて、Webに限らず色々な可能性をお持ちです。ロフトワークならではの“何か”ができそうな期待感が1つのアドバンテージになりました。でも、決め手はオフィスが京都烏丸にあったからです(笑)。直接話せることが第一条件で、渋谷にしか拠点がなかったら検討していなかったかもしれません。

川上:ありがとうございます。我々としても、普段生活圏として利用している、ポルタさんからお声がけを頂いて大変光栄でした。いつも以上に気合いが入り、毎回打ち合わせの後に、ポルタ内の導線やお店の様子などをフィールドワークしながら、リニューアルのアイデアを練っていきました。(笑)

まずは、店舗側のリニューアルに合わせて変更になったメインターゲットのペルソナを改めて作成し、その人たちが好む雑誌やブランドのイメージなどからクリエイティブの方向性を検討していきました。その上でキーワードに落とし込み、ポルタのコンセプトでもある“ときめき”と“やすらぎ”とのバランスを考慮して具体的なデザインを考えていきました。

改めて設定したペルソナにキーワードを定義してデザイン・仕様を作りこむ

また、ショップの数が多い分、情報のレイヤーも多い。情報設計においては、既存の情報の洗い出しを行い、優先順位をヒアリングした上で、メニュー構成を詰めていきました。ターゲット属性に合わせて入口を大きく3つに分け、欲しい情報に真っ先に到達できるようにしたのがポイントです。

野澤:20~30代の女性に来てもらうとなると、優先順位は必然的に「ファッション」、それに伴う「レストラン」、京都の玄関口として外せない「お土産」となります。雑然としていた情報を整理し、明確な入口を決めてスッキリさせました。

リニューアル後ユーザー数が倍増。見せ場を求めて各ショップの更新も活発化

川上:リニューアルの感触はいかがですか?

松上:実店舗自体がリニューアルした影響もあるので単純比較はできませんが、オープン1ヵ月はユーザー数が倍増しました。20万平均だった月間PVも、50万まで上昇。顕著に伸びているのは、こまめに更新しているショップのアクセス数です。今までどおり委託業者に更新を依頼する予定だったショップも、「新商品が入ったらその場でお客様に知らせたい!」という思いが強くなり、スマホで更新するようになりました。

京都ステーションセンター 営業推進部 販売促進課 松上 奈央氏

また、当初欲しかった機能として、更新時に該当するタグを選択するだけで、期間限定の特集ページなどに自動的に情報が掲載される仕掛けも実現しました。とにかく気軽に更新できるので、フットワークが軽くなった印象です。

野澤:直感的に更新できることを重視したので、それが実現できている証拠です。更新すればするほど自分たちの見せ場が増えるので、積極的に更新してくれます。店員は若い子が多いので、やはりスマートフォンで更新できるのが大きいでしょう。

川上:次のステップとして何か考えていますか?

野澤:実際にポルタに足を運んでもらえるような仕掛けづくりですね。どうすればWebサイトに滞在してもらい、見てもらい、行ってみようと思えるページが作れるか。どこまで面白く楽しく表現できるかを考えていきたいです。

松上:そういう意味では、コンテンツのクオリティを上げることにも注力していかなければなりません。facebookやtwitterなど、今はまだなんとなく運用しているソーシャルとの効果的な連携も検討課題です。

川上:当社も、Web周辺を含め、Webの可能性を拡げられる“何か”をご提案していきたいと思います。

※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。

お客様の声

京都ステーションセンター株式会社営業推進部 販売促進課 係長
野澤 雅子氏

ショップの店員が写真を撮ってその場で更新できる、あるいは普段から更新しているショップブログなどの内容をそのままコピーできるぐらいのことを考えてあげないと、鮮度の高い情報が増えていきません。運用を簡素化できれば、おそらく見る側にとってもシンプルなものになるはず、と期待しました。ロフトワークはカフェも展開されていて、Webに限らず色々な可能性をお持ちです。ロフトワークならではの“何か”ができそうな期待感が1つのアドバンテージになりました。でも、決め手はオフィスが京都烏丸にあったからです(笑)。直接話せることが第一条件でした。

京都ステーションセンター株式会社営業推進部 販売促進課
松上 奈央氏

実店舗自体がリニューアルした影響もあるので単純比較はできませんが、オープン1ヵ月はユーザー数が倍増しました。20万平均だった月間PVも、50万まで上昇。顕著に増えているのは、こまめに更新しているショップのアクセス数です。今までどおり委託業者に更新を依頼する予定だったショップも、「新商品が入ったらその場でお客様に知らせたい!」という思いが強くなり、スマートフォンで更新するようになりました。とにかく気軽に更新できるので、フットワークが軽くなった印象です。

プロジェクトメンバー

川上 直記

川上 直記

株式会社ロフトワーク
クリエイティブDiv. シニアディレクター

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