テンプスタッフ・テクノロジー株式会社 PROJECT

「エンジニアから選ばれる」コミュニケーションの全体戦略策定

プロジェクト概要

  • 課題
    自社の強みを効果的に発信に課題
    イベントの開催が目的化し効果が薄れている
    集客チャネルが一部外部メディアに依存
    各施策がロイヤリティに寄与していない
  • 目標
    複数のタッチポイント横断した一気通貫のメッセージ発信
    自社メディアによる集客
    各コミュニケーションチャネルにおけるコミュニケーションの最適化
    リアルなイベントを通じたキャリア形成支援
  • 成果
    ビジネス課題の明文化と共有
    コミュニケーション戦略マップの完成
    イベントの企画運営ノウハウの確立
  • 体制
    クライアント:テンプスタッフ・テクノロジー株式会社
    プロデューサー:柳川 雄飛
    ディレクター:長者原 康達

複数のタッチポイントを横断した一気通貫のメッセージを発信

人材サービス業という、雇用の数だけ複雑化する業務内容により属人的になりがちな見えづらい課題に対し、ロフトワークではビジネスの課題の明文化した上でコミュニケーションの全体設計を行い、イベント実施などのリアルな場も含め、一気通貫のメッセージ発信をご提案いたしました。

今回は、Web・IT分野専門の人材派遣会社、テンプスタッフ・テクノロジー株式会社の代表取締役社長 藤﨑 貴司氏、人事企画部 橋詰 真由美氏、東京エリア事業部 首都圏登録企画チーム マネージャー 後藤 武史氏にプロジェクトの内容と感想をお伺いしました。

「エンジニアファースト」をキャッチフレーズに、自社の強みを効果的に伝える方法を模索

西本(ロフトワーク) 今回のコミュニケーション戦略策定プロジェクトは、どのような課題からスタートしましたか?

 

テンプスタッフ・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 藤﨑 貴司氏

藤﨑(テンプスタッフ・テクノロジー) 約1年前から、当社の強みを再定義すべく議論してきました。我々が導き出した結論は、エンジニアが伸び伸びと実力を発揮できる働き方を支援し、新しい技術や成長著しい分野にチャレンジできるようキャリア形成支援すること。エンジニアの市場価値を向上させることができる会社になろうということでした。そこで、「エンジニアファースト」をキャッチフレーズに、エンジニアとの関わり方や、社内の仕事の仕組み、やり方、流れを変えることに取り組み始めました。

しかし、あるべき姿について漠然としたイメージは共有できるものの、定義したことをエンジニア目線でどう伝えていくべきかがわかりません。社内のリソースでは限界を感じ、ロフトワークに協力を依頼したのです。

西本 ロフトワークはどちらでお知りになったのでしょうか?

藤﨑 ロフトワークが運営するクリエイターネットワークを知ったのが、接点を持ちたいと思ったきっかけです。アウソトーシングという意味では、フリーランスも派遣も近しいものがあるので、連携による相乗効果が望めるのでは?と考えたのです。正社員、派遣、フリーランスという枠を越え、もっと自由な働き方が出来てもいいだろうと・・・。そんな話の中で当社の悩みを打ち明けるうちに、逆にご提案いただく流れになりました。

強みであるキャリア形成支援を中心に据え、ロイヤリティ向上に寄与するチャネル計画を作成

柳川(ロフトワーク) 「エンジニアから選ばれる」を実現するためには、部分最適ではなく、エンジニアとのコミュニケーショ全体を、統合的に見直していく必要があると考えました。テンプスタッフ・テクノロジーを知り、イベントに足を運び、人材登録し、面接を経て就業する。という一連のユーザ体験を考え、Webでのコミュニケーションはもちろん、リアルな接点としてのイベントや、ツール、空間などの体験全体をご提案しました。

ロフトワークシニアディレクター 西本(左)プロデューサー 柳川(右)

西本 最初の打ち手として今回はコミュニケーションの全体設計を行いました。まずは市場調査や競合調査を行い、その結果をもとにチャレンジポイントを検討。テンプスタッフ・テクノロジーの強みであるキャリア形成支援にフォーカスしつつ、外部メディアに依存している集客を自社メディアに移すことを目標に、全体のチャネル計画を作成していきました。

テンプスタッフ・テクノロジー株式会社 人事企画部 ブランディング戦略室 橋詰 真由美氏

具体的なコミュニケーション要件を定義するため、派遣スタッフにインタビューも行いました。そこで気づいたのは、人対人の信頼関係がロイヤリティを高めている事実です。タッチポイントを考える上でも、単にデジタルメディアを作って認知を広げるのでなく、キャリアコンサルタントが介在し、人がデジタルとリアルをうまく結びつける設計が必要と考えました。

アウトプットとしての「コミュニケーション戦略レポート」や「コミュニケーション戦略マップ」を実際にご覧になって、いかがでしたか?

橋詰(テンプスタッフ・テクノロジー) 自分たちなりに仕事上の課題は把握できていたつもりでしたが、人によって、課題の定義が微妙に違っていたり、あるべき姿への到達度に対する認識も、立場によって大きな隔たりがあることが分かりました。プロジェクトに参加した若手社員も、目の前の業務をこなすのに必死で、会社の全体像を俯瞰したり、自分の仕事をここまで深く考察したりする機会はなかったようです。

後藤(テンプスタッフ・テクノロジー) ユーザーインタビューの結果は、できているつもりができていなかった、という気づきになりましたし、各チャネルのあり方など、あらゆるところに深堀りできていない点があることを再認識しました。明文化されたことで、全体を見渡せたのは大きいですね。

集客のフックになる重要なチャネル施策として、イベントのあり方を再設計

ロフトワーク OpenCU ディレクター 長者原

柳川 選ばれるブランドになることをテーマに、エンジニアとのタッチポイントを統合的に見直す中で、チャネル施策の一つとして、イベントの企画運営も支援しました。エンジニアが会社を知り、イベントに足を運び、登録し、就業するまでの一連の体験をデザインしていく上で、イベントはフックになる重要な施策です。その品質を平準化しつつ価値を高めることが大きな目標となりました。

藤﨑 イベントの目的は2つ。新規登録者を増やすことと、既存の派遣スタッフへのリマインドです。当社に登録していながらご縁がなく、他の派遣会社で就業している方も少なくありません。定期的にイベントを開催することで、絶えずコミュニケーションし続け、ロイヤリティを高めてもらうはずが、開催することが目的化してしまい、その効果は極めて小さかったと言えます。

長者原(ロフトワーク) イベントを企画〜集客〜実施までの一連の流れに整理し、各ポイントを共有していきました。過去4年のOpenCUの運用経験から、各フェーズにおいて「意図したことが達成できた」が重要だと考えています。Webマーケティング的な発想に基づき、流入経路の把握、施策と集客管理のシート、メルマガ制作&発行、アンケート設計などを組み合わせてチームで可視化しておきます。これをイベント後もレビューできる運用を行っていきます。

その上で、一番伝えたかったのは、チームでイベント運用することで、自社の売りを意識するようになったり、社内からアイデアが盛んに出てくる雰囲気が作られるのが重要ということでした。

テンプスタッフ・テクノロジー株式会社 東京エリア事業部 首都圏登録企画チーム マネージャー 後藤 武史氏

後藤 ちょうど今イベントが1つ終わったところですが、ここで得たノウハウは確実に弊社として平準化につながっていくと感じています。従来はイベントごとにエンジニアへの伝えたい事やメッセージが違っていましたが、「TT型人材※の創出」という柱になるキーワードとコンセプトを提示してもらったおかげで、イベントの軸足がしっかり固まりました。キャリア支援を実現していくための礎が築けたといえます。

※二つの領域に特化していると同時に、幅広い知識や経験を得て、特化している分野に落とし込んでいける人材のこと。テンプスタッフ・テクノロジーのTTも表現している。

プロジェクトの成果とこれから

西本 プロジェクト全体を通じた手応えはいかがですか?

藤﨑 漠然としていた「エンジニアファースト」のキャッチフレーズのあるべき姿とそれを実現させるまでの課題が明確化されました。多様な働き方を希望するエンジニアとの信頼関係を築いていくための具体策をタッチポイントという形で表現して頂き、私の頭の中がスッキリとした感じになりました。また、イベントについては、従来は実施することが目的になっていた感がありましたが、PDCAをきちんとまわすイメージがつきましたので、次回は成果につながると確信しています。

橋詰 ロフトワークは課題に対してピンポイントで解決策を提示するのではなく、全体の仕組みを考え、改善を繰り返しながら良くしていく方法を教えてくれました。当たり前のこととはいえ、我々ができていないこと外部から指摘してもらうと、非常に納得感がありますね。

西本 次の展開のお考えはありますか?

藤﨑 あるべき姿をプロの目線で提案してもらえるのは非常にありがたいのですが、絵に描いた餅で終わらせないためには、社員の意識の引き上げが先決です。来年度からキャリアコンサルタントの業務改善がスタートするので、まずはそこで地に足を付けてからですね。

西本 次のご支援の機会を心待ちにしています。

※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。

プロジェクトメンバー

柳川 雄飛

柳川 雄飛

Keywords