福祉作業所のモノづくりを根底から変えるイノベーションにつなげたい

FabCafeでは、渋谷ならではのプロダクトをつくり出す「SHIBUYA “To Go”」プロジェクトが渋谷区の障害者福祉課と共に進行中です。
このプロジェクトは、渋谷で暮らし、はたらく障害のある人の描いた文字や模様を、渋谷を拠点に学ぶ学生がデザインし、パブリックデータ化する「シブヤフォント」プロジェクトのリーディングプロジェクトの一環として始まりました。本年度は、グラフィックデザイナーのライラ・カセム氏のディレクションにより、渋谷区の福祉作業所を利用する障害のある方、桑沢デザイン研究所でデザインを学ぶ学生が共創し、FabCafe Tokyoのデジタルファブリケーション機材を活用して、渋谷ならではのプロダクト/お土産をつくります。

ライラ・カセム氏。グラフィックデザイナー。東京大学先端科学技術研究センター特任助教。社会から取り残された人々のエンパワメントにインクルーシブデザインのプロセスとグラフィックデザインのスキルを手段として利用することに力を入れ、作品制作と研究に取り組んでいる。

福祉作業所のモノづくりを根底から変えるイノベーションにつなげたい

一般企業への就労が困難な障害のある人に働く場を提供する福祉作業所での、モノづくりの方法を根底から変えたい。それによって新たな商品を生み出し、障害のある人の工賃向上に貢献できないだろうか。
多くの福祉作業所では、清掃作業やお弁当などのほか、工賃向上を狙いとする施設オリジナルの自主製品(焼き菓子、革製品、織物、布製品など)の製作販売をしています。しかし多くは、障害のある方や職員が扱いやすい機材(機織り機、紙すき機など)で製造されているため、結果として生産品は同質化、同類化しやすく、市場における競争力を持ち得るものは限られています。

機材や制作プロセスが同じであれば、製品が同質化するのは自明です。そこで機材や制作プロセスを変え、自主製品の開発にチャレンジすることにしました。
本プロジェクトではFabCafeと連携することで、デジタルファブリケーション、共創とオープンのプロセスを掛け合わせ、福祉作業所のモノづくりを根底から変えるイノベーションにつなげることを目指しています。

FabCafeの「Fab」のスピリットは、モノづくりの民主化です。誰でもモノづくりに参加することができ、それによって新しいモノと人との関わりを生み出すことがFabCafeのミッションでもあります。
障害のある方もモノづくりに参加して、ライラ・カセム氏やデザインを学ぶ学生と共創で生み出された創造物をパブリックデータとして公開することで、他の誰かが利用し新たなクリエイティブとして生まれ変わり続け、多様な関わりを生み出すことを目指します。

テーマは“渋谷の街を切り取る” 渋谷ならではの“プロダクト”をつくる

学生と障害のある方の発想で「渋谷の街を切り取る」をテーマに、渋谷ならではのプロダクト/お土産をつくります。プロジェクト期間中は学生と障害のある方がコミュニケーションをとりながら、障害のある方のもつ独自の視点を活かしたイラスト、デザインをサンプリング、データ化し、FabCafeにあるデジタルファブリケーション機材を活用してプロトタイプを制作します。

プロジェクトが始まった6月から約2ヶ月間、桑沢デザイン研究所の学生、施設のスタッフと障害のある方が共創しながら制作活動に取り組んできました。その集大成としてメンバー全員で取り組む「48時間デザインチャレンジ」を2017年8月26日(土), 8月27日(日)にFabCafe MTRLで開催します。
27日の16:30より開催する成果発表会はどなたでもご覧いただけます。

SHIBUYA “ To Go” 48時間デザインチャレンジ 成果発表会

日時:2017年8月27日(日)16:30~17:30
場所:FabCafe MTRL
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア2階
イベント概要:
http://mtrl.net/shibuya/events/shibuyatogo_48h_designchallenge/

アイデアをすぐにカタチにできるデジタルファブリケーションで創られたプロトタイプは、テストマーケティングと商品化パートナーを探すため11月開催の超福祉展で発表予定です。またクラウドファウンディングでの製品展開も検討しています。

「SHIBUYA “To Go”」活動スケジュール
2017年6月18日(日)キックオフ
2017年7月23日(日)中間発表会
2017年6月中旬~8月中旬 学生 × 施設でパターン/フォントとなるアート素材の制作
2017年8月26日(土)〜 8月27日(日)48時間デザインチャレンジ
2017年9月初旬~10月初旬 プロトタイプのブラッシュアップ
2017年11月7日〜13日 超福祉展にて成果展示

社会課題への新たな関わり方を提案する「XS Design」プロジェクト

ロフトワークでは、「SHIBUYA “ To Go”」プロジェクトと並行しながら、インクルーシブデザインやタクティカル・アーバニズムのアプローチを実践する「XS Design」プロジェクトも進行中です。今年4月に開催した、電車移動の悩みごとを解決するハッカソンから生まれたアイデアも、11月に開催される超福祉展の展示とクラウドファンディングを通してアイデアの実現に向けて準備中。本プロジェクトはFacebookMidiumで進行状況を発信しています。

XS Design とは

XL→L→M→S→「XS」。
大きな計画よりも、小さな行動を。
大きな課題は、小さく解決できることから。
ずっと先の未来より、いまの日常に目を向ける。
小さな課題を、小さなモノづくりで、小さく解決することを、小さくたくさん積み重ねて、もっとこうありたい日常へと更新していく。
XS Designは、社会課題への新たな関わり方を提案するデザインプロジェクトです。

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