学校法人上智学院 PROJECT

学校運営の基盤を支える、法人部門への信頼と共感を呼ぶ
上智学院 Webサイトリニューアル

Outline

学校法人上智学院は、上智大学をはじめとする、全6校の大学、中・高等学校を設置する学校法人です。上智大学の創立110年を迎えた2023年には、法人として中長期計画「​​グランド・レイアウト3.0」を策定し、組織変革や社会へのより強固なコミットメントを進める方針を示しました。

2019年に開設された上智学院のWebサイトは、法人全体の運営情報や理念を伝える重要な役割を担っています。具体的には財務状況や事業計画、社会的責任に関する情報を広く発信することで、ステークホルダーとの信頼関係を構築することを目的としています。
一方で、サイト更新を外部委託していたことで、情報反映に時間がかかることや運用コストの増大が課題でした。そこで、組織内で更新が可能なCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入し、より柔軟な更新体制を実現するべくリニューアルが始動。同時に、掲載情報を整理し、ユーザーが直感的に情報にアクセスできる仕組みを構築することで、法人部門サイトの価値向上を目指しました。

ロフトワークは、本プロジェクトのパートナーとして、戦略策定からWebサイトの実装まで一気通貫で支援。情報発信の課題やターゲットを改めて整理し、情報整理やユーザー導線の最適化を通じて、設置校を束ねる「上智学院」としての一貫したブランドイメージを担保しながら、法人としての強みや魅力を発信するWebサイトを制作しました。

Process

図版画像:リニューアルプロジェクトの各プロセスを紹介した図版。現状の課題を把握する調査から始まり、情報を整理・分析するワークショップを実施。それらを踏まえ、リニューアルの具体的な方針やコンセプトを決める要件定義を行う。その後、Webサイトの構造を設計する情報設計、コンセプトと接続した意匠を踏まえたデザインを設計し、ノーコードツール「STUDIO」を使い実装した。

Approach

リサーチとワークショップで、“法人部門サイト”が目指す姿を整理

法人部門サイトは、大学サイトが学生募集や教育・研究活動に特化しているのに対し、法人全体の理念や財務情報を発信する、特殊な役割を担うサイトです。複数の設置校を束ねる上智学院において、本サイトは法人としての情報を一元的に提供する重要なタッチポイントとなります。

こうした前提もあり、今回のサイトリニューアルでは、「本サイトは誰にどんな情報を届けるべきなのか」「その実現に向けて解消すべき課題は何か」を改めて明確化するところからスタート。当初の与件をさらに深掘りし、現状調査と統合ワークショップを通じて、ターゲットのニーズや情報整理の方向性を議論しました。

ロフトワーク社内のワークスペースで実施された要件定義ワークショップ時の写真。5名の女性が、付箋を使いながら情報を整理し、議論している。
要件定義ワークショップの様子

リニューアルの軸となる、コンセプト策定

上記の調査内容に加え、上智学院が目指す理念や独自性を再確認し、リニューアルの軸となるコンセプトを「上智学院が目指す、社会的責任への共鳴」と策定。

このコンセプトをもとに、学院としての教育ビジョンや社会貢献に対する高い意識や実行施策を魅力として打ち出し、訪問者に「共感」を喚起するとともに、求人応募や寄付などの「共に行動する」ことを促すサイトを目指しました。

画像:本リニューアルのコンセプト文章。 「上智学院が目指す社会的責任への共鳴」というコンセプトのもと、建学の理念を起点に、上智学院がどのような存在を目指すのか、そのためにどんな情報発信が必要で、Webサイトとしてどのような役割を担っていくのかを示している。

Outputs

制作サイト

上智学院らしさと信頼感を視覚化したサイトデザイン

画像:上智学院WebサイトのTopページ、ファーストビューのキャプチャ画像。「叡智が世界をつなぐ」という建学の精神のメッセージと、波紋上に広がる幾何学模様が表示されている。

デザインの方針として、「信頼性」と「設置校同士や社会との響きあい」を表現。直線的で細い線を中心としたデザインや余白を活用し、安定感と洗練された印象を感じさせるデザインを採用しました。

ファーストビューでは、波紋状に広がるモチーフを採用し、設置校同士や社会との「共鳴」を視覚的に表現しました。また、「叡智が世界をつなぐ」という建学の精神をキーメッセージとして配置し、訪問者が上智学院の理念を一目で理解できるデザインを追求しています。

また配色は、上智学院のスクールカラーを基調としながら、信頼感と透明感を強調するため、色数を絞り落ち着いたトーンで統一。学院としてのブランドイメージは一貫させつつも、大学サイトとは異なる印象を持たせています。

ターゲットに合わせた情報設計と強みの発信

画像:上智学院WebサイトのTopページ途中にある、「中長期計画・グランドレイアウト」への導線部分をキャプチャしたもの。中長期計画の基本情報が掲載されているほか、詳細へと遷移するためのボタンには、スクールカラーであるエンジ色が採用され、印象的なものとなっている。

サイト全体では企業のコーポレートサイトに近い形で情報構造を設計。上智学院を知らないユーザーからも、設置校の経営を担う法人部門のサイトであることが直感的にわかるようにしています。

また、メインターゲットの関心を集めることが想定されるページでは、サイト内導線やページ構成を工夫。学院のミッションと未来のあるべき姿を示した「中長期計画『グランド・レイアウト』」はTOPページの中でも上位に配置し、学院の理念やビジョンを優先的に訴求しています。

上智学院として力を入れる社会的責任への取り組みを紹介する「サステナビリティ」ページでは、専用のテンプレートデザインを作成。教育精神との接続やその想いに加え、具体的な取り組みも発信することが可能です。

ノーコードツール『STUDIO』を活用した効率的な運用と実装

画像:「STUDIO」上でのデザイン編集の画面。コードを必要とせずにデザイン設計を行うことが可能。

本サイトは、コードを書かずにWebサイトの構築・公開・運用まで完結できる、ノーコードWeb制作プラットフォームの「STUDIO」を使って実装。これにより、デザインや実装のプロセスを短縮しつつ、CMS機能を活用することで、組織内の容易なコンテンツ更新が可能になりました。

またディレクション面では、「STUDIO」のツールとしての特徴や制約を踏まえ、クライアントやクリエイターと適切な実装方法を検討しながらプロジェクトを進行していきました。

プロジェクト概要

  • クライアント:学校法人上智学院
  • プロジェクト期間:2024年5月〜8月
  • 体制
    • プロジェクトマネージャー:松本 モモヨ
    • プロジェクトサポート:名川 実里
    • テクニカルディレクター:伊藤 友美
    • プロデューサー:園田 亮・柏木 鉄也(以上、株式会社ロフトワーク)
    • デザイン・STUDIO実装:金子 大(Caramel )

執筆・編集:後閑 裕太朗(Loftwork.com編集部)

Member

松本 モモヨ

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

名川 実里

名川 実里

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

伊藤 友美

株式会社ロフトワーク
テクニカルグループ テクニカルディレクター

Profile

園田 亮

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

柏木 鉄也

株式会社ロフトワーク
チーフプロデューサー

Profile

メンバーズボイス

“大学のサイトとは性格の異なる法人部門のサイトは、公表義務のある最低限の情報を掲載するにとどまっており、無味乾燥な状態でした。リニューアルを考える上で、サイトの課題点や法人として発信していきたいことは何かをワークショップで丁寧に紐解き、学内関係者だけでは気がつけない視点を引き出していただきました。

その結果、コンセプトを「上智学院が目指す、社会的責任への共鳴」と策定し、以前から本学院が法人全体として掲げてきた基本理念や社会貢献活動について、表明する場をつくることができました。

また、今回はSTUDIOを利用したサイト設計をご提案いただきました。ノーコードツールとは言うものの最初は扱いに苦戦しましたが、事前にしっかりサポートしてくださったおかげで学院内での自由度の高いページ設計が可能になり、運用面での課題も改善されたと思っています。”

学校法人上智学院 総務局 広報グループ
狩野 裕美 さま

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