ギミックとストーリーで魅せたCSRコンテンツ制作
ステークホルダー向けにキリンの世界観が伝わるCSRコンテンツづくりが始動
暮らしに身近な賞品を通して新しい喜びを提供し、人々に笑顔を届けるキリン株式会社。同社は、CSRを一歩進めたCSV(Creating Shared Value)の考え方に立脚し、ステークホルダーと共有できる価値の創造を目指した取り組みを積極的に推進しています。
その一端を紹介したコンテンツが、「スマイル★リレー ~みんながつながる、キリンの取り組み~」「みんなとつなぐ、キリンのECO。」の2つ。訪れる人をあたたかい気持ちにするこれらのコンテンツは、どんな経緯で生まれ、何を目指しているのか。キリン株式会社CSV本部CSV推進部の依田桃子氏(※プロジェクト当時はキリンホールディングス株式会社に在籍)とロフトワークのクリエイティブディレクター太田聡の対談で、プロジェクトを振り返ります。
太田(ロフトワーク):今回のプロジェクトはどんな思いからスタートしたのでしょうか?
依田(キリン):従来のCSRコンテンツは、主に投資家向けの情報開示という観点で制作していましたが、お客様をはじめとするすべてのステークホルダーに広く共感いただけけるような柔らかいコンテンツを作りたいという話は、ずいぶん前から出ていました。一方で、様々なCSR活動をまとめて紹介できるページがないのも課題でした。そこで今回のようなコンテンツを作りたいと考えました。
太田:そこでテーマとなったのが、キリンの世界観が伝わるコンテンツでファンを醸成するということでした。
依田:キリンがCSVという表現を使うようになったのも、お客様と一緒に社会に対して価値を生み出していく活動と位置付けているからです。ですから、個々の取り組みについて深く知ってもらうことはもちろんですが、取り組みを通じてキリンという会社を身近に感じてもらうことを重視しています。コンテンツ内容については、さまざまな取り組みを1つの大きな流れで見せることにこだわりました。
スクロールで動くWebサイト!ギミックとストーリーで魅せるコンテンツ
太田:最終的にロフトワークを制作のパートナーに選んだ理由をお聞かせください。
依田:会社としての考えも伝えたいし、活動も伝えたい。それには、ただデザイン的に“きれいに見せる”だけではうまくいきません。社内の別案件で、伝え方の難しい内容をお客さまに向けてわかりやすく表現してくれたという評判を聞き、CSRというとっつきにくいコンテンツについてもいいアイデアをもらえるのではと期待し、ロフトワークに制作をお願いしようと考えました。
太田:提案において重視したのは、キリンのファンを醸成するというゴールを見据え、分かりやすい内容と伝わるデザインを実現することでした。ヒアリングでいただいた情報を整理して導き出したのが、商品が製造されてお客さまのもとに届くまでを別々の活動として紹介せず、ひと繋がりのストーリーとして魅せるコンテンツです。
ひとつのページで伝えると、必然的に縦長のページ構成になります。そこで、ただスクロールするだけでなく「パララックス」と呼ばれる視覚効果を使い、スクロールしてイラストが動くという「体験」と「ストーリー」を楽しんで見てもらえるコンテンツを作ろうと思いました。
提案過程では、パララックスの表現方法をイメージしにくいためラフな絵コンテで動きとストーリーを伝えながら慎重に進めていきました。デザインはある程度遊び心が許容されていたおかげで、大胆に思い切った提案ができました。実際に制作が始まってからも、いろいろチャレンジでき制作チームも楽しみながら取り組めました。
依田:ナビゲーションではなくストーリーで見せるというのは効果的だと思いました。ロフトワークの提案は斬新でありながら、当社らしくあたたかみがあって社内でも好評でした。イラストも当社のトーン&マナーを踏襲しつつ、これまで挑戦したことのない雰囲気に仕上がりました。
太田:CSRコンテンツの場合、ともすると押しつける内容になってしまいます。そこで、イラストもただかわいいだけでなく、少しアクのあるキャラクターにしようと考えました。ターゲットにリーチしやすいテイストのイラストを描けるイラストレーターさんに依頼して、今回の世界観を創り出していきました。
すべてのステークホルダーに広くリーチするCSRコンテンツへと着実に進化
太田:現時点で成果について実感されていることはありますか?
依田:CSRコンテンツとしてはアクセス数が多く、狙いどおり投資家以外の方にも幅広く見ていただけているようです。最近はCSRや社会貢献に興味のある学生も多いようで、インターンの募集ページにリンクを設置することがありました。他ページに露出できるコンテンツが出来たのも1つの成果です。
太田:ここから先はどんなことを考えられていますか?
依田:個々の取り組みを深堀りするより、もう少し広いスコープで出来ることを模索し、当社のCSVの全体観を伝えることに注力していきたいですね。引き続きキリングループ全体で一体感をいかに表現していくかがテーマになりそうです。
太田:あまり大きな設計図ばかり意識すると、計画ばかりで実現しません。今回のような成功体験を少しずつ積み重ねながら考えていくことが成功のカギかもしれません。
依田:今回は会社的にもトライアルでしたが、難しさを痛感する一方で、いきなり全てを伝えようとするのではなく、手掛かりになりそうなところから徐々に伝えていく方法があることも学びました。一緒に考えてくれたロフトワークに感謝しています。
太田:有難うございます。お客様はどんなところに反応し、共感するのか、ヒアリングなどを通じて客観的に分析できたら、コンテンツの打ち出し方も変わってくるかもしれません。本日は有難うございました。
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※内容やお客様情報、担当ディレクター情報は本記事公開時点のものです。現在は異なる可能性があります。
お客様の声
キリン株式会社CSV本部 CSV推進部
依田 桃子氏
会社としての考えも伝えたいし、活動も伝えたい。それには、ただデザイン的に“きれいに見せる”だけではうまくいきません。別の案件で、伝わりにくい内容をお客さまに向けてわかりやすく表現してくれたという評判を聞き、CSRというとっつきにくいコンテンツについてもいいアイデアをもらえるのではと期待しまし、ロフトワークに制作をお願いしようと考えました。