MTRLを200%活用する方法
こんにちは。
ロフトワークでディレクターをしてますマツモトです。平日はWebを中心にディレクションの仕事をしながら、休日は家で読書をしたり、都内のアートイベントを楽しんだりと、ごくごく平凡な日々を過ごしております。
突然ですがみなさん、FabCafeの上にあるMTRLを利用されたことはありますか?
そうですそうです、あのモノもヒトもわちゃわちゃしているあの空間です。
MTRL(マテリアル)てなんだ?
そもそもMTRLをご存知ない方に簡単なご紹介。
正式名称をFabCafeMTRLといい、2016年4月にFabCafeの上にできたコワーキングスペースです。Wifiと電源が完備された165平米の空間に、約50席のワークスペースがあり、MTRL(マテリアル)という名の通り、ものづくりをサポートする様々な素材とツールが展示されています。また、文具類やレゴブロック、工具・卓上の木工用加工機、大型ディスプレイや大判プリンタ、ホワイトボードなどの設備も揃っているので、打ち合わせやブレスト、ワークショップなど多目的の利用が可能です。(ちなみに京都にもMTRL KYOTOがあります)
普段から技術よりのお仕事をされていたり、制作に意欲的なクリエイターさんであれば最高の作業環境かと思いますが、普段は自分でモノを制作したりしないしな~、打ち合わせくらいでしか利用しないな~という人にはどうでしょうか。
今回マツモトがお届けするのは、平凡ディレクター体験記、
200%元がとれるMTRL活用のポイントを体験談ベースでご紹介します。
POINT_1 自らの手でマテリアルに触れる
ある日、マツモトのところへ「ハロウィンを絡めてFabCafeを盛り上げてほしい」というミッションが舞い込みます。これは何かしらMTRLを活用できそうなチャンス!と思い、元FabCafeスタッフのタナカちゃんを仲間に加えてハロウィン企画をスタートさせました。
議論を重ね、FabCafeハロウィン企画のアイコンとなるフォトブースをエントランスにつくろう!というところまでアイディアをまとめたのですが、具体的な完成イメージはまだ見えません。
ここでやってきました、MTRL。
MTRLに展示してある様々なマテリアルやアイテムを触りながら、最終的なフォトブースの完成イメージを模索しました。
数ある、アイテムの中からハロウィンフォトブースに活用すべく選定したのが、この3つ。
FabCafeのエントランスのガラスに塗ってもキレイにはがせるマスキングカラー、フォトブースにインタラクティブな仕掛けを加えることのできるブロック形状の電子タグMESH、そしてそれに場所をとらず常時電気を供給できるAgICのインクジェット回路印刷と、ハロウィンフォトブースを面白くするマテリアルが出揃いました。
ここでのポイントは、「様々なマテリアルを自分自身で直接さわってみた」という点です。
自分自身で触ってみることで、そのマテリアルのサイズ感、質感、見た目、どんな動きをするか、作りたい作品や見せたい表現に向いているのか、他のマテリアルと組み合わせることでどんな表現が可能かなど、自分の目で判断することができます。
MTRLの展示アイテムを触ったり、いじったりできるのは、MTRLのスペースを利用する人の特権なのです。いくら話題のアイテムやデバイスに詳しい人でも、触ったことがなければ、実際に触ってみた人の出すアイディアの幅には敵わないでしょう。
POINT_2 MTRLとFabCafeを行き来する
ハロウィン企画のフォトブースで使用するアテリアルは絞れましたが、マツモトとタナカだけではこれらのマテリアルやアイテムの魅力を最大限に引き上げ、作品として魅せる技術を持っていません。
そこでFabCafeハロウィンフォトブース企画のメンバーを集めました。
- マスキングカラーでブースのデザインをしてくれるクリエイターのYUSEI SAGAWAさん
- MESHの設置方法とブースのUX設計をサポートしてくれるSONYの萩原さん、市川さん
- AgIC回路シートの設計と印刷をサポートしてくれるAgICの杉本さん
ハロウィン企画の協力者がみつかるのか?とはじめ不安に思っていたのですが、見つかりました。振り返ってみると「MTRLとFabCafeをよく行き来していた」というのがポイントだと気づきました。
MTRLに展示してあるアイテムやデバイスは、基本的にイベント時に使用したものか、企業の方からの協賛がほとんどです。それはつまり、必ず展示に至った経緯にそれらの活用を薦めるエバンジェリスト的な担当者がいるということを示します。
今回選んだマスキングカラー、MESH、AgICにも、もちろんいました。マスキングカラーは企画内容に賛同いただいた太洋塗料の神山さんからサポートしてもらい、MESHはSONYの萩原さんと市川さんに、AgIC回路シートはAgIC杉本さんに協力してもらいました。
もう一人忘れてはいけないのが、このFabCafeハロウィンフォトブースのデザインをしてくださったクリエイターのYUSEI SAGAWAさん。この方との出会いもまた、FabCafeで行われていた企画展でYUSEIさんの作品をみつけたことやMTRLとFabCafeをうろうろしていたことがきっかけで生まれました。
MTRL、FabCafe、またはその両者に介在するコミュニティの人やスタッフと気軽にコミュニケーションをとるだけで、そのマテリアルをだれが使いにくるのか、それを使ってどんなイベントが開催されているのかという情報が手にとるようにわかります。
POINT_3 MTRLで一緒に作業する
強力なメンバーも集まり、いよいよ中身の設計を進めていきます。このフェーズでもMTRLが大活躍しました。またひとつ、MTRLを利用する魅力に気づいた場面です。
それは、ハロウィン企画のメンバーと「MTRLで一緒に作業する」ことで実感しました。
さきほどPOINT_1で自らマテリアルに触れるとその基本的な使い方や活用のイメージが持てるという話をしました。これはクリエイターや外部の人にも同じことが言えます。しかもマツモトやタナカのような一般ピープルとはまた違う視点でアイディアが出てくるのがワクワクするポイントです。
MESHはまさにその代表例でした。
MTRLに集まり、まずマツモトとタナカで考えたFabCafeハロウィンフォトブースの全体イメージとMESHタグの活用方法をYUSEIさんに共有し、議論のベースにしました。そのあとYUSEIさんにもMESHタグを触ってもらい、マスキングカラーとの連携方法について「こんな使い方もできないか、こうしたら面白いんじゃないか」とデザイナー目線のフィードバックをもらいます。
マツモト、タナカ、そしてYUSEIさんのアイディアをまとめて今度はMESH博士であるSONYの萩原さんにそのアイディアの実現性をレビューしてもらいました。
萩原さんはレビューと同時に、今度はAgIC杉本さんと連携し配線の設計に着手します。
そんなこんなで設計をつめていくと気づけばハロウィンシーズン到来、いよいよFabCafeハロウィンフォトブースの設置です。
まずは杉本さんチームのAgICシートをFabCafeの店内側からはりつけます。
次にYUSEIさんが外側からマスキングカラーでペイントを施します。
ペイントの完成が近づいたらもう一度店内から、萩原さんと杉本さんでMESHとAgICシートの接続と動作チェックを行います。
内側からMESHタグのボタンを押したり、手をかぶせると、ガイコツの目の周りが光ったリ、天井のHUEの色が変わったり、音がなったりと仕掛けは盛り沢山です。
タナカちゃんも、MESHタグを押すとLEDが光るかをチェックしております。(不気味ですね)
こうして、クリエイターでもない、エンジニアでもないマツモトとタナカが、強力なメンバーの力を借り、フォトブースを完成させることができたのです。
表側のライブペイントの様子はこちら↓
少し企画内容の方へ話がそれてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
駆け足で設計から制作までの工程をお伝えしたわけですが、実際のスピード感もとっても速いものでした。エンジニアやデザイナーから成るチームが、マラソンのように、数日間の与えられた時間を徹して制作に没頭する光景がMTRLでも起こり、まるでハッカソンに参加しているようでした。
それぞれの得意分野を持ち寄り、その場で議論しながらプロトタイピングを繰り返し、より良い成果物をみんなで導き出す場所がMTRL、一緒に作業することで生まれるシナジー効果を身をもって体験しました。
まとめ
普段自分でモノを制作したりしないな〜、打ち合わせくらいでしか利用しないな〜という方もMTRL利用のもとはとれます。
そのポイントはとってもシンプル。
- 自分でマテリアルを触ってみる
- MTRLとFabCafeを行き来し、そこを取り巻く人たちとつながる
- 様々なメンバーと、同じMTRLの空間で作業する
ぜひみなさんもMTRLをオイシく活用して、企画やプロジェクト、イベントの成功につなげてみてはいかがでしょうか。
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