ロフトワーク社員研修合宿“loftwork Camp 2012 in 小豆島”
Before CAMP
みなさんこんにちは!
7月19日(木)〜21日(土)の2泊3日に渡って行われた社員研修合宿“loftwork Camp 2012 in 小豆島”のレポートをお届けします。(今回のレポートは、合宿に向けて全社員を7班に分け、班対抗戦で行ったプレゼン大会で残念ながら予選敗退だった4チームの総力を結集してお送り致します)
まずは“事前準備編”は、チームBISHAMONの菊地がレポートを担当します。
その時は突然やってきた!
合宿まで1ヶ月を切った6/25(月)朝、全体MTGの場で今年のテーマが発表されました。
“小豆島町長に「島のビジョン」をプレゼンテーション!”
小豆島が抱える「所得低下」「島興し」「雇用創出・定住促進」という課題に対して、LWとしてどんなアプローチができるのか?を考え、プレゼンテーションします。テーマと同時に発表された7つのチームは、所属のディビジョンを越えて編成されました。それぞれ得意とする分野もバラバラです。
今回の取り組みのねらいとして掲げられたのが“Speed” “Leadership” “Aufheben”という3つのキーワード。“Aufheben”とは「異なる視点や意見を闘わせ、より高次な段階へと昇華させる」という意味で、要はチームとして化学反応を起こせるか?を試されているのです。
こうして「島のビジョン」という壮大なテーマの元、約1ヶ月先の本番に向けて幕が開いたのでした。
各チームが緊急MTG!
テーマの発表を受けて、各チームが一斉に始動!完成したばかりのloftwork Lab.は、瞬く間に各チームの溜まり場になっていました。
最適なチームビルティングを意識しながら、各々が全く違うアプローチで、議論を進めていきます。まずは役割分担を決めるチーム、キーワードを出し合うチーム、島の住民にメールを出して質問するチーム等…
「小豆島のいいところってなに?」「自然?」「いや醤油だろ!」時に真剣に、時にわきあいあいと活発な意見交換ができるのもアイデア出しが好きなロフトワークの特徴です。
ヒートアップ!
合宿まで1週間を切ったあたりから、各班活動がさらにヒートアップ。鬼の形相で発表内容を詰めていきます。あくまで通常業務が最優先なので、限られた時間の中でどこまで有効なチームビルディングをし、完成度を上げられるかが勝負だったと思います。
またチーム対抗戦なので、隣の進行具合が気になるのが人の子というもの。「○○チームとテーマがかぶった!」「あのチームはもう資料できたらしい!」「あのチームはFabでプロトタイプ作ってた!」などなど、憶測が憶測を呼びます。
食べ物を袖の下として使って他のチームのメンバーを釣り、自分たちのチームにアイディアを出させようという頭脳派も現れたとか。
その頃合宿委員は…
慣れないツアーの手配や現地でのワークショップ設計にてんてこまい!!現地の方からの情報収集や、研修内容の設計を急ピッチで行いました。
決めることや、準備するものがたくさんありましたが、そこはロフトワーク。プロジェクトマネジメントや、数々のイベント開催で培ってきたノウハウを存分に発揮します!WBSを作成し、各アクティビティごとにさらにブレークダウン。抜け漏れの少ない行程表が無事完成!
Day1:いざ、小豆島へ
合宿当日。各班飛行機の時間を来にしながら、出発ギリギリまで翌日に迫ったプレゼンの準備を進めていました。そう、今年の合宿はロフトワーク史上初の飛行機+フェリーによる移動です。時間に遅れる訳にはいきません。
Day2:島内ツアー
醤の郷でロフトワーカーが触れた、「温故知新」
小豆島2日目、小豆島を知る島内ツアーのレポートはチームDAIKOKUより吉澤が担当します。4グループに分かれ、さまざまな体験をしましたが、なんといっても印象的だったのは、そこかしこから漂う醤油の香りでした。
醤油蔵の奥に息づく、酵母菌と「SHARE」の思想
小豆島は、醤の郷(ひしおのさと)と言われるほど、木桶での醤油造りが盛んな土地。日本全国に3000~4000本ある木桶のうち約1000本は小豆島の醤油蔵で使われているのだそうです。
醤油蔵の中には、背丈をゆうに超える大きな木桶がずらり。木桶と蔵には無数の乳酸菌や酵母菌が棲みついており、彼らが1年以上かけて発酵を促すことで木桶仕込みの醤油が出来上がります。蔵によって棲む菌の種類も異なるため、甘い香りの蔵から発酵臭が強くクセのある蔵までさまざま。さらに、同じ蔵の醤油でも原料の質やもろみの具合、火入れの加減によって味が大きく変わるというから驚きです。それぞれの菌の作用をコントロールすることは事実上不可能で、醤油の出来はその時々の菌たちの仕事に委ねられているとのこと。菌も立派な醤油造りのメンバーなのですね。
それぞれの醤油蔵に棲む菌がお互いに相乗効果を生む、まさに醤の郷。蔵が一つなくなれば、一帯の菌のパワーバランスも変わってしまいます。そのせいもあって、蔵同士は互いに仲が良く、製法をはじめとした情報交換も昔から積極的に行っているそうです。こんなところで「SHARE」の精神に出会うとは!
小豆島の醤油を「継ぐ」ためには
芯まで醤の染み込んだ年季物の木桶が立ち並ぶ中、新しい蔵の隅で輝きを放っていたのはヤマロク醤油の五代目、山本さんが購入した新品の木桶でした。小豆島の醤油造りを支える木桶の製造技術を持っている業者は、今や日本中でたった1社のみ。木桶職人の高齢化も進んでいます。「このままでは新しく桶を作れる職人がいなくなる、小豆島の醤油の味が保てなくなる」。それならば、と山本さんは一念発起で買えるだけの木桶を購入。さらに島の大工2人を引き連れ、大阪の業者に通い木桶の製造を学び始めました。今は、桶を束ねる「たが」編みの練習をしているそうです。
今、親世代の醤油職人は子どもに稼業を継がせたがらないといいます。醤油の売り上げは年々減少し、廃業する蔵も出てきているそうです。しかしその一方で、若い世代は小豆島の醤油を守ろうと試行錯誤を重ねています。「木桶仕込みの醤油という日本の伝統食品を絶やしたくない」「息子や孫の代にも蔵を継いで…」とごく自然に語る山本さんの姿に、とても胸を打たれました。
いだけじゃない、新しいだけじゃない。今の小豆島
このツアーで私たちは、地元・小豆島の魅力に惹かれて戻って来た若い人たちにたくさんお会いしました。面白いのは個々に異なる職や能力を身につけて戻って来ていること。自立しながらも地域のために連携する。個々のスキルや経験を活かし、新しいアイデアで島を動かす姿勢は、どこか私たちのワークスタイルにも通じるものがあるようで励みになりました。
さてこの島内ツアーで得たこと、感じたことをエッセンスに、いよいよプレゼン大会本番がやってきます…!
関連リンク
Day2:小豆島の町長、町民に地域活性プランをチームプレゼン!
島内ツアーの後は、今回の合宿でのハイライト!プレゼン大会です。白熱のプレゼンの模様は、EBISU班の齋藤がお送りします。ロフトワークの合宿では一昨年の千葉県・鋸南町、昨年の「これからのロフトワーク」に続き、定番となっているチーム対抗プレゼン大会!
今年のテーマは…
「小豆島町町長に『島のビジョン』をプレゼンテーション!」
せっかく小豆島を訪ねるのだから、ただの研修旅行ではなく、土地について深く学び、島の人と交流したい。同じテーマに語り合うような場を設けたい…。そこで私たちは、「外の視点」から島の魅力や歴史、課題を掘り下げ、島の方々(町長含む!)に向け、「地域のためにできること」のアイデア提案をしました。
各チームさまざまな切り口と地域の特色を活かしたプランを披露
それぞれのチーム名は七福神から拝借。チームの発表タイトルは、下記の通り。興味深い文字が並んでおり、プレゼンに期待が高まります!
恵比寿 − おかえりなさいが聞こえる島
大 黒 − 原風景
福禄寿 − こいくち小豆島
寿老人 − Binz.me
毘沙門天 − 小豆島=学び
弁財天 − CYCLE OF SHODOSHIMA
布 袋 − TERAKOYA SHODOSIMA
審査員には、小豆島町長、そして島民のみなさんの総勢約20名。さらに、「醤の郷未来構想」プロジェクトをおこなっている現代美術家の椿昇さんも参戦し、今までの合宿にはない緊張感が漂う中、プレゼンがスタート。
ルールは、全チーム参加の予選(5分プレゼン)を行い、審査員の投票で上位3チームを選出。上位3チームのみが、10分間の決勝プレゼンを行えるという厳しいルール。短い時間に自身のプレゼンのエッセンスをいかに凝縮するか、各チームは思考を凝らした手法で、様々なプレゼンが続きます。
優勝チームは実物をプロトタイプで持参
ロゴを作ったチームや、動画でアピールするチーム、小豆島の特産品を使った特製瓶詰めを作ったチーム、かわいい冊子でプレゼン資料を作ってきたチームなど、業務の合間に真剣に取り組んだ結果、進め方もプレゼン方法もチームごとに個性豊かな内容が出揃いました!
白熱の予選(5分プレゼン)を勝ち上がり、本選に出場したのは、この3チーム。
- 自転車と小豆島の新しい関係を提案した弁財天「CYCLE OF SHODOSHIMA」
- メディアを新設しその編集長を島の外から 呼んで新風を巻き起こすアイデアを提案した福禄寿「こいくち小豆島」
- オリーブなどの島の特産品を瓶という馴染みやすい形に詰め込んだギフトを提案した寿老人「Binz.me」
そして、接戦を制したのはオリーブをつかった料理の瓶詰めギフトセットを実際に作成してきた『Binz.me』(ビンズミー)!
この瓶詰めギフトセットは美味しさだけではありません。瓶詰めを入れている木箱は、Fabcafeのレーザーカッターで装飾、箱を開くとギフトと一緒に生産者からの心温まるメッセージカードが入っている、という素敵なギフトです。
クリエイティブの力で何ができるか? 真剣に考えた成果は。
ロフトワークは、「クライアントのビジネスイノベーションをクリエイティブの力で共に解決する」をテーマに掲げています。地域活性に必要なのも、同様に「イノベーションの力」。
EBISU班は残念ながら決勝には残れませんでしたが、小豆島という「地域の課題解決」に向き合うことで、「自分達にできること」「クリエイティブの力でできること」を改めて考えることができました。小豆島の人の様々な意見や実践、勉強になりました!
Day3:スタッフ全員でブレスト大会! ワールド・カフェ方式ワークショップに挑戦
今年の合宿はいつもより1日多い2泊3日です。山吉亭でのプレゼン大会を終え、暑さと睡眠不足でさすがに燃え尽き気味のメンバーもいましたが、せっかくの合宿。ロフトワークのこともちゃんと考えようと企画されたのが、3日目のアクティビティです。ここからは、HOTEI班の菅原(合宿初参加)がレポートします。
テーマはズバリ!“来年の会社案内を考える”でした!
このブログを見ている方はご存知かとおもいますが、ロフトワークでは毎年、会社案内を刷新しています。
ワールド・カフェとは?
来年の会社案内を考えるにあたり、ロフトワークのメンバー全員で、「ワールド・カフェ形式」のワークショップを行いました。ワールド・カフェ形式ってなに? という方もいると思います。…実は私もはじめて体験しました。
簡単に説明すると、
「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」
という考えに基づいた話し合いの手法(World Cafe.net「ワールド・カフェとは?」より引用)」、とのこと。
2012年のロフトワークは、「妊婦」?
さて、今回私たちが取り組んだのは、「来年の会社案内で、ロフトワークに関わる人々にどんな『化学反応』を起こすか」を全社員でブレストするというもの。ワークショップの流れは、以下の通りです。
- 5~6人ごと、6つのチームに分かれてテーブルを囲む
- テーブルに設置された模造紙に、20分間自由にアイデアをメモ
- テーブル内の1人が「テーブルホスト」として残り、他の人たちは好きなテーブルに移動 メンバーを入れ替えたうえで議論を20分間深める
- その後、他のテーブルに移動したメンバーは再び元のテーブルに戻り、20分で発表内容をまとめる
- まとめたものを各チームがプレゼンテーション・良かったプレゼンに全員で投票!
ここで、各チームの発表内容をほんの少しだけご紹介します!
「読む人がもっとワクワクできるようなものを」という狙いから、より魅力的なビジュアルを盛り込んだり、ワークショップのツールや問題集など、ロフトワークが持っているTipsを提供するというアイデア。
「制作物=子供」「ロフトワーク=妊婦」に例え、「伴侶=パートナー」との出会いをめざす…という斬新なアイデアも飛び出します。
その他、ロフトワークをソファに見立て、「どんなソファなのか」「誰と誰が座ると、おもしろい化学反応が生まれるか」という切り口の発表をしたチームも。
これまで、大人数で行うブレストは意見がまとまらない、人によって発言できないなどの理由から「難しい」というイメージがありました。しかし今回、ワールド・カフェ形式を取り入れたことで60人という大人数のブレストが実現。どんどん新しいアイデアが生まれ、発想が広がっていく様子を体感できました。メンバーを入れ替えた議論も刺激的で、2時間があっという間に過ぎてしまった印象です。
ちなみに、今回のワークショップで最もスタッフの共感を得ることができたチームのアイデアは、来年の会社案内のコンセプトとして引き継がれる予定です。
果たして、来年の会社案内はどんなものになるのか? どうかお楽しみに!!
最後に
小豆島に行ったことがなかった私達にとって、今回アイデア提案はなかなか難しい挑戦でした。でも、その上で真剣に考え続けたこと、島の自然や産業に触れ、皆さんとたくさんの交流の機会を持てたことが、合宿の最大の成果です。今回の合宿での経験をバネにメンバー1人1人が、「ロフトワークの力」をどのように活かせるかを考え、これからも止まることなく前進していきたいと強く感じました。
現地でのプランニングをお手伝い頂いた黒島さん、貴重な意見でメンバーを盛り上げて頂いた椿さん、多忙なスケジュールの合間を縫ってプレゼン大会にご参加頂いた塩田町長、そして小豆島のみなさまに御礼申し上げます。
後日談:小豆島町長ブログでご紹介いただきました
小豆島町長ブログ「町長の「八日目の蝉」記」でロフトワーク合宿についてのレポートと感想をお寄せいただきました。
暖かいエールとともに、「実際に政策にできれば」という嬉しいコメントも!これをきっかけに本当に企画が実現するかもしれません。
そして、合宿で知り合った島の方々と様々な意見交換、交流がはじまっています。小豆島の皆様、本当にありがとうございました!どうか今後ともよろしくお願い致します。
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