FINDING 原 亮介 2016.04.28

「アンタのアイデア超最高だぜ」を導くシナリオとプレゼンのお話

YO F***’IN 朋輩、俺がこうして語ること自体が死ぬほど胡散臭くて堪らんぜ、朋輩。(©モブ・ノリオ『介護入門』)。タイトルどおり、“シナリオとプレゼン”、言い換えれば、“伝える内容の構成とその伝え方”について自分がいつも実践しているナレッジを恐縮ながら紹介する。

ロフトワークが月1回開催している社内のアイデアプレゼンイベント「Creative Meeting 」で、シナリオ作成手法のアイデアを紹介し、「BEST INNOVATIVE」「BEST CREATIVE」を受賞した。
そのアイデアは、映画『七人の侍』で、黒澤明らが行ったシナリオ作成方法に習って、秀才2人をパートナーに合宿形式でシナリオを同時並行で書く方法を、自身で手掛けるプロジェクト内で実践してみたという内容だ。

ここだけの話、ボクはこのプレゼンで賞をもらうことを意識して狙っていて、結果思惑どおりになった。
プレゼンで「アンタのアイデア超最高だぜ」を導くためのメソッドについては、いくつかの先人の知恵から学んでいる。
肝心のコンペ勝率はあまりよくなかったりするけれど(苦笑)。

今の社会は、クライアントへのプレゼン、新規事業アイデアのプレゼンだけでなく、ハッカソンやアイデアソンでのプレゼン、新しいチャレンジの仲間を集めるためのプレゼンetc.プレゼンの機会に溢れているから……。YO 朋輩、ここにまとめるメソッドのまとめが誰かの知恵になれば幸いだ。

感動の作りかた

ここでいう感動は涙の感動ではく、心を動かす感動のことで、常に意識していることは3つだ。
1) 驚きのためには「ギャップ、落差、ひねり」
2) 笑いのためには「緊張の緩和」
3) 共感のためには「セルフ、アス、ナウ」「Me We Now」

「ギャップ、落差、ひねり」は最も遠い位置から始めることで創る

“伝えたいメッセージから最も遠い位置からアイデアを考えよ。途中で意味の転換を行い、メッセージに収束させよ。”

これはカンヌ広告賞を受賞するような海外の一流クリエイティブエージェンシーの若手が実践している訓練方法から学んだメソッドだ。

今回のシナリオで言えば、「映画を見られない身体です」という1ページ目。会場に告知していたタイトルは「七人の侍流のシナリオ作成術」だったが、それと対局に位置するようなメッセージをあえて頭に持ってきた。一体なんの話が始まるのだろうと、参加者に「え!?」という「!」と「?」を与えるのが狙いだ。
次のページにはそのファクトである、ここ数年で観た映画が「海街ダイアリー」だけだという紹介のページにし、あまりにつまらなかったその映画の感想(悪評)をamazonのレビューに投稿したと、続けた。
こいつ頭おかしいかもしれない。大丈夫か?と参加者の心をさらにどこか遠くのほうまで飛ばすのが狙いだった。

で、その後にはひねり。映画は観られない身体だけれど、天才映画監督の知恵には学ぶよ!と戻した。これで「ギャップ、落差、ひねり」が完成だ。

落語家のメソッド、笑いのためには「緊張と緩和」

「緊張の緩和」は、笑いを論理的に解明しようとした落語家 桂枝雀氏の理論。 人は、真面目な文脈や緊張した状況がズレることで、緩和され、思わず笑ってしまうというものだ。

「ボクは映画を見れない身体です」のスライドで「2時間じっとしていることができません。たぶんADHAなんです」(本当はADHAではなく、落ち着きが足りないレベルw)と、わざとシリアスな印象を与えるフレーズと使ったのは、緊張を作り出すためにやったことだった。

共感を生む鉄板の三段論法「セルフ、アス、ナウ」

人びとに共感とその先の行動を促すためには、「セルフ、アス、ナウ」の物語で語れ。はじめにセルフ=私個人のストーリー、次にアス=私たちみんなのストーリー、最後にナウ=今こそ行動すべだという今の物語の順番だ。

ごく普通の人が社会変化を起こしていくための「コミュニティオーガナイジング」と呼ばれる理論と実践について教える、ハーバード大のマーシャル・ガンツ博士のメソッドだ。堀江貴文さんは、人生の失敗を教訓に学ぶテレビ番組「しくじり先生」に出演した際に、このメソッドを「Me We Now理論」として紹介していた。ボクはこれをいつも絶対に守るようにしている。
クライアントへのプレゼンで自分個人の話からスタートするのは難しいが、アイスブレイクの時間に混ぜる、または、ある一人のユーザーの話として語り出すのは有効だと思う。

また、このメソッドから外れる行為だからぜったいにやってはダメだと自分を戒めているのことがある。

・ ドヤ顔でのナルシストな感じ
・ 小難しい表現、専門用語だらけ
・ 聴衆者が誰かわからない状態

などなど。

最後に

他人の心と身体を動かすのは、素晴らしいアイデアを生みだすのと同様に本当に難しい。アイデアは生みだすだけではまだ道半ば、その伝え方、さらには伝わった後の拡がり方まで戦略的に丹精込めてやり続けなければ、理想の世界までは辿りつけない。YO F***’IN 朋輩、やり続けよう。

原 亮介

Author原 亮介(クリエイティブDiv. シニアディレクター)

関西のファッション/カルチャーマガジン編集長、ロボットテクノロジー関連ベンチャー、戦略PRコンサル会社を経て、2014年6月よりロフトワーク所属。マーケティング視点を軸に、クリエイティブな価値創出〜価値浸透まで幅広いプロジェクトを手がける。“ヒトを動かす”と“ユースカルチャー”が生涯の学習テーマ。

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