FINDING 松本 亮平 2016.03.23

明日からすぐに使える動画制作のコツ

ソーシャルメディアに普段触れている方は実感していると思いますが、最近は本当に動画コンテンツが増えていますよね。
そしてカンファレンスでのキートートや、クライアントへのプレゼンテーションなど、上手い人は動画を使いこなしています。
そう、動画コンテンツの時代はとっくにきている!
でも時間をかけて外部のパートナーさんと素敵な動画コンテンツを制作できれば言うことはないのですが、実務をこなしながらだとなかなか大変。
先日ロフトワーク社内向けに、デザイナーの野中さんを講師に迎え動画講座が実施されましたのでレポートをお届けします。
動画制作のスペシャリストではないけれど、自分で手軽に動画コンテンツを制作したいと考えている方へ、講座の内容をなぞりつつ、皆さんが明日からすぐに使える動画制作のコツをお教えします。

撮影する前に知っておくべきこと、考えるべきこと

ほとんどのストーリーは2行で語れる

ログラインは動画の構成を決定づける大切な要素で、話の内容を日本語の文章2行で書いたものです。
だれが(なにが)、◯◯して、△△になる、の3点を抑えると動画の流れが簡単に構築できます。どの映画もログラインで紐解くと、ほとんどが2行で説明できてしまうそうです。

ストーリーは三幕構成で考える

続いて大切なのが、 三幕構成の考え方。
セットアップ → 対立 → 解決(その後)のステップで動画が進行します。勉強会で野中さんが例にあげたSiri(iPhoneの音声認識機能)のストーリーボードを見ながらそれぞれのポイントを整理しましょう。

セットアップ

その場の状況と世界観を伝えます。
Siriの例では、一人暮らしの老女が歳のせいで手が震えてしまうことを情報として伝えています。

対立

主人公が自らの目的を達成するために、立ちはだかる障害と対立、もしくは衝突が起きます。Siriのストーリーボードでは、老女が手の震えのせいでスマホが操作しづらいという障害に衝突しています。

解決

対立で起こった問題が解決されます。映画でいえばクライマックスです。
Siriの機能を活用することで手の震えに邪魔されず、スマホを利用することができました。

その後

解決した先の未来を描きます。Siriが自由に使えるようになった老女は毎日娘と電話するまでに変化しています。日本人は4コマ漫画の文化があるため、起承転結にきれいに構成を分けることができる4部構成がおさまりが良いと感じるそうです。

モンタージュ理論を活用する

モンタージュ理論を使うと、撮りためた動画たちがたちまち映像に変わると言います。

モンタージュとは、フランス語で「組み立てる」という意味があり、異なるカットを2つつなげる事で、新しい意味や演出効果を生み出す手法です。(上の図左)アイスを眺める3人、次にアイスに当たりがでたのをみて歓喜している、のように人は無意識のうちに写真と写真に関連性をみつけてしまうのです。これこそが時空間芸術の魔法と言えるのだそうです。

モンタージュ理論を活用しいろんなカット割りの例を見ていきます。
最初に位置関係の情報を与えておくと、次のカットに男性しか写っていなくても、男性の正面には女性がいるのを自然に意識するようになります。

こちらも同様にカットの連なりを自然に感じることができます。
最初に位置関係や全体の様子を撮影し、寄りのショットを重ねていきます。
例えばワークショップ中の動画を撮影する時は、最初に会場全体の雰囲気を撮り、そのあと手元へ寄っていくことで個人でどんなワークをしているのかへフォーカスすることができます。

またモンタージュ理論を活用する際に気をつけたいのがイマジナリーラインです。
上の図の赤線がそのイマジナリーライン、またの名を想定線(そうていせん)と言います。動画を撮影する場合に、2人の対話者の間を結ぶ仮想の線、あるいは人物やオブジェクトの進行方向に延ばした仮想の線のことを指します
その線を超えた位置から撮影してしまうとカットのつながりに違和感が生じ、同じ時空間なのかどうかわからなくなってしまいます。線を超えて撮影しないように気をつけることで、レベルの差こそあれ、モンタージュ理論を活用することができます。

イマジナリーラインを説明する野中さん

いますぐ使える動画撮影のコツ

POINT 1 - 手ブレを防止する

こちらは基本中の基本。普段三脚がない状況での手ブレ防止術はこの3つ、椅子に座る、壁によりかかる、息を止める、です。じっと息をひそめ、良質な動画素材を撮りためましょう。

POINT 2 - 構図を決める

野中さんオススメの例を参考に構図を考えます。

人物は横顔か、斜め45度程度が理想

人にきれいに影を落としたり光の調節が難しい環境では、人を横顔もしくは斜め45度から撮影するのがオススメです。真正面から撮影してしまうと人の顔がフラットになってしまううえに、カメラ直視が起きやすくなります。登場人物がカメラの方をぱっと見ると動画を見ている側がドキッとしてしまう現象がカメラ直視です。動画を見ている人にカメラマンの存在を気づかせない配慮がミソになります。この構図はインタビュー、人の会話のシーンで活用できます。

空間は対角線で撮影がオススメ

動画は解像度が低いうえ、正面から撮影すると動きが止まって見えるのであまりオススメしません。建築物の外観や空間を撮影するときは対角線上からを撮り、構図に広がりをみせることが有効です。

写真の構図を応用することもできますが、カチッとした印象がでてしまい時間の経過があまり感じられなくなるので注意が必要です。

POINT 3 - 頭とお尻の1~2秒は捨てる

図にするとこんな感じ、撮影した動画の尺を魚にみたてています。
撮影開始時には必ず撮影開始のボタンを押すので手がちょっと揺れてしまいます。ここはつかえないのでカットしましょう。そして最後にまた停止ボタンを押すのでまた手が揺れます。ここもカットです。最後に残った身の部分が動画として使用できる尺になります。構図が定まってから最低でも5秒〜10秒はこの魚の身の部分を確保することがポイントです。撮り始めたら動かない、頭とお尻の1〜2秒は捨てる、これで良質な動画素材が集まっていきます。

ワークショップで実践

WORK1 映画のストーリーボードを考えよう

テーマは「桃太郎」、ただし「鬼の視点」で物語のストーリーボードを考えます。スティーブ・ジョブズの映画が何本も発表されているのは、監督ごとに視点の切り口が全く違うからだそうです。最初に物語のログラインを考え、ワークシートの左にイラスト、右にそれぞれセットアップ → 対立 → 解決(その後)の説明を書き込み、三幕構成を完成させます。製作者の視点ひとつで異なる鬼のストーリーがたくさん生まれました。動画講座参加者による力作を一部ご紹介します。

鬼が主人公だと、桃太郎が非日常の異物に。。。。
鬼も実は人間と同じ進化をたどっていた!?

WORK2 ワークショップイベントの動画編集をしてみよう

実際に動画を撮影し編集してみました。その場で撮ってiMovieでカンタン編集できます。ログラインを考えて、カット割りを決め、手ブレに気をつけ動画を撮っていきます。
みんなの初監督作品が完成しました。

ワークに黙々と取り組む姿が伝わってきます!

まとめ

撮影する前に考えること
・動画のログラインを考えよう
だれが(なにが)、◯◯して、△△になる
・三幕構成でストーリーを決めておこう
セットアップ → 対立 → 解決(その後)
・登場人物やオブジェクトを撮るときの構図を考えておこう
モンタージュ理論の活用、イマジナリーラインに注意

撮影する時に気をつけること
・壁にもたれたり、椅子に座ったり、手ブレをできる限りなくそう
・決めておいた構図に沿って動画をどんどん撮ろう
・良質な動画素材にするために、頭とお尻の1~2秒は捨てる認識で撮影しよう

いかがでしたでしょうか。講座のあと、僕はまっさきに学生時代に撮りためた動画を確認し、「これはログラインを考えてから撮れていたな」「こっちはイマジナリーラインを超えて撮ってしまっていたな」と得た知識と照らしあわせ夢中で自分の編集した動画を確認してしまいました。

なんとなくその雰囲気が素敵だと感じて直感的に動画を撮るのも楽しいですが、事前に構成を練り、伝えたいストーリーを動画編集により表現する、これこそ動画制作の一番の醍醐味だなと感じました。

みなさんも是非、お手元のカメラで「動画」を、「動画コンテンツ」にしてみませんか。

松本 亮平

Author松本 亮平(Layout Unit ディレクター)

関西学院大学卒。学生時代には途上国開発や国際問題を学びながら、アメリカのNGOの海外住居建設プログラムに参加し東南アジアを歴訪。卒業後は大手オフィス家具メーカーに就職し、オフィスワーカーの働く環境改善や提案に奮闘。クリエイティブが生まれる環境を自ら創造していきたいと、2014年ロフトワークに入社。Webディレクションで培ったプロジェクトマネージメントの力を基盤に、共創空間、クリエイティブ空間のプロデュースに従事。国内外問わず、あだ名は「へいへい」。

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