松井創が代表取締役CEOに就任。
新体制の4人が話す、次のロフトワーク
2026年10月、ロフトワークは新しい経営体制へ移行しました。松井創(まつい・はじめ)が代表取締役CEOに就任し、諏訪光洋は代表取締役会長へ。取締役COOの寺井翔茉、Culture Executiveの岩沢エリとともに、新しい体制が始まります。
25周年を迎えた昨年、諏訪・寺井・岩沢の3人は、これまでのロフトワークを振り返りながら、これからの可能性について語り合いました(関連記事:創立25周年を迎えて)。それから約1年半。今回は、松井を加えた4人で、未来を思い描くだけではなく、「次のロフトワークをどうつくっていくのか」を語り合いました。クライアントやクリエイター、地域や企業など、さまざまな人の意思と自分たちを重ねながら変化してきたロフトワーク。その姿勢はこれからも変わらない一方で、自分たちから「こんな世界もあるんじゃないか」とまだ見ぬ可能性を差し出すことも必要なのではないか。
そんな話から、AIと人間のクリエイティビティ、FabCafeという場の価値、これから一緒につくっていきたい人たちへの想いまで。話題をあちこちに行き来しながら、次のロフトワークの輪郭を探っていきました。
何者かを決めすぎず、少しだけ色を差し出す
岩沢 創さん(松井)がロフトワークの代表取締役CEOになって、これからどんな会社になるんだろう。それは社内だけじゃなくて、外から見ている人も気になるところだと思っていて。改めて創さんは、ロフトワークってどんな組織だと捉えていますか?
松井 一般的な企業だったら、会社として中心に据えるパーパスとかビジョンの話から始まるじゃないですか。でも、ロフトワークって、そこがちょっと違うと思うんですよね。
ロフトワークの仕事って、クライアントやクリエイターが持っている思いやビジョン、そして企業として実現したいことが前提としてある。そこに自分たちを重ねたり、編み込んだりしながらつくっていく。だから「ロフトワークは〇〇を目指す会社です」と強く定めることだけが正解じゃない。むしろ、相手に応じて変わるための余白みたいなものを、ずっと持ってきた組織なんじゃないかなと思っています。
各チームには小さなビジョンがあったり、社員一人ひとりに「これをやってみたい」という野心があったりする。それは、これからも生かしたい。クライアントやクリエイター、ロフトワーク、一個人としての社員、それぞれの「やりたいこと」が適度に重なり、適度に余白を残して、いかに「一緒につくれる」状態につなげられるのか。それが大事なんだと思う。
私が入社した頃、会社のパンフレットに「何にでもなれる」っていう言葉があったんです。今思い返しても、すごくロフトワークらしい言葉だなと思っていて。何者であるかを自分たちで先に決めるんじゃなくて、相手やプロジェクトとの間に何かが生まれて、その結果として自分たちの形も変わっていく。ずっとそうやってきた会社だと思うんです。
諏訪 そもそもロフトワークって、すごくいろんな相談が来る会社なんだよね。「これ、どうしたらいいと思います?」というような感じで。企業の新しい事業だったり、地域の未来だったり、組織変革の話だったり。相談の種類がものすごく広い。それだけ「一緒に考えてくれそうだ」と思ってもらえているということだと思うし、そこにどう応えられるかは、僕らの力量次第でもあるよね。社会もどんどん変わっているし、AIと一緒に考え、答えを出すことも当たり前になった。そういうなかで、ロフトワークが何を果たすのか。実はすごくチャンスだと思ってる。
松井 その一方で、これからは、来た相談に応えるだけじゃなくてもいいと思うんです。私自身、LAYOUT(レイアウト)を始めた時は、「こういう空間をつくったほうがいいんじゃないか」「こういう場があったほうがいいんじゃないか」って、少し自分から色を出してきたつもりです。ロフトワークって、何にでもなれるし、何色にも染まれる。それはすごくいい。でも今の社会を見ていると、そこにもう一色、私たちの側から足してもいいんじゃないかなって。
AIに聞けば、情報を整理しながらもっともらしい答えや選択肢が返ってくる。でも、じゃあ次に何をするのか、どんな形にするのか、どっちに進むのか。そこで迷っている人が多い気がする。そういう時に「こっちの世界、一緒に行ってみませんか」とか、「こういうものをつくってみませんか」って、一つの可能性を差し出す。すでにロフトワークの中でも、自分たちでテーマを立てて始めている活動はありますよね。そういう動きを、もっと増やしてもいいんじゃないかなと思っています。
岩沢 今までも、相手の中にあるものを聞いて、一緒に形にしていくことはずっとやってきたよね。でも、それに加えて「私たちは、こっちも面白いと思うんですけど、どうですか」と差し出してみる。相手と一緒につくることと、自分たちの意思を持つことは、必ずしも矛盾しないのかもしれないですね。
AIと考える時代だからこそ、「HUMANITY」を問う
諏訪 今って、もしかすると一番相談している相手、一緒に考えている相手って、AIなんじゃないかと思うんだよね。実際、僕もかなりAIと話してるから(笑)。これからは、一人ひとりがものすごく優秀なAIを持って、AIと一緒に考えることが当たり前になっていくと思う。だからこそ逆に、人間同士でどう考えるのか、どうやって一緒に何かを生み出していくのかが、ますます重要になる気がしている。
例えばSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)*って、スタートアップもいれば、大企業もいるし、自治体もいる。全然違う立場の人たちが一緒に考えるための装置になっているでしょう。これまで「オープンイノベーション」とか「共創」って散々言われてきたけど、本当に違う人たちと一緒に考えるのって、そんな簡単じゃない。それを実現するためには、まだまだやることがあると思う。
寺井 AIは、情報が多いほうがいい仕事に対して、かなり向いてると思いますね。僕も使っていて、すごいなと思うし、できる仕事の量が増えすぎて、逆に終わらへん(笑)。ただ、クリエイティブの仕事でいうと、情報が多すぎることで、かえって動けなくなることもあります。リサーチをしすぎて、何をつくったらいいのかわからなくなる、みたいな。ほんまに何も知らん状態から、一回つくってみたほうがいいこともある。
だから、情報を集めるためだけじゃなくて、試作しながら考えるためにAIを使う、というのは面白いと思っていて。つくって、そこから学んで、もう一回つくる。その往復は、AIによってかなりやりやすくなったと思う。「AIがいい」「クラフトがいい」という二項対立でもない。ただ、自分が今、何のためにAIを使っているのかは、自覚的でいたほうがいい。じゃないと、気づかないうちに溺れてしまうなと思います。
諏訪 僕の場合、自分が得意だと思ってたことが、結構AIと被ってるんだよね(笑)。膨大な情報をモワッと捉えて、「この辺が鍵なんじゃない?」って見出すみたいな。それは、AIがすごく得意なことで。そういう能力がどんどんコモディティ化すると、最後はやっぱり「実行する」ことが重要になると思う。
じゃあ、実行するって何なんだろうって考えると、誰かの気持ちを動かすとか、「よし、やろう」って奮い立たせるとか、そういうことなんじゃないかな。レポートをつくって終わりじゃなくて、本当に何かを変えてくれよ、と。ロフトワークって実際、ワークショップをやったり、組織の中に入ったりしながら、そこまで踏み込む仕事が多い。その時に必要なのは、正しい答えだけじゃなくて、人の気持ちを動かす力なんだと思う。
岩沢 空気をつくる、ということなのかもしれないですね。誰か一人が引っ張るというより、みんなが自然に動き出せる状態をつくる。そういう場のあり方をつくること自体も、クリエイティブの一つなのかもしれない。
松井 これからのロフトワークを考える中で、ちょうど毎年恒例の「Year End Party」のテーマを話す機会がありました。そこで、「HUMANITY」という言葉を置きました。AIの登場により社会が大きく変わると、「人間って結局どうしたいんだっけ?」みたいな問いが出てくる。でも人間って、結構すぐ適応するんですよね。コロナの時もそうだったけど、環境が変わったら、なんだかんだ自分たちなりのやり方を考える。
別の話として、ロフトワーク KYOTO BRANCHって、オフィスに強い西日が入るのに、翔茉がカーテンをつけなかったんですよね。
寺井 そう。カーテン、嫌だったんですよ(笑)。そしたら、いつの間にかみんな室内で日傘を差し始めて。夕方になるとオフィスに日傘が並んで、「ああ、もうそんな時間か」ってわかるみたいな。別の日には、誰かが遮熱フィルムを壁に貼ったりして。「カーテンつけたらいいやん」って思われてるかもしれないですけど、制約の中で各々が工夫し始めるのって、僕は結構美しいと思うんですよね。
松井 AIだったら、もっと合理的な解決策を出してくると思うんです。でも、なぜか日傘を差し始める。すごく非合理だし、ちょっとバカっぽい。でも愛おしいですよね。人間って全知全能じゃない。だから工夫するし、遊ぶし、思いもしないやり方を試す。そこには、まだ人間側のクリエイティビティがいっぱい残っていると思うんです。
ロフトワークの仕事でも、効率だけで考えたらいらないようなものを、ディレクターがわざわざつくっていることがある。ワークショップのアイスブレイクに妙に手間をかけたり、オンラインのボードなのにRPG風の世界を再現したり。別にそこまでやらなくても目的は達成できるかもしれない。でも、その「なんでそこまでやるの?」っていう部分に、楽しさとかワクワクとか、人間味がある。これからAIを使わなくなるわけじゃない。むしろ、たくさん使うと思います。その上で、僕らが人と仕事をする意味、人と一緒につくる意味を、もう一回ちゃんと考えたい。だからこそ、「HUMANITY」というテーマにしました。
諏訪 ComoNe(コモネ)*も、そういう意味ではすごく象徴的だと思う。企業の社員として来た人が、会社名とか肩書きとかキャリアだけでそこにいるんじゃなくて、一人の人間としてそこにいる。人間性をどう解放するかという問いは、昔から僕らが向き合ってきたことでもあるよね。AIが出てきたから突然HUMANITYを考え始めたわけじゃなくて、もともとやってきたことが、今すごく大事になってきている、というフェーズなんじゃないかな。
*SHIBUYA QWS:2019年、渋谷スクランブルスクエア15階に開業した共創施設。「問い」を起点に、多様な人や組織が交わり、新たな価値を生み出すことを目指している。ロフトワークは開業準備段階から、コミュニティやプログラムの設計・運営に携わっている。
*ComoNe:正式名称はCommon Nexus(コモンネクサス)。東海国立大学機構が運営する、名古屋大学駅直結の共創・探究拠点。名古屋大学・岐阜大学の学生や教職員だけでなく、地域の人々や子ども、企業などにも開かれ、世代や領域を超えた交流や活動を生み出す場として2025年7月にオープンした。
FabCafeは「聞くことができるメディア」なのかもしれない
岩沢 ここまで話を聞いていて、FabCafeも自分たちから地域や社会に可能性を差し出してきた存在なのかもしれないと思いました。最近、改めてFabCafeって何なんだろうと考えることが増えていて。
松井 FabCafeはもう「ものづくりができるカフェ」という説明を、大きく超えていると思うんですよね。長く活動している地域を見ていると、ただ面白い人が集まっているというだけじゃない。FabCafeがあることによって、今まで交わっていなかった産業がつながったり、地域の人と海外のアーティストがつながったりしているわけです。3年、5年、10年と活動していくと、地域の中に新しい関係がどんどんできていく。
そうやって見直すと、FabCafeって、その地域にまだない可能性を、みんなで試行錯誤するための装置みたいになっていると思うんです。
岩沢 私は今年、FabCafe Chibaを立ち上げて、実際に地域の人たちと関わりながら運営しています。だから、今の話はすごく体感していて。まだ始まって数カ月なのに、企業で新規事業を担当している人が「千葉でいろいろやりたいんだけど、なかなか面白い場がなくて」と、突然訪ねてきたりするんです。一方で、公園の中にあるカフェだから、本当にいろんな人が来る。近所の人もいれば、たまたま通りかかった人もいる。(関連記事:FabCafe Chiba オープンに寄せて)
カフェで話を聞いていると、来てくれる人の多くが、実は「こんなことをやってみたかった」という思いを持っているんだなと感じます。ただ、一人ではなかなか形にできなくて、思いのまま止まっていることも多いんです。そこで私たちが「じゃあ一緒にやってみましょう」と声をかけたり、「あの人とつながったらできるかもしれませんね」と誰かを紹介したりすると、止まっていたことが少しずつ動き始めることがあるんですよね。
それがすぐに仕事になるとは限らない。でも、その手前で、街の中に小さな動きが一つ、また一つと増えていく。活動を続けていけば、その積み重ねが、いずれ街全体の変化にもつながっていくんじゃないか。FabCafe Chibaを運営しながら、そう感じています。
寺井 なんか不思議だよね、FabCafeって。特別な装置があるから人が集まっている、というわけでもないじゃないですか。じゃあ、なんでこういうことが起きるんやろうって。昔、ある編集者の方が、メディアの機能について「これからは、どれだけ発信できるかだけじゃなくて、どれだけ聞くことができるかが大事になるんじゃないか」と語っていた。そう考えると、FabCafeって「聞くことができるメディア」なのかもしれない。
岩沢 なるほど、すごく共感する! FabCafe Chibaを始める前に、FabCafe Tokyoを立ち上げたメンバーに「最初の頃って、何をしていたんですか?」と聞いたことがあって。返ってきた答えが「ひたすら聞いた」だったんです。カフェにいて、面白い人が来たら、「何をやりたいんですか?」と聞く。「それ面白いね、一緒にやろうよ」って言って、実際に一緒につくる。FabCafe Chibaでも、自分が現地にいて人の話を聞き続けることで、「ここでなら話してみてもいいかも」と思ってくれる人がいるのかもしれない。「聞いてくれる」という機能自体が、人を集める力になるんだ、と最近思っています。
松井 「受信力」なんですよね。メディアっていうと、どうしても発信するものだと思うけど、まず受信する。誰かの中にある、まだ小さい意思みたいなものを聞いて、それを別の誰かにつなぐ。
岩沢 そう考えると、FabCafeは私たちが何かを提供する場所というより、そこにいる人たちと一緒に、その土地に何があったらいいのかを探す場所なのかもしれない。それって、FabCafeだけじゃなくて、ロフトワーク全体にもつながっている気がしますね。
諏訪 そうだと思う。その人自身もまだ言葉にできていないことを聞いて、別の人とつないで、「こういうことできるんじゃない?」って一緒に考える。それはAIだけではなかなか生まれない関係でもあると思うよ。
誰と、次のロフトワークをつくっていくか
岩沢 最後に、これからそれぞれが、誰とどんなことをつくっていきたいのかを聞いてみたいです。
寺井 僕は、いわゆる狭義のクリエイター、実際に手を動かしてつくる人たちとの時間を、もっと増やしたい。ここ数年、「デザイン」とか「クリエイティブ」という言葉がカバーする範囲が、実際にものをつくるところだけじゃなくて、事業やプロジェクトの構想を考えるような上流まで、かなり広がったと思うんです。それ自体はすごくいい。一方で、実際につくるとか、クラフトする部分がおざなりになっていることもある。
AIが出てきて、「この職業がなくなる」とか「こういう仕事はAIに置き換わる」とか、いろいろ言われるじゃないですか。でも僕は、そういう引いたところの話だけじゃなくて、実際につくっている人たちと「じゃあ、AIをどう使う?」って話をしたいんですよね。一緒に手を動かしながら考えないと、わからないことがいっぱいある。ディレクターとクリエイターが一緒にいて、プロジェクトの現場で試していく。そういうディレクションとクリエイティブの実践は、これからもっと大事にしていきたいと思っています。
岩沢 私は、これまで出会ってきた人たちを、もう一回違う形でつなぎ直してみたいです。最近だと、海藻の種苗研究や生産に取り組むシーベジタブルの共同代表・友廣裕一さんと話す機会がありました。彼らはまだ世の中にない事業を、自分たちでつくろうとしている。その話を聞いて、すごく面白いと思ったんです。でも、そういう新しいことに挑戦している当事者たちだけでは、できることに限界もある。そこに異業種の企業が入ったらどうなるんだろう。研究者やクリエイター、さらに海外の人たちまでつながったら、できることはもっと広がるんじゃないか、と。
これまでは、一人ひとりとの出会いや関係をそれぞれ大切にしてきたけれど、これからはもう一歩進んで、「この人とこの人がつながったら、本当に何か動くかもしれない」と考えて、一つでも二つでも形にしてみたい。
諏訪 僕はやっぱり、もっと世界とつなぎたい。FabCafeって世界10拠点以上にネットワークがあるじゃない。でも、そのネットワークと日本の企業やスタートアップが、まだ十分につながっていないと思っているんだよね。昔より海外に挑戦しやすくなっているし、言葉の壁もどんどん小さくなっている。日本で面白いことをやっている人たちが、FabCafeのネットワークを使って海外へ出ていったり、逆に海外の人たちが日本のプレイヤーと一緒に何かを始めたり。そういうクロスオーバーをもっと増やしたい。
それと、ロフトワークの中だけでチームをつくらなくていいと思っていて。デザイナーや建築家だけじゃなくて、企業の中で新しいことを始めようとしている人も、研究者も、行政の人もいる。その人たちが入ることで新しいものが生まれるなら、彼らもクリエイターでしょう。プロジェクトごとに「今回、誰と組むのがいちばん面白いだろう」って、社外まで含めて考えられたらいいよね。
松井 それでいうと、ロフトワークに入ってから「これは面白いプロジェクトだったな」と感じたものって、成果物をつくるだけじゃなくて、“人が変わった”プロジェクトなんです。最初は自分のことをそんなにクリエイティブな人間だと思っていなかった人が、プロジェクトを一緒にやるなかで、どんどん変わっていく。自分から新しいことを言い始めたり、会社の中で別の活動を始めたりする。
その人の中にあったクリエイティビティがひらく瞬間に、ロフトワークが関われることにはすごく可能性を感じています。もちろん、すでに高い技術や専門性を持っているクリエイターの存在はものすごく大事です。その人たちからしか生まれないものもある。一方で、まだ表に出ていない力や可能性も、社会の中にはたくさんあると思うんです。そうした一人ひとりの創造性がもっとひらかれていけば、より良い未来に近づくスピードも上がるんじゃないか、と思っています。
岩沢 それは、これからロフトワークが誰とつくっていくのか、という話にもつながりますね。私たちが掲げる「Unlock Potential」という言葉が象徴するように、すでに「クリエイター」と呼ばれている人だけではなくて、まだ本人も気づいていない可能性まで含めて。
松井 そうですね。少し個人的な話になるんですけど、私の名前って、「創造」の「創」と書いて「はじめ」なんです。親がデザイナーだったこともあって、小さい頃から「つくる人になりたい」と思ってきた。でも社会に出たら、自分より圧倒的にクリエイティブな人がたくさんいて、一回挫折したんですよ。「自分、全然つくれないじゃん」って(笑)。それでもずっと、「自分は何をつくれるんだろう」ということを、個人の命題として考えてきたところがあった。でもロフトワークに入った時に、急に選択肢が増えたような感覚があったんです。「あ、これ、自分一人で解かなくていいんだ」って。
ロフトワークにはいろいろな人がいて、社外にも、一緒につくってきた仲間がたくさんいる。その人たちとだったら、「つくる」ということの可能性をもっと大きくできる。私自身に、ものすごい制作スキルがあるわけではない。でも、「一緒にやろう」と声をかけることはできる。これからは、そこに力を入れていきたいと思っています。
諏訪 僕は、それこそが大事だと思うんだよね。人を奮い立たせたり、みんなの気持ちを一つの方向に動かしたりすること。それ自体が、これからますます大事なクリエイティビティになると思う。一人ですごい答えを出すんじゃなくて、いろんな人の力が出る状態をつくる。ロフトワークは、もともとコミュニティから始まった会社でもあるからさ。
松井 そうですね。何者かを自分たちだけで決めずに、人の話を聞いて、一緒に考える。必要な時には、こちらから一つの可能性を差し出してみる。社内外のいろいろな人と一緒に、まだ名前のないものをつくっていきたいと思っています。
撮影:川島彩水
執筆:宮崎真衣(株式会社ロフトワーク)
編集:後閑裕太朗(株式会社ロフトワーク)
Next Contents














