京都のクリエイター/研究者とのクロスオーバー
オランダ在住リサーチャー 24時間の弾丸ツアー
こんにちは。ロフトワーク京都チームの浦野です。去る2022年5月4日、YouFab Global Creative Awards 2021のGrand Prize受賞者でオランダ在住リサーチャー、masharu studioさん(以下、masharuさん)が急遽京都に来ることになり、京都で活動するクリエイターや研究者の方々とのワークショップやツアーを実施しました。たった1日の滞在でさまざまなクリエイターとのクロスオーバーが生まれたので、その様子をレポートします。
今回の旅人:masharu studio
世界各地に伝わる「土をたべる」文化を調査した移動式博物館で土食文化の体験を通じて、地球そのものから非人間、無生物と人間の存在との関係を結び直すヒントを与えてくれるオランダの「the Museum of Edible Earth」。今回、YouFab Global Creative Awards 2021でGrand Prizeを受賞し、FabCafe Tokyoで展示を行うために来日しました。masharuさんは、展示期間中に、実際に摂取可能な土を食べてみながら、アーティストトークおよびワークショップを行いました。
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YouFab Global Creative Awards 2021
2012年にスタートしたYouFab Global Creative Awards は、クリエイターと社会を繋ぐグローバルなプラットフォームを目指すアワード。第10回目となるYouFab 2021では、審査委員長に伊藤亜紗氏(東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長)を迎えました。伊藤氏が提唱する「民主的なものづくりと民主主義の実験」を意味する「Democratic experiment(s)」のテーマのもと、過去最多の335作品の応募があり、19作品の受賞作が選出されました。 詳細はこちら>>
京の台所で制作・滞在・展示。KAGAN HOTELでの滞在。
今回masharuさんが宿泊したのは、京都市の中央卸売市場にある野菜卸の女子寮兼倉庫をリノベーションしたアートホテル&ホステル、KAGAN HOTEL。巨大な市場のあるこのエリアは、実は、京都市内でもアーティストや研究施設などが集まるクリエイティブスポット。昔から京の食を支えてきた土着の風俗と、自由なクリエイティブが混じり合うとっても面白い場所なのです。
KAGAN HOTELは、宿泊エリア、カフェ、ギャラリー、そして制作スタジオのエリアに分かれています。アーティストインレジデンスも実施しており、参加したアーティストは制作と展示ができます。ちなみに、FabCafe Kyotoのプロジェクトインレジデンス「COUNTER POINT」もKAGAN HOTELと連携中。私たちのレジデンスに参加する方は、KAGAN HOTELにもお得に泊まれて、内容によっては展示パートナーになってくれる可能性もあるので、ぜひご贔屓に!
日本中のマテリアルと出会い、そして食べる。
ホテルにチェックインしたら、まずはFabCafe Kyotoへ。今更ですが、少しご紹介を。FabCafe Kyotoは五条通りの少し南、京都タワーのよく見える道に面して、2015年から営業しています。京都は北から南にかけて、一条、二条、三条、、と道が走っており、昔公家の住まいだった京都御所のある二条から南に行けば行くほど、庶民文化がグラデーションのように広がっていきます。御所から離れた五条に私たちがカフェをオープンさせたのは、当時、余白のあるこのエリアで、新しいチャレンジをしようとする人たちが集まってきて、何か面白いことが起こりそうだという直感を感じたから。2022年の今も、新旧の文化が入り混じって新たなカルチャーを生み続けています。
さて、カフェに到着すると、早速、素材の可能性を模索する事業「MTRL」のプロデューサーの木下から、さまざまなマテリアルの紹介が始まりました。FabCafe Kyotoには、西陣織や組紐などの伝統素材から、漆や縄文杉などの天然素材、強化段ボールやバイオレザーなどの工業素材まで、あらゆる素材を紹介、新たな活用方法を一緒に模索しています。(FabCafe Kyotoは特に素材のサンプルが多いので、ぜひ気軽に体験しにきてください)
今回、masharuさんが来るということで木下が取り出したのは、リモナイトという、阿蘇山で産出される土。これは、脱臭剤や染料(ベンガラ)に使われていると同時に、サプリメントの原料にもなっているとのことで、早速皆で試食。masharuさんは「おいしい」とコメントしていましたが、私は土の味覚で情報を得ることが初めてで、若干混乱しました(笑)
ミートアップで京都の研究者やアーティストと出会う
今回、masharuさんが来るということで急遽ミートアップを企画。食に関わる研究者やアーティストの方々を中心にお声がけしたところ、開催5日前の声がけとGW真っ只中だったにもかかわらず、何人もの方々が集まってくれました。ミートアップでは、masharuさんから「Museum of Edible Earth」のプロジェクトを紹介いただき、masharuさんが世界中で集めてきたサンプルを実際に試食しながら、ビール片手にカジュアルにディスカッションしました。
”液体料理”を開発する孤高のバーテンダー、セキネモトイキ
ミートアップのあとにmasharuさんを連れて行ったのは、「液体料理」を開発し続けているセキネモトイキさんが営む、nokishita711というバー。「カクテルではありません、液体料理です」とご本人が言う通り、一般的なカクテルとは全く違います。肉や魚、虫などの素材はもちろん、さまざまな方法で発酵させたり抽出したりと、どのメニューもレストランの食事のような素材のバリエーションと調理がされた、アルコールドリンクなのです。もちろん、土も使っている。ということで、ぜひmasharuさんに紹介したかったのです。
どんな時に土を食べるんですか?という質問に、タバコやスナックのように嗜好品として楽しんでいる、というmasharuさん。おもむろに手持ちの土を取り出し、お酒と一緒にかじり始め、テーブルに置いて皆にも振る舞っていました。
バーに一緒に行ったのは、セキネさんとも「飲む植物園」というプロジェクトで何度もコラボレーションしており、FabCafe Kyotoでもシリーズイベント「制約の多い花屋」を実施中のフラワーアーティストedalab.の前田さん。複雑な表情(笑)
新旧入り混じり、クリエイティブが蠢く、京都
たった1日の滞在で、多くのクロスオーバーが生まれたmasharuさんの京都遠征。京都は昔も今も、あらゆる文化が入り混じる街です。そんな京都で活動がしたい方、何かきっかけを作りたい方は、いつでもお気軽にFabCafe Kyotoにお声がけください。
株式会社ロフトワークについて
オープンコラボレーションを通じてWeb、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー。
グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材と向き合うクリエイティブサービス「MTRL(マテリアル)」、クリエイターとの共創を促進するプラットフォーム「AWRD(アワード)」を運営。世界中のクリエイターコミュニティと共創することで、幅広いクリエイティブサービスを提供します。
株式会社ロフトワーク 広報:pr@loftwork.com
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