空間(ハード)とプログラム(ソフト)の両軸で評価

ロフトワークが、総合プロデュース・運営をサポートする、パナソニック クリエイティブミュージアム「AkeruE(アケルエ)」と、同施設で行う「アルケミストプログラム」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。10月25日(水)〜 29日(日)に東京ミッドタウンで開催される「グッドデザイン賞受賞展」で紹介される予定です。

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社が運営するAkeruE(アケルエ)は、観る・つくる・伝える体験を通してクリエイティブな力を育む場として、2021年4月にパナソニックセンター東京内にオープンしました。知性を育む科学館の要素と、感性を育む美術館の要素を兼ね備え、モノ・コトづくりに取り組めるスペースやワークショップを展開しています。

ロフトワークは、AkeruEのパートナーとして、事業構想から、空間設計、展示キュレーション、プログラム設計などの総合プロデュースを支援したほか、開業以降の施設運営や、探究活動であるアルケミストプログラムもディレクションしています。

「ひらめき」をカタチにするミュージアム AkeruE

AkeruEには3つの展示・体験空間があり、「ふしぎにであう『ASTRO』」、「つくって、遊ぶ『COSMOS』」、「つたえてつながる『PHOTON』」を軸に、子どもたちが楽しみながら体験を通じてアートと理学・工学を学び、その場で実践、さらに発信できるプロセスが構成されています。不確実性が高く予測が難しいとされるVUCA時代のなか、子どもたちの想像力/創造力のタネを見つけながら、社会に価値を創出する人財を育む取り組みを実施しています。今年で3年目を迎え、子どもたちの「ひらめき」をカタチにする、これまでにないクリエイティブミュージアムとして、ロフトワークが施設運営をサポートしています。

2023年度グッドデザイン賞 審査委員の評価コメント

「教育」という言葉は「教えて育てる」と書くが、その主語は、子どもたちではなく、先生や親といった大人たちだ。戦前から戦後、高度成長期を超えて、グローバル社会へと社会状況と社会課題が次々と変わりゆく中で、確かに学校教育も改革を進めてきたが、よく考えてみれば、教育の主体が大人であるということは、一貫して変わらなかったように思う。AIなどの科学技術が急速に進化する中、これからの社会に必要な力は、「自ら考え、課題を発見し、その解決に向けて行動できること」だ。アケルエの事業主体は、長年日本のものづくりを支えてきた民間企業だが、今後の世界を支えるに足る人材を育成するために、新たな学びの場を先駆けて生み出したことに敬意を表したい。

“STEAM”と“クリエイティブラーニング”による探究プログラム「アルケミストプログラム」

アルケミストプログラムは、AkeruEのコンセプトである“STEAM”と”クリエイティブラーニング”による探求プログラムです。現在は初心者向け(小学校4年生〜6年生)の”ACADEMY”と、小学校4年生以上〜大人までを対象にした”STUDIO”の2つのコースがあります。本プログラムはディレクターによる監修と専任のクルーによるティーチングやコーチングを実施。クルーは「どうしてこれを作りたいのか?どうやったらカタチにできるのか?」という「問い」を投げかけ、プログラムに参加したメンバー自身が、3ヶ月かけて「考える・カタチにする」力を育むことで、予測困難な未来を突破できることを目指しています。

2023年度グッドデザイン賞 審査委員の評価コメント

日本ではじめてプレーリーダーという職業につき、長年子どもたちの遊びに関わりつづけてきた天野秀昭さんの言葉を借りれば、このアルケミストプログラムは、「教育=教えて育てる」から「遊育=遊んで育つ」に変換する仕組みだと思う。大人が教えてこどもを育てるというよりも、子どもたちが遊びを通じて、主体的にものごとを考え課題を解決していく力を身につけ、日々変わりゆく社会状況における見たこともない課題や困難に直面しても、ポジティブに生き抜いていく自信を獲得できるプログラムだ。大人(コーディネーター)は、教えすぎず、放置しすぎずの難しいサポート力が要求されるので、この人材育成プログラムは、これからの社会を支える、極めて高度な「技術」なのである。

これまで実施したプログラムから生まれた作品

作品テーマ「くるくるカラクリ くるカラ」/ 制作者 : ユービィさん

プログラム創設時から在籍しつづけている、ピタゴラ装置などのからくり作りを全て自身で作ることにこだわっている中学生。からくりのワークショップキットも開発し、AkeruEでの実施はもちろん、外部の施設でも個人でワークショップ実施経験があるなど、常に前向きにAkeruEでの活動を楽しんでいる。

作品テーマ「Think Different Rainbow」/制作者 : HIRARIさん

虹をこよなく愛し「Think Different Rainbow」という自身のブランドを立ち上げた小学生。
アルコールインクを使ったアート作品やカラフルなアクセサリーやアートを制作しECサイトでも販売を行っている。23年の夏にはデザインフェスタにも初出展した。

グッドデザイン賞とは

1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。

AkeruE運営体制

運営:パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
総合プロデュース:株式会社ロフトワーク/LAYOUT事業部

Keywords

Next Contents

「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2024」内関連イベントに
Layout シニアディレクター宮本明里とバイスMTRLマネージャー長島絵未が登壇