学校法人京都産業大学 PROJECT

“在学生が誇りを持てるWebサイト”を目指したWebリニューアル

プロジェクト詳細

表層だけのリニューアルにとどまらない、本質的な価値追求を提案。

- 大学サイトリニューアルの背景にはどのような課題があったのですか?

棚原(京都産業大学):他大学サイトが進化する中で、5年前のリニューアルからデザインが変わらず、スマートフォン対応の遅れというアクセシビリティの課題も抱えていました。さらに、学内の情報収集や情報共有が思うように進まず、結果的に魅力的な情報を発信できていないという現状もありました。

増村(京都産業大学):外部の方が本学と接点を持つ機会は、明らかにWebが中心になっています。訪問者をいかにワクワクさせ、期待以上のものを感じてもらうかという点において、ビジュアルやコンテンツの果たす役割は非常に重要です。これらの質を向上させることがリニューアルの大きな目的の一つでした。

左から棚原氏 増村氏 平野氏 濱田氏

平野(京都産業大学):インフラ面の課題としては、更新量が増えるにつれ、手作業での更新作業が限界を迎えつつありました。更新の手段としてCMS導入を選択したのも、誰でも編集できる環境を実現したかったからです。

濱田(京都産業大学):過去5年間で、Webでの情報発信頻度は、飛躍的に高まっており、広報部だけで全学の情報発信を担うのは厳しくなっていました。約800人の教職員全員がそれぞれに情報発信できれば、自ずと情報量が増え、幅も広がります。さらにより良い情報発信のあり方をみんなで考えていけば、情報の質も向上すると考えました。

石田(ロフトワーク):提案依頼書にはデザインの提出も含まれていましたが、サイトの目的が定まっていない段階でご提案するデザインはあまり意味がありません、と敢えてお伝えしました。京都産業大学として、訴求したい価値が何なのか、ターゲットにとって価値ある情報は何なのかを考えたうえで、情報設計からテコ入れを行いましょう。と、ご提案しました。

増村:完成形がいい意味でイメージできなかったこともあり、ロフトワークからの提案が一番ワクワクしました。開学50周年の節目を迎え、変わりたい!という思いが強かったのでなおさらです。

平野:一緒に作っていこうという姿勢が前面に出ていました。最初の段階で出すビジュアルにあまり意味はないという考え方や進め方のスタイルを含め、本学のことを本気で考えて作っていこうという意気込みを感じ、信頼できました。

ワークショップ、インタビューを通じて根本からテコ入れ。

- 価値の見直しはどのように進めましたか?

国広(ロフトワーク):当初から強みをうまく出せていないという話が出ていましたが、そもそも強みはどこにあるのか、原点に立ち返るところからスタートしました。具体的には、強み発見のワークショップを行うとともに、学長や副学長をはじめ、各学部の先生方、職員の方にインタビューをし、そのアウトプットとしての要件を「ディスカバリーレポート」にまとめました。これらを通じて、“在学生が誇りを持てるWebサイト”という明確な軸が出来たのです。

ディレクター横浜、プロジェクトマネージャー国広、プロデューサー石田

増村:ワークショップで教職員も巻き込んで本学の売りを考えたのが良かったですね。いい雰囲気の中で学生の意見を聞く貴重な機会にもなり、その後、各学部にインタビューに回るきっかけになりました。

これまで学部の先生方とどのように学部の魅力を発信するかについて、議論する機会などなかったのですが、インタビューでは、先生方の広報マインドが高いことに気づかされると同時に、広報の考え方を理解してもらうことができました。あのプロセスがなかったら、いざリニューアルが完了して、今日から各学部で情報発信してくださいと言ったところで、協力は得られなかったでしょう。

棚原:プロジェクトの早い段階で学長、副学長の合意形成を得るために、ロフトワークにはディスカバリーレポートとトップページのデザインをプレゼンしてもらいました。その場ではいろいろ意見されましたが、その後こう言われたのです。

「非常にワクワク感があり、ビジュアルも美しい。何より、“在学生が誇りを持てるWebサイト”というコンセプトがすばらしい。我々の意見にはこだわらずに、進めて良い、あとはすべて若い人の感性に任せるよ」と。衝撃的でした。ワークショップやインタビューの成果をもとに設計してもらったからこそ、学長たちからも納得して任せてもらえたのだと思います。

ワークショップ、インタビューを経て完成したディスカバリーレポート

-サイト設計ではどのような工夫をしましたか?

横浜(ロフトワーク):CMSで仕様を考えていくと、各階層ごとに共通のフレームになりがちですが、それぞれ表現したい強みが異なるので、第二階層の一頁ずつワイヤーフレームを作成し、それぞれのページについてデザイナーと「打ち出したい強みが何か」を共有しながら作りこみました。 さらにデザインだけでなく、中身であるテキストについても、ディスカバリーレポートを元に、在学生により強く響く言葉を探し求めて、何度も何度も書き直しながら作り上げていきました。

国広:コンテンツ移行で対象ページを大幅に減らせたのもポイントでした。通常移行計画はプロジェクトの中盤から終盤にかけて行うのが一般的ですが、既存サイトのページ数が多いことを考慮し、デザインと並行で早めに移行の話を進めていったので比較的スムーズでした。

横浜:年間でPVが一定数以上あるページをリストアップし、これでアクセス数の約9割はカバーできるというお話をして、ページの要・不要の判断をしていただきました。各学部や各部署との調整を当社側に立ってやってくださったので、レスポンスが早くて助かりました。

「むすんで、うみだす。」を可能にするサイトが実現。

- サイト公開後手応えは感じていますか?

棚原:反響はとてもいいですよ。 在学生のためのWebサイトを目指したのですから、学生たちがTwitterで好意的な評価をつぶやいているのを見るとうれしいですね。効果は数値にも顕著に表れています。力を入れた各学部ページや新規ページがよく見られていることから、ワークショップやインタビューを通じて議論してきた“売り”の部分をしっかり見てもらえていることがわかります。“在学生が誇りを持てるWebサイト”という軸が出来たことで、常に「学生のために」という意識でWebサイトを見るようにもなりました。

濱田:CMSを入れたことで教職員のWebサイトへの意識が変わってきているのを感じます。以前よりも確実に、発信する情報の質と量が向上しています。

増村:当初の狙いどおり、各学部、各部署で確実に広報マインドが芽生えつつあり、教員や学生との何気ない会話なども、情報としてキャッチするようになっています。これも、教職員と一緒に作り上げてきた過程があってのことです。今後も講習会やワークショップを通じて広報マインドを高めていく計画です。

平野:作って終わりではなく、そのあとのことまで見据えた提案だったことも、ロフトワークに決めた理由の一つでしたからね。

棚原:結果的に学内の横のつながりが生まれる提案をいただけたので、広報部としての情報収集力もアップしています。俯瞰的に情報収集し、これとこれを合体すればもっと大きなネタになるね、といったアプローチもできるようになってきました。まさに、本学が目指す大学像「むすんで、うみだす。」に通じる成果です。

プロジェクトメンバー

写真で見る京都産業大学新校舎

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