Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ PROJECT

デザイン経営とは / ビジョンを更新する
- Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ

こんにちは、Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ 事務局の飯澤絹子です。

これからの時代を生き抜くために、経営にデザインの視点をー。
Dcraftは、30社の中小企業が、次世代のビジネスを牽引するリーダーとなることを目指し、経験豊富なクリエイティブディレクターや経営者を講師に招き、デザインを活用した経営手法=デザイン経営の実践を支援する7ヶ月間のプログラムです。
全4回行われる導入支援プログラムのうち、今回は永井一史氏を講師に招き開催した第1回「デザイン経営とは & ビジョンを更新する」を紹介します。

第1回の講師

永井 一史(代表取締役社長、多摩美術大学教授、アートディレクター/クリエイティブディレクター)
1985年多摩美術大学卒業後、博報堂に入社。2003年、デザインによるブランディングの会社HAKUHODO DESIGNを設立。様々な企業・商品や行政施策のブランディング、VIデザイン、プロジェクトデザインを手掛けている。医療・ヘルスケアや地方創生などソーシャル領域での活動も多い。2015年から東京都「東京ブランド」クリエイティブディレクター、2015年から2017年までグッドデザイン賞審査委員長を務める。経済産業省・特許庁「産業競争力とデザインを考える研究会」委員。
クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリ、毎日デザイン賞など国内外受賞歴多数。著書に『博報堂デザインのブランディング』など。

講義編 【デザイン経営概論】

なぜ経営にデザインの視点が必要なのか

――デザイン経営の必要性について、永井さんはどのようにお考えでしょうか。

永井一史氏(以下、永井) コロナによる成長戦略の見直しを含め、今後ますます変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高まると言われています。その中で企業が生き抜くためには、世の中の動きに合わせるのではなく、自分たちの本来あるべき姿とは何かを見つめ、顧客価値を生み出していく必要があります。デザインは組織文化を構築し、価値を生み出すことに寄与します。

デザイン経営実践のサイクル

――デザイン経営とは、どのようなプロセスで何をするのでしょうか。

永井 デザイン経営とは、企業の社会的存在意義(パーパス)を見定めて組織文化を構築し、新たな価値を創造し続ける経営手法です。経営、技術、デザインの3つの面から多面的に経営戦略を考え、社内では新しい文化を醸成し、顧客に対して新たな価値を創造し続けながら、その価値や自社の思いを社会と共有し、強いブランドづくりを行っていきます。

参考資料① 中小企業におけるデザイン経営調査報告書「中小企業のデザイン経営」

ロフトワークは、経済産業省関東経済産業局、公益財団法人日本デザイン振興会の協力のもと、『中小企業のデザイン経営〜経営者のビジョンが文化をつくる〜』を公開しました。(2020年3月発行)
スノーピーク、ファミリアをはじめ、経営者が「デザイン」を活用する経営を通して成長を遂げている中小企業8社を対象とした調査を行い、デザイン経営の実践における5つのポイントを報告書としてまとめました。

「中小企業のデザイン経営」をダウンロードする

デザイン経営の効果

――デザイン経営にはどのような効果があるのでしょうか。

永井 公益財団法人日本デザイン振興会と株式会社三菱総合研究所が行った「企業経営へのデザイン活用度調査」では、デザイン経営に積極的な企業ほど売上成長率はが高い傾向にあり、従業員や顧客から愛される傾向にあるという結果が出ています。また、デザイン経営に積極的な企業は未来への希望を感じているとのことです。本研究を行ったチームは「先行き不透明な現代において、企業経営へのデザインの導入・推進はもはや必要不可欠と考えています。」と述べています。

参考資料② 公益財団法人日本デザイン振興会「企業経営へのデザイン活用度調査結果」

公益財団法人日本デザイン振興会(会長:川上元美、所在地:東京都港区)は、株式会社三菱総合研究所と共同で、日本企業における企業経営へのデザイン活用度調査を実施しました。(調査期間 2020年2〜3月)
日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞に応募実績がある国内企業を対象に行われた大規模なアンケート調査は経営企画や、デザインマネジメントなどでの活用や、日本社会におけるデザインの浸透に役立つことが期待されています。
「企業経営へのデザイン活用度調査結果発表」(日本デザイン振興会 Webサイト)

ワーク編 【社内メンバーと自社のビジョンを捉え直す】

チーム憲章を作り、コアチームを立ち上げる

デザイン経営では経営、技術、デザインの3つの面から多面的に経営戦略を考える必要があります。そのためには、専門性をもつ人の存在がチームに欠かせません。

異なる背景のメンバーが理解し合えるようになれば、よい共創関係を生み出す一歩となります。どこへ向かって活動するチームなのかを明確にして共通認識を持っておくこと。
そして、お互いについての理解を深めること、好奇心を持ってお互いを理解し合える素地をつくること。この2点を目的として、チーム憲章を作成します。チーム憲章は、チームの存在意義や社会に与えたいインパクト、チームで働く上で大切にしたいルールを明文化したものです。

ビジョンを更新する

ビジョンを更新することは、会社にとって、目指す未来や担いたい役割を改めて捉え直すことを意味します。社員にとっては働く意味や行動指針に、お客にとってはブランドとして選びたくなる理由になります。いわば、ビジョンは企業の羅針盤です。

ビジョンを更新するための3つのステップ

様々な手法が存在しますが、今回、Dcraftでは、以下のステップでビジョンの更新を行いました。

  1. STEP1

    特徴を洗い出し、再認識をすることで自社の理解を深める。
  2. STEP2

    理解した内容を、イメージとしてチームで共有しすり合わせるために、ムードボードを作成する。
  3. STEP3

    イメージを研ぎ澄まし、言葉に落とし込む。
    (ステートメント、行動原則、創業からの歴史、事業領域、強みや独自性、デザインチームの紹介など)

参加企業の感想

改めて自社のビジョンを言葉にしたことで、これまで人との縁のつながりが多かった自社にとって、つたない言葉で言えば「会社」らしい核となるものができた感じがしています。

ブランディングの部分が全社員に共有できていなく、そのあたりを今回の取り組みで全社員を巻き込んでいくきっかけになればと思いました。

自分たちがこれまで築いてきたものが社会にとって存在意義があるということを示し、発信することで永井様がおっしゃられていたミラー効果で覚悟が生まれて、さらに洗練されていくのではないかと思いました。

ワークを通じて誰に何をどのように提供していくのか具体的になってないことに気づけました。自分たちが目指す方向性を今一度見つめ直し、もう一度取り組んでいきたいと思います。

まとめ

初回講義では、デザイン経営において、重要な要素となる、ビジョンそのものの役割や、その紡ぎ方を学びました。
今回は、各社が2週間という時間の中でビジョンの更新に取り組みました。今後のプログラムでの講義、ワークやそのフィードバックを踏まえて、継続的に更新作業が行われることで、納得のいくものが作りあげられていくでしょう。

次回は小板橋基希氏による導入支援プログラム第2回「中小企業とデザイナーの関係性をデザインする」です。
お楽しみに!

飯澤 絹子

Author飯澤 絹子(クリエイティブディレクター)

社会福祉士・精神保健福祉士を取得し、地域活動に関する研究にてシステムデザイン・マネジメント学科修士課程修了。LITALICOジュニアで発達や特性に合わせた学習やコミュニケーションの指導を行った後、仕組みを作ることによって人や組織の持つ魅力が世の中に花開くことに関わりたく、ロフトワークに入社。想像を超える未来をつくること、能力を最大限発揮して生きていくこと、を追求し続けた結果、説明しなければ伝わらない経歴を更新中。まずは自分が体現する存在になる、をモットーに、関わる方々や自分と向き合う日々を送っている。

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