共栄鋼材株式会社 PROJECT

「外」からのエネルギーが、組織を進化させていく。
共栄鋼材が実践した“共創”プログラムの真価

愛知県江南市、岐阜県可児市を拠点に鋼材の加工や販売を行う共栄鋼材株式会社。自動車産業のバリューチェーンの中で堅実かつ高品質なものづくりを続けることで成長してきた同社ですが、VUCA時代の中で中長期的な経営を見据えて、新たなビジネスを創出していく必要性を感じていました。

2021年の夏、同社の未来を担う人材育成を目的として、東海エリアで企業の経営戦略をサポートをしているシンクタンク OKB総研とロフトワークはプロジェクトチームを組み、4日間のプログラム「未来構想スクール」を企画、運営しました。

今回、OKB総研 戦略事業部長 長瀬一也氏が、共栄鋼材 松本英之社長とプログラムに参加した同社社員のみなさん、そして、プロデュースを担当したFabCafe Nagoya 取締役/MTRLプロデューサー 井田幸希に「未来構想スクール」を振り返るインタビューを実施。プログラムによって社員がどんな学びを得たのか、その後の組織に変化はあったのかなど、気になるポイントを引き出しました。

*以下、OKB総研発行のニュースペーパー『KBC TIMES』(2022年1月発行)の「CASE STUDY 事例から学ぶ」より記事を再編・転載しています。

時代がどう変わろうとも、必要とされる、求められる会社であり続けようと、経営者が社員と共に未来を作りはじめた企業がある。1954年設立の共栄鋼材(本社:愛知県江南市)だ。強みは、極薄材から厚物まで加工可能な設備と高度な技術力で、とりわけ自動車業界からの信頼が厚い。しかし、大きな時代のうねりを迎える中、今までのままでは生き残れない。進むべき道筋をつかもうと手を伸ばしたのは、全く違う価値観を持つクリエイティブ業界だった。異なる視点を持つ「外」の知見やノウハウを受け入れたことで得られたものは、何か。同社を訪問し、その背景と成果についてお話を伺った。

聞き手:OKB総研 戦略事業部長 長瀬一也

話した人

松本 英之 氏

共栄鋼材株式会社 代表取締役
大学卒業後、鋼材コイルセンターを経て2007年、祖父が設立した共栄鋼材の後を継ぐべく同社に入社。2019年8月から現職。

井田 幸希

株式会社ロフトワーク FabCafe Nagoya 取締役/MTRLプロデューサー
2017年にロフトワーク入社。オープンコラボレーションを通じて企業に新しい価値をもたらす多様なプロジェクトに携わる

共栄鋼材株式会社

鉄鋼メーカーで製造された母材コイル(鋼板をロール状に巻いたもの)を延ばし、所定の幅に切断して再びロール状に巻き取る「スリッター加工」、延ばしたコイルに圧力をかけ平坦度を高めたうえで切断する「レベラー加工」を手がける。0.25mm~16.6mmと幅広い板厚に対応し、鋼材の中でも特に硬度が高い超ハイテン材の加工も行う。同社で加工された鋼材は、国内外ほぼすべての自動車メーカーの重要保安部品等に用いられる。

 

http://www.kyoueikouzai.co.jp/

何かを変えたくて、 想像できる範囲を超えてみた。

OKB総研 長瀬一也氏(以下、敬称略) 松本社長には、2020年1月の名古屋共創会議vol.1「“あたらしいこと”をはじめるために必要なこと」※1にご参加いただきました。会議に参加しようと思われたきっかけをお教えください。

共栄鋼材 松本英之社長(以下、松本社長) 自動車業界は今、100年に一度の変革期を迎えています。世界では、脱炭素社会の実現のために脱ガソリン車を掲げた国も出てきました。EV(電気自動車)など電動車への切り換わりは、エンジンや変速機など多くの部品が不要になることを意味します。つまり自動車向け鋼材が収益の大半を占める当社にとって、需要減少は免れない現実なんです。時代の波にのまれまい、何か新しいチャレンジを、とつねづね思っていました。ヒントを得られたらいいなと、名古屋共創会議に参加することにしたんです。

長瀬 会議の半年後くらいだったでしょうか。松本社長から「自社の技術を活用して新製品を生み出したい」と個別でご相談いただきました。そこからロフトワークの井田さんが加わり、膝を突き合わせた意見交換がはじまって。松本社長から伺ったご意見の中で、よく覚えている言葉があります。「当社にご依頼いただく企業の皆さま、ご協力いただいている企業の皆さま、どちらの企業も“変わらないといけない”と言っている。その間にいる共栄鋼材だけがそのままでいていい訳がない。でも、どう変えていけば、変わればいのか見えてこない。何をすべきか、何を目指すべきか、まだモヤモヤしている」。苦悩されているのがとても伝わってきました。

松本社長 振り返ると、需要減少を埋める目的で新製品づくりに取り組むのが正しい道なのか、そこに疑問や迷いがあったのだと思います。だから、井田さんから“まずは変化に柔軟に対応できる=レジリエンスのある社員を多く育てる”を目的にした「未来構想スクール」をご提案いただいたときは、霧が晴れるような思いがしました。そうだ、今の共栄鋼材に本当に必要なのは人材育成なんだ。仮に自動車向け鋼材の需要が今より大きく減少したとしても、皆の知恵と工夫で生き残れる会社になればいいんだと、気付かされました。

長瀬 「未来構想スクール」と題した4日間のオリジナル研修プログラムを提案するにあたって、重視されたことをお聞かせください。

ロフトワーク 井田幸希(以下、井田) 共栄鋼材さんの技術は、ニッチなうえにエンドユーザーからも遠く、私たちにとっても未知のもの。付け焼刃な知識で新製品開発に取り組んでも、意味のある製品をすぐに作り上げられるとはとても思えませんでした。費やされる時間と労力が、組織に与える影響も計り知れません。どうすれば松本社長の目指す未来を明るく迎えられるのか。そこで、より大きな視点・視座でオーダーを見直し、「新製品を生み出す」ではなく「新製品を生み出せる人材を育てる」に照準を合わせました。新製品を生み出せるようになるには、ユーザー視点を取り入れた柔軟な発想、社外への発信、社外とのパートナーシップが重要になります。研修プログラムをご提案するにあたり、社員の皆さんがこれまでのバイアスを超えた新たな視点・視座を持てるように、そして共栄鋼材の皆さんが社内外と対話をしていく第一歩にふさわしい内容になるようにと心がけました。

長瀬 とはいえ、今回の研修は「飛騨で合宿をしながら木材加工を学んで、チームごとにプロトタイプを作ってみましょう」「劇作家の方をメンターとしてお招きしましょう」などユニークなもので、戸惑いもあったのではと思います。

松本社長 そうですね。完全に想像の斜め上をいっていました(笑)。でも、やってみなければ答えは分からない。やる前から「不正解」だと決めつけてしまったら、おもしろくないでしょう。何かを変えたいのなら、自分たちの見えているものや想像できる範囲を超えてみることが必要だと思ったんです。たとえ失敗したとしても、社員といい経験になるはずだから、やってみようと決断しました。

井田 そういうポジティブなジャッジができるしなやかさが松本社長の魅力だと思います。「これは会社の未来のために必要なことだから」と社員の皆さんに丁寧に説明してくださり、かつ、ご自身もメンバーの1人として研修に参加されました。プロジェクトをスムーズに進めるうえでとても心強く、ありがたかったです。

松本社長 ロフトワークさんのお力を借りようと決めた理由は、井田さんをはじめ、皆さんが共栄鋼材の未来を真剣に考え、伴走しようとしてくださっていることが伝わったのが大きかったです。その「伝える力」のようなものを今回の研修で学ばせていただきたいという気持ちも、実は私の中で強くありました。

井田 伝える力、ですか。

松本社長 私は前職も鋼材に携わっていましたから、鉄鋼業界以外のことをあまり詳しく知りません。ましてや、共栄鋼材に入社してからは社員と同じものしか見聞きしていないので、自分の思考の幅や表現力に限界を感じていたんです。だから、井田さんたちの当社を見る視点や言葉選びの一つひとつがとても新鮮でした。たとえば、工場でスリッター加工現場を見学していただいたときに「こんなに厚い鋼板がスルスルと切れてしまうなんてすごいですね」と驚かれているのを見て、自分たちが当たり前だと思っていることは、一歩外に出ると当たり前じゃない事実に気付かされました。「レジリエンス」という言葉も刺さりました。技術力や製品知識の向上には目を向けていたけれど、どういう性質の人材を育成すべきかまでは考えが至っていなかったと、ハッとさせられました。いくつもの気付きを与えてくれるこのご縁を、私自身が変わるきっかけにもしたかったんです。

*1 名古屋共創会議:FabCafe Nagoyaを拠点に、名古屋におけるオープンコラボレーションの可能性を探求する、ロフトワークとOKB総研共催のシリーズイベント。2020年1月開催のvol.1では、社内外を横断して新しい視点で事業をはじめるときに考えておくべきポイントを、「組織デザイン」「リサーチとコンセプトメイキング」「オープンコラボレーションの設計」の3つに分けて解説した。

大型設備が並ぶ工場内。板厚16.6mmのスリッター加工ができるのは国内で共栄鋼材だけなのだという

レベラー加工の様子

研修メンバーを核に、変化がはじまった。

井田 4日間にわたる研修では、部門も年代も異なる13名が3チームに分かれて、さまざまなプログラムに取り組みました。特に印象に残っていることをお聞かせください。

松本社長 まず、飛騨の家具工場や木工房で得た気付きですね。木材を知ることで、鋼材の特徴や個性を再認識させられました。それから、ひとつのチームが部門の困りごととその解決法を再現ドラマ化してプレゼンしていたのも心に残っています。「この部門はこんなことに困っているんだ」とか「この人は本当はこういうことがしたいんだ」とか、言葉で聞いた以上に伝わってくるものがあって。見たり聞いたりして知ってはいても、立場や役割の違いのせいなのか、理解には至っていなかったんだと反省しました。「ああ、井田さんが提案時におっしゃっていた視点・視座を変えるとはこういうことだったのか」と、腑に落ちました。

井田 先ほどおっしゃっていた「伝える力」を吸収することはできましたか。

松本社長 その点でも印象に残っていることがあります。セミナーで耳にした「勇気を持ってデートに誘おうよ」というフレーズです。

井田 広報PRの専門家による、「伝える・巻き込む」方法についてのレクチャーのときですね。

松本社長 そうです。「誰かを動かしたいなら、好きな人をデートに誘うのと同じようにすればいい。相手のことを知り、どうしたら動いてくれるかを考え、行動しよう」と。そういう柔軟な発想もですが、気持ち良く皆がスタートできる雰囲気づくりもとても勉強になりました。

長瀬 研修後、社内に変化はありましたか。

松本社長 研修メンバー全員の行動が変わりました。各自が会社にとってプラスになることを自発的に考え、リーダーシップを発揮しながら取り組んでくれています。それぞれが違う役割を果たしていても、「共栄鋼材らしさを大切にしながら会社を進化させていこう」とベクトルが合っているのはひしひしと伝わってきます。そのおかげか、もともと取り組んでいた改善活動のレベルが急激にアップしました。これまでは身の回りをより良くする程度でおさまっていたのに、今では部門を超えたアイデアや協働も生まれるまでになりました。「未来構想スクール」の名前は、研修メンバー13名の共通言語として今も生きています。それほど、私たちを変えてくれました。

井田 すばらしいですね。「未来構想スクール」に関わった1人として、とてもうれしく思います。次のステップではどんなことを考えていらっしゃいますか。

松本社長 研修に参加したメンバー13名がそれぞれ1人ずつ仲間を巻き込んで、「未来構想」の輪をひと回り大きくすることです。そして仲間から仲間へ、輪をどんどん広げていけば、共栄鋼材のあるべき未来の姿がおのずと形になっていくんじゃないかと思うんです。その実現のために、可児市の営業本部がある自社ビルの2階に「未来構想空間」という新しいコミュニケーションスペースを作ることにしました。

長瀬 「未来構想空間」ではどんなことができますか。

松本社長 これから具体的なことを决めていく段階なのですが、社員同士が集まって「共栄鋼材にこういうものがあったらいいね」「こうしたらもっと良くなるよね」といった話を気軽に相談したり、共有したりできる場所になるのが理想です。合宿のときにお世話になったヒダクマさん※2にご協力いただいて、木材と鉄鋼の端材を使ったワークショップなどのイベントもやってみたいですね。ゆくゆくは、社員の家族や地域の方々と交流できる場所にもしたいと思っています。異なる視点からの刺激を受けられる環境を作ることで社内にどんな新しい変化が起こるか、今から楽しみです。

長瀬 井田さんは、共栄鋼材の社員の皆さんが「未来構想」という新しい取り組みを継続していくために、会社としてどのような支援をすると良いとお考えですか。

井田 共栄鋼材さんは今、変化のはじまりをつかみ取りました。松本社長とレジリエンスを高められた社員の皆さんが中心となって、どんどん変わっていかれるでしょう。松本社長には、変化の起点になるビジョンやスピリットの言語化に、まず取り組んでいただきたいです。その言葉を社内の共通言語にまで発展させたうえで、今回のように異なる視点を取り入れ続けるといいのではと思います。たとえば劇作家の方と一緒に、自社のビジネスやこれから歩んでいく道をストーリー仕立てにして可視化してみるとか。異なる分野のプロフェッショナルたちの持つエネルギーが、つねに新しい変化の波を呼び起こし、自分たちで描ける以上の未来へと導いてくれるかもしれません。

長瀬 「未来構想空間」の使い方がカギを握りそうですね。

松本社長 そう思います。異なる視点との出会いで、今まで経営者として抱えていた課題のいくつかの先が見えてきました。共栄鋼材にふさわしい未来を、社員と一緒に見つけて行きたい。「未来構想空間」は、そんな私たちにエネルギーの注入をしてくれる空間に発展させていきます。

※2 ヒダクマ:ロフトワークの関連会社である「株式会社飛騨の森でクマは踊る」の通称。岐阜県飛騨市古川町のFabCafe Hidaを拠点に、森から木工の現場まで地域全体をフィールドにしたプログラムを提供している。

共栄鋼材が取り組んだ「未来構想スクール」の概要

目的:組織の“レジリエンス“を高める

ポイント:

  1. 社員一人ひとりが思考プロセスを身に付ける
  2. 異なる視点を持つプロフェッショナルなど、共栄鋼材の周りに関係人口を増やす

1日目/レクチャー+ワークショップ

会場:共栄鋼材可児工場
共栄鋼材の現状課題、アセットの洗い出し、強みの言語化など、自社を振り返るプログラムを実施。

2日目/インプット

会場:FabCafe Hida(合宿)
マクロな視点を得るために、製材所・家具メーカーなどを視察。

3日目/プロトタイピング

会場:FabCafe Hida(合宿)
未来の共栄鋼材のあるべき姿を考え、それに関連するダーティプロトタイピングを実践。

4日目/プレゼンテーション

会場:FabCafe Nagoya
成果発表およびプレゼンテーション方法のスキルを学習。

研修メンバーの声

部門ごとでの小さな波が、 共栄鋼材の未来を変える。

共栄鋼材株式会社 営業部 次長 渡邊 篤史 さん

松本社長から「未来構想スクール」の話を聞いたとき、「え? 4日間の研修?」と驚きつつも、何か新しいことが起こる気がしてワクワクしました。特に合宿形式で行われた2日間は、参加メンバーと寝食を共にする濃密な時間で、心の距離が近づき、絆が深まったように思います。

私が今回の研修で得た最も大きな成果は、製造部のメンバーと胸襟を開いて語り合ったことで、自部門の枠にとどまらない高い視座から共栄鋼材全体のモノづくりのあり方を考えられるようになったこと。恥ずかしながら、それまでは製造の工程や製品の仕上がりにあまり関心を持たず、営業として売上を積み上げることを優先してきたところがありました。製造部を信頼していた、といえば聞こえがいいかもしれませんが、実際のところは、自部門以外のことを理解しようとせず、知らず知らずのうちに見えない「壁」を作ってしまっていたのです。

「未来構想スクール」で得た学びや気づきを生かし、営業部と製造部の橋渡し役になってコミュニケーションを活性化させるのが私の新たなミッションだと思っています。より良い製品を作り、お客さまに喜んでいただくことで共栄鋼材の名がもっと社会に広がっていく。そういう好循環を回し、会社が持続的に成長していけるよう、積極的に働きかけを行っていきたいです。

共栄鋼材株式会社 製造部 課長 渡部 善光 さん

研修というと、ただ座って何かを教わる受け身のものを想像していましたが、「未来構想スクール」はそれと全く異なるものでした。自分が変わるきっかけを、自ら探しに行く機会と言ってもいいかもしれません。いつものメンバーと、いつもとは違う場所・視点で考えたり行動したりすることで、多くの発見や気付きを得られました。

特に印象に残っているのが、ヒダクマさんの加工設備を使ってプロトタイピングするワークです。私たちのチームは「キャンプ用品メーカーに提案するオリジナル商材」というテーマで、家具や雑貨の製作に取り組みました。ポイントは、グループ会社の自動車用ワッシャーメーカーから排出される鉄鋼スクラップを再利用すること。スクラップを見たメンターの方がおっしゃった「これは、(加工によって穴が空いた)パンチングメタルだよね」の一言で、スクラップのとらえ方が「廃棄物」から「資産」に変わり、モチベーションが一気に上がりました。

「未来構想スクール」に参加して、何が一番変わったか。それは、自分のマインドだと思います。以前は周囲から生まれた新しいアイデアに対して、いつも「どうせできるわけない」とか「それは無理」と勝手に限界を作っていましたが、「どうすれば実現できるか」とできる前提で物事を考えるようになりました。自分の中で生まれたこの変化を、社内の多くの人に広げていきたいと考えています。

共栄鋼材株式会社 総務部 秋田 将史 さん

私は総務担当という立場もあって、「未来構想スクール」に開催準備から携わりました。入社以来、部門を横断した本格的な社内研修は今回がはじめて。それでいて、内容がとても濃い。どんな展開になるのか想像すらできないまま、参加しました。

自動車業界は今、大きなうねりの中にあって、共栄鋼材も変わらなければいけないという危機感を一社員として共有しながらも、それまでは何も行動を起こしていませんでした。心のどこかで「会社が何とかしてくれる」と思っていたのかもしれません。でも今回の研修で、私を含め参加メンバーの誰もが「自分たちが変化の舵取り役になろう」という意識を持つことができたと思います。「なぜ変わらないといけないのか」「これからどういうことをしていくのか」「それをしたらどう良くなるのか」など、仲間と議論しながら疑問を突き詰めて考えていくプロセスはとても刺激的で、有意義な時間でした。

研修後はあちらこちらで、参加メンバーが変化の波を起こすようになりました。たとえば製造部では、新しいソフトウェアの導入に取り組んでいて、私も後方支援を行っています。一つひとつはまだ小さな波ですが、それぞれがつながって、いずれは共栄鋼材全体を覆う大きな波になっていく。そんな未来を思い描いています。

さいごに

OKB総研 戦略事業部長 長瀬一也

今回は、次のステージに向けて必要な変化を手に入れた企業の事例を紹介いたしました。相談内容の本質を「人材育成」と見極め、深掘りし、「未来構想スクール」をご提案。受け入れていただいた結果、研修メンバーの皆さんはレジリエンスを高めることができました。しかし、研修で得たポジティブな成果は、永遠には続きません。この事例に限らず、いつか停滞期を迎えます。そのため私たちOKB総研は、サポートを超えた、共に正解のない課題に挑んでいく“伴走者”のような存在でありたいと考えています。

東海エリアは、堅実な事業を長年にわたって守ってこられた企業が多く存在します。その反面、今ある高い技術力とノウハウのさらなる活用を苦手としている性質も見受けられます。需要減少だけではなく、技術力消失の危機に直面している中で、やるべきこととは何か。それは、「企業の潜在能力を明るみに出す」、「従業員と一体となって未来を構想していく」の2つに基づいて変化につながるストーリーを作ることだと考えます。何よりも重要なのは、プロローグ。過去の焼き直しや堂々巡りに陥らないためにも、「外」のプロフェッショナルが持つ異なる視点・視座を取り入れることをおすすめします。

従業員が自らの役割を果たし、経営者と一体となって会社の未来を作り上げていく――。そんな姿が地域のあちらこちらで展開され、東海エリアの未来がより一層明るくなることを心から願っています。

“製造”から“価値創出”へ。 組織の視座を高める4日間の旅「未来構想スクール」

VUCA時代に突入した今、ものづくり企業が価値創出していくにはどのような変革が必要か? 東海エリアで鋼材の加工や販売を行っている共栄鋼材株式会社は、社内のメンバーと新たなビジネスを考えていくことをゴールに人材育成プログラム「未来構想スクール」を実施。4日間に渡った、その全容を紹介します。

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