はじめまして。プロデューサーの井田です。主にMTRLに関する案件についての案件を担当しています。

今回は2018年12月に香港・香港島の Sheung Wan(上環)エリアにオープンしたロフトワークの新拠点MTRL Hong Kong(以下、MTRL HK)&ロフトワーク香港について、大盛況のオープニングパーティの様子とともにレポートします!

税率の低さや法制度の透明性、国際性、拡大する中国マーケットとの物理的・関係的な近さから、世界中の投資家たちが熱い視線を送っている香港。

なぜロフトワークは香港に?

香港といえば、法人税率16.5%の低税率のタックスヘイブン。世界3大金融センターのひとつとして、シンガポールに次いで多くのグローバル企業がアジアのヘッドクォーターを置く都市です。また、「世界の工場」として急速に発展を遂げ、今では「中国のシリコンバレー」とも称される深センと隣接。中国、台湾、東南アジアへのアクセスの良さからも大きなビジネスチャンスを見込める都市なのです。

正面から見たMTRL HK。ファサードにも昔から香港で広く使われてきた人造研ぎ出し石が使われている。
利用方法は、FabCafe MTRL やMTRL KYOTO と同じドロップイン型。3時間150HKD(1ドリンク付)から利用できる。

まさに「マテリアル」な空間

そんな香港にオープンしたMTRL HKは、どのようなスペースなのでしょう?

1階にはカフェカウンターがあり、テーブル席が並びます(予定)。実は、片面の壁には香港で玄関マットなどによく使われているフォーム材が使われています。イベントを行う際の吸音材になるとともに、もじゃもじゃとした質感が空間に柔らかさを加えています。

1階の壁に使われているフォーム材
香港の人造研ぎ出し石と飛騨の木が組み合わさった2階のカウンター

その他にも、昔から香港で広く使われている人造研ぎ出し石が1、2階のカウンターに、飛騨の広葉樹がベンチに、ソファには西陣織のクッションカバー……と、香港と日本の新旧のマテリアルが混在しながらひとつの空間を作り上げています。

2階の建物背面の大きな窓。オープニング時には、ロフトワーク初の企画展「ロフトワーク展」(2017年12月18日〜22日開催)のパネルを置いてインスタレーション風に。岩肌の雰囲気と相まってかっこいい!
2階には、FABスペースの他にカウンターやソファスペースが広がる。

2階への階段を上ると目の前に広がるのは切り立った崖! 丘陵の多い香港ならではの地形を借景に取り入れています。2階は長屋型の建物の背面が大きな窓、正面はガラス張りの壁面になっているので、自然味のある崖と都市的な街並みが両方一度に楽しめます。2階にはFABスペースと、ソファ席やカウンター席が設けられています。

ロフトワーク代表の諏訪、林と香港メンバー。(左から、Tim、Eda 、林、諏訪、Harvey)

「パッション」で繋がる香港チーム

香港メンバーは、ロフトワーク台湾をまとめてきたTimと、これまでも香港でビジネスを手がけてきたEdaとHarvey。それぞれの性格の違いを語るにはビッグサイズのマイヤーズラムが必要!と笑う3人ですが、共通するのは「パッション」。デザインとイノベーションを通してもっともっとポジティブなインパクトを生み出したいという強い情熱をMTRL HKで実現しようとしています。ユーモアと明晰さをあわせ持つ3人の朗らかなチームワークは、そのままMTRL HKの雰囲気になっていくのでしょう。

Timは、東京、京都、台湾のオフィス間でのナレッジの共有や共同の事業開発をしていく役割を。Edaは現地の政府やスタートアップコミュニティとの強いコネクションを活かした事業開発やマーケティング、Harveyはイベントやワークショップの企画やファブサービスのオペレーションを行なっていきます。

パーティ来場者で溢れかえったMTRL HK。パーティでは、ロフトワークのこれまでの仕事についての展示を行いました。
もちろんマテリアルの展示も。今回は日本のマテリアルを紹介しましたが、今後は香港独自のマテリアルも増えていく予定。
展示内容に来場者のみなさんも興味津々。1/8タチコマやHaptic Designなどの体験型の展示には歓声が上がる場面も。
日本から駆けつけたNISSHA株式会社の廣部さんによる、タッチセンサーとワイヤレスセンサーを内蔵した木製のディバイス「mui」のプレゼンテーション。MTRL HKはアジア市場への製品アピールの場にもなっていく。

アジアへのアウトバウンドとインバウンドを生み出す

12月8日に開催されたオープニングパーティは、現地の政府関係者、フィンテック企業、デベロッパー、多国籍のクリエイター、日本の香港大使や現地法人、日本から駆けつけてくれた企業やクリエイターの方々など、幅広い来場者で賑わいました。

「数多くのコワーキングスペースが乱立する香港で、ロフトワークのコンテキストを持つことがMTRL HKならではの強み。ロフトワークの国際拠点として、ロフトワークのイノベーティブでクリエイティブなアプローチを世界に広めて行きたい。香港と東京、京都、台湾のオフィス間でのナレッジや経験のシェアとビジネス創出を促していきたい」と、意欲を語るMTRL HKおよびロフトワーク香港代表のTim。

パーティに来場した現地のみなさんと話していても、課題意識はコミュニティづくりやそれを使った効果的な発信といった、ロフトワークが日本で手がけてきたプロジェクトと共通するものが多いと感じました。

東京・京都で培ったノウハウを香港に移植することで現地の課題を解決していくだけでなく、香港でコミュニティが育つことで生まれるであろうビジネスやナレッジの日本展開や、そのコミュニティ自体を活用した日本企業の課題解決など、ロフトワークのビジネス領域はますます広がっていきそうです。さらに充実して面白くなっていきそうなロフトワークに、ご期待ください!

MTRL Hong Kong

  • 住所:G/F, 10 New Street, Sheng Wan Hong Kong(地図
  • 営業時間:10:00-19:00(日曜休)
  • 席数:38席
  • 料金プラン:3時間150HKD(1ドリンク付)、1日300HKD(2ドリンク付)、1日プラスプラン400HKD(2ドリンク、スイーツ、45分のレーザーカッター利用込み)
  • 設置機材:レーザーカッター、UVプリンター、3Dプリンター(45分150HKD〜)
  • Webサイト:http://mtrl.com/hk/
  • Facebookページ:https://www.facebook.com/mtrlhk
井田 幸希

Author井田 幸希(FabCafe Nagoya 取締役 / MTRLプロデューサー)

慶應義塾大学 環境情報学部卒。通販業界を経て独立し、編集プロダクションで企画・編集を幅広く手がける。さらに広告営業を経て、2017年に株式会社ロフトワーク入社。プロデューサーとして幅広いプロジェクトでクライアントの機会創出を手がける。2020年からは取締役として株式会社FabCafe Nagoyaに参画。立ち上げメンバーとして、ものづくりに重点を置いて事業開発やデザン経営の推進を行なっている。

Keywords

Next Contents

昨年度滞在制作作品が多数の映画祭で入賞。
延岡発、縦型ショートムービーに特化した映像祭の第2回を開催!