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国広 信哉 2020.05.14

コロナ時代のミートアップを考える

集えない時代…

とあるミートアップ企画をつくるにあたり、このご時世でも前向きに楽しんで実験されている、いくつかの「ミートアップらしきもの」の事例を分類し、どんなタイプがあるのか考えてみたくなった。みんな攻めてる。

ちなみにミートアップは、複数人が集い、知恵を共有/議論し、学びや憩いとなる場だと認識しているが、オンラインを前提にもう少し広義にとらえてみたい。コロナ前の考え方は意味を失いつつあるし。

30の事例を6つのタイプに分類してみた

2020年4月8日〜4月26日の間で事例を収集。その中からざっと30件に絞った。ソースは知人友人やWeb検索などから。網羅性はないのと、嗜好により偏りあるのでご了承ください。30の事例は文末にリストしてます。

30件を《参加-鑑賞》《同期-非同期》のマトリクスで配置してみた。《参加-鑑賞》の軸は、ユーザーの参加スタンスのことで、見たり聞いたりするだけなら鑑賞、投稿や応募が求められるものは参加。《同期-非同期》は、コンテンツの持続時間で、その場かぎりの瞬間的なものが同期で、アーカイブされいつでも眺められるものが非同期。てな感じで分けると、ざっくり6つくらいのタイプがありそう。

タイプ①「ゆっくり楽しめるマガジン、ムービー」

誰にでも、いつでも楽しめるもの。ユーザーの自由度が高く、効能時間が長いタイプ。隔離された世界中の都市から現況と考察が寄稿されるPost-Quarantine Urbanismや、飲食業界への寄与を目指したごはんマガジンツカノマノ読むフードコートなど。媒体はnoteやMedium、YoutubeやVimeo、Instagramなど。個人の思想に訴えるものが多く、投げ銭もしやすい。

タイプ②「臨場感もある、ながらラジオ、Podcast」

垂れ流しも可能、興味のあるところだけ聞いてみるもの。ユーザーの予定が自由に組めつつ、その場で楽しめる臨場感もある。#TRP2020の一貫で実施されたトークラジオパレラジや、Fabの役割と未来を考えるこれまでのFab、これからのFab座談会など。媒体としてはツイキャスやYoutube live、RadiotalkやAnchor、Spotifyなど。アーカイブしやすい。多くの人への認知とオープンな機会提供。

タイプ③「ふらりと入る、喫茶、SNSライブ動画」

いつでも誰でも出入り自由の、やさしい場所。日々の活動(営み)の延長を、むりなくコンスタントに配信できる。Discord上につくったオンライン喫茶・憩や、コミュニティメンバーのライブインタビューNions community online check-inなど。媒体としては、DiscordやSpatial Chat、Instagram、Twitchなど。仲間でワイワイやるのが楽しそう。

タイプ④「気合を入れる、ウェビナー、式典」

ビジネス寄りで、限定された人たちが楽しめるもの。参加者の意識や責任は高めだが、見返りも確実なものが多い。30組のトラック、7組の基調講演からなるオンラインカンファレンスUXR Conference Anywhere 2020や、展示会やサロン、ワークショップがミックスされたUroboros design-art festivalなど。媒体としては、ZoomやRemo、Cluster、Slack、Youtube liveなど。既存のミートアップ(カンファレンス)の形式に近いが、突っ込むリソースも大。

タイプ⑤「ユーザーとつくる、出たとこ勝負のUGC」

タイムテーブルの中で、ユーザーが自由にコンテンツを投稿していくもの。参加者数がイベントの熱量や楽しさと比例する(量が質を生む)。誰でも参加できるDIYの展示発表会Maker fair Kyoto 2020や、ティルマンスの窓の写真をヒントに作品を#タグで投稿するArt For Windowsなど。媒体としては、TwitterやInstagram、FacebookやYoutube、noteなど。SNSなしには成立しないし、事前告知期間も重要すぎる。

※ UGC:画像や動画などユーザーが生成したコンテンツのこと。User Generated Contents。

タイプ⑥「ユーザーが徐々につくる、蓄積系のwiki」

誰でも編集可能だけど、リテラシーが必要。デジタルファブリケーションにまつわる安全の情報を整理しているFab safe wikiなど。媒体としては、NotionやSlackなど。他のタイプのミートアップと組み合わせることも可。

臨場感とユルさ。そして小さな参加が欲しい

どれもなんのために行うかという目的と、誰に届けたいかというユーザーの話により選択は変わる。当たり前だけど中身が大事。

中身により《参加ー鑑賞》《同期ー非同期》のパラメータは移動するし、どのケースでも人数や金額を限定すれば、狭いが深いエンゲージメントをつくる企画へ振り切ることも可能。正解はなさそう。

あくまで個人的なスタンスから言えば、このセッションに参加したいと思える臨場感と、ずっと参加しなくてもいいよというユルさが同居した「集い」のかたちが魅力的。そこには#タグ投稿やハガキ、似顔絵といった小さな参加があればなおさら楽しい。モニタにじっと張り付きはツライ。

ちなみに非同期の仕組みは、どんなイベントでも大なり小なり必要そう。でも、せっかく後から楽しめるコンテンツを配置しても、例えば動画を延々と見続けるのには時間がかかってしまう(これは最近まわりでよく聞く話)。動画は短めに設計するか、タイムスタンプで飛べるように導線を置く、テキスト情報に置き換える、グラフィックでレコードする、などが大事そう。

すでにリモートでのイベントや飲み会は飽和状態。それでも、参加してみたいと思える集まりのかたちを企画してみたいものだ。

ちなみにとあるプロジェクトというのはこちらでした。6月頭に何らかの集いを実験的にやってみよう。

仮設マガジン『POP UP SOCIETY』

『POP UP SOCIETY』は、「仮設性で社会を軽くする」をテーマにした不定期発行のマガジンです。仮設という切り口で、
www.popupsociety.com

最後に:30件のリファレンスリスト

国広 信哉

Author国広 信哉(シニアディレクター / なはれ)

美術展やVIのグラフィックデザインを7年間手掛けたのち、2011年ロフトワーク入社。ロフトワーク京都ブランチの立ち上げに従事。企業や省庁の新サービスの顧客開発や、新技術の用途開発などの機会領域を社会に問いながら探っていくプロジェクトが得意。主な担当に、高齢社会の機会領域を探る基礎調査「Transformation」、オンライン融資サービス「ALTOA」顧客開発、成安造形大学特別授業「デザインdeath」など。米国PMI®認定PMP®。趣味は山のぼり、辺境音楽収集、野外録音。大阪大学人間科学研究科博士前期課程に在籍しながら、デザインと人類学の周縁を研究中。

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