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宮崎 真衣, 岩崎 諒子, 後閑 裕太朗 2023.12.06

カイシャの編集会議 Report. 2
企業の価値の「真芯」をとらえる、プロインタビュアーの心構え

いいコンテンツをつくるための「編集」の実践

企業が、自分たちでコンテンツをつくり発信することが当たり前になった時代。コンテンツを通して自社やクライアント、あるいは業界や社会にとって望ましい変化が現れる〈いいコンテンツ〉をつくるために、いま求められている「編集」とは何でしょうか? 

「価値を生み出すコンテンツづくりとは何か?」を問いに掲げ、2023年9月に開催された、コンテンツ制作に従事するみなさんとのミートアップ「カイシャの編集会議」。本記事は、ミートアップを企画した、地域を軸とする編集チーム・Huuuuと、インタビュアーのくいしんさん(くいしん株式会社)、ロフトワークのコーポレートメディア編集チームが、それぞれのアプローチから実践したコンテンツづくりの事例を、全3回にわたって紹介します。

本記事が、これからのコンテンツづくりについて、コンテンツ企画・制作に従事するみなさんとともに考えるきっかけとなれば幸いです。

カイシャの編集会議 3つの議題

  • いいコンテンツを生み出すための〈企画とKPI〉ってなんだ? >>Report 1
  • 伝えたい価値を引き出す〈インタビュー〉ってなんだ?(本記事)
  • 編集チームが企業に伴走する意義ってなんだ? 

執筆:宮崎 真衣/ロフトワーク 広報
編集:岩崎 諒子/Loftwork.com編集部
企画:後閑 裕太郎/Loftwork.com編集部
写真:川島 彩水

伝えたい価値を引き出す〈インタビュー〉ってなんだ?

プロインタビュアーであり、編集者・ライターとして様々なコンテンツを手掛ける、くいしん社代表 くいしんさんが紹介したのは、インタビューを面白くするための「真芯」の捉えかた。

コーポレートサイトでよくあるインタビューコンテンツですが、その取材において企業のビジョンや自社の事業・活動が社会に提供する本質的な価値をどうやって言葉に落とし込み、読者に届けるのか。ロフトワークの広報で、「カイシャの編集会議」企画チームでもある宮崎真衣が聞き手となり、その考え方を紐解きました。

編集者・ライター、プロインタビュアーのくいしんさん(左)と、ロフトワーク 広報 宮崎真衣(右)。

ジャンルを決めるよりテーマを持つことが大切

編集者・ライターとして20年近いキャリアを持つくいしんさん。編集を生業にしていると、「得意なジャンルは?」と聞かれることが多いですが、それよりも大切なのは「テーマ」を持っていることだと言います。ここでいう「テーマ」とは、「自分が本当にやりたいこと」や「自分が持って生まれてきた使命」、はたまた「宇宙での自分の役割」のようなもの。つまり、「自分自身で強く信じられることは何か?」と言った信念だったり、「自分は何をするために生きているのか?」という純粋な欲望に近いものだと語ります。

インタビューをする前に、取材人物や周辺情報をリサーチするだけではなく、自分自身のテーマを持っておくことで、より本質的な言葉を引き出しやすくなるということが伺えます。

音楽雑誌の編集からキャリアをスタートしたくいしんさんは、「テーマとは何か」を説明するための例として、アーティスト 宇多田ヒカルの創作におけるテーマをくいしんさんなりに解釈した内容を紹介

くいしんさんにとってのテーマとは?

では、くいしんさんにとってのテーマとは何なのでしょうか? それは、「真芯を探すこと」。誰かの真芯を聞いてインタビューし、世の中に届けるために書くことだと言います。

真芯とは、人であれば人生のテーマであり、会社であればビジョンやパーパスにあたり、媒体であればタグラインやステートメントなのかもしれません。私たちは日々多くの情報に触れていますが、「真芯」が明確になっているものほど、強く印象に残るのではないでしょうか。

ここで、くいしんさんが例として上げた企業の「真芯」を見ていきましょう。

テスラの場合、同社のミッションは「世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速させること」とあります。もしも、テスラのオウンドメディアを手がける場合、車のコンテンツではなく、持続可能な未来やエネルギーを掘り下げるようなコンテンツを提案していくことが考えられます。他方、ソフトバンクグループの場合、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念があります。創業以来一貫してブレない「人々にとって幸せとは何か?」を追求してきた同社のインタビューコンテンツを考えるのであれば、この問いは外せません。

真芯を探し、それをきちんと捉え発信することで、より広い読み手に届くだけでなく深く刺さるコンテンツをつくる(くいしんさんの表現では、「飛距離を最大化する」)ことができるようになります。

伝えたい価値を引き出すインタビューとは?

ここまで、インタビューをする上での心構えを聞いてきましたが、最後にインタビューを行うときの具体的なポイントを教えてくれました。

 

これはすべて基本的なことばかりのように見えますが、本当に聞くべきことを質問したり、わかった気にならずに映像が頭に浮かぶくらいまで具体的に聞こうと思うと、なかなか難しいのではないでしょうか。

くいしんさん曰く、インタビューのトレーニングをやるなら「初恋」のテーマがオススメだそう。それは、どんな風にはじまったのか、そのとき相手の表情はどんなだったか? 聞くのも楽しいですし、話す側の立場になってみても、話せることはたくさんあるはず。ぜひ、身近な人に「あなたの初恋について聞かせて!」とインタビューしてみてください。

ここまで、迷うことなく「真芯」について語ってくれたくいしんさんですが、実はテーマを見つけることができたのは、ほんの最近のことなのだそう。テーマが明確になったことで、日々の生活でも視点が変わったり、飛距離が出せるようになったと言います。テーマを持つことは、インタビューを志す人だけではなく、あらゆる人にとって生きる上でのヒントになるのかもしれません。

コンテンツづくりに携わるみなさんからの声、お待ちしてます!

「カイシャの編集会議」は、コンテンツ制作従事者のみなさんと一緒に、オープンに「これからの〈いいコンテンツづくり〉」を考える、Huuuu、くいしん社、ロフトワークの3社による活動です。
コンテンツづくりに従事する企業の広報担当者、マーケティング担当者のみなさんや、ライター・編集者の方たちとのミートアップを不定期で開催しています。
本記事の感想や、「こんなテーマでイベントをしてほしい」などのご意見をお待ちしています。

株式会社ロフトワーク
株式会社Huuuu
くいしん株式会社

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対話を重ねる、外の世界に触れる。
空間に魂を吹き込む、オフィスリニューアルの軌跡