FINDING 多田 麻央, 岩倉 慧, 佐々木 まゆ, 安元 佳奈子 2019.04.23

「あ、なんかこれ気になる」は、学ぶモチベーションを刺激する?
#01 チーム活動をはじめる。

学ぶべきことは分かっているのに、やる気が出ない。

まさにこのシーンが起こったのが、昨年の11月。
学ぶべきことは山のようにあるが、一体何から手をつけたらいいのかわからないし、わからないからやる気も起きない。モチベーションが低く、いくら考えても答えが出てこない。

そもそもなぜ、学びについて考えているかというと、「学び」をテーマにチーム活動*を企画することになったからだ。テーマに対してはあまりワクワクはしなかったが、学ぶべきことはいくらでも挙げられるという状態だった。仕事のために必要なスキルを優先的に選び学べばいいという考え方もあるが、メンバーによって関わる案件や経験値が違うため、実際にどう「学び」について考えを深めたり、行動するか、頭を悩ませた。

 「このメンバーが自発的に興味を持って活動できるテーマは何だろう」

そんなことを考えながら、私たちのチーム活動は始まった。

テキスト:多田 麻央(ロフトワーク クリエイティブディレクター)

* (編集部注) ロフトワークのチーム活動
ロフトワークのクリエイティブディレクターは総勢50名弱。彼らは「チーム」とよばれるグループ単位でプロジェクトを担当するだけでなく、育成や様々なサポートもチーム中心で行なっています。今回のコラムでは、このチーム活動のひとつをご紹介しています。

参加したメンバー

多田 麻央

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

岩倉 慧

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

佐々木 まゆ

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

安元 佳奈子

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

ゲスト参加 : 松尾 奈奈 / 東京大学大学院学際情報学府

研究分野:認知科学
過去にイベントのチーム評価などに関わる。人の認知プロセスにおける定性的なリサーチに興味を持っている。

自分の興味関心を見失うと、自発的じゃなくなる

メンバーと話している中でだんだんと分かってきたことは、学びに対してモチベーションが沸かないという状態は、どうやら自分の中にある軸のようなものが曖昧になり見えづらくなっていることが影響しているようだ、ということだった。

例えば、こんな話が上がった。

仕事をしている時はプロジェクトに関する情報を優先的にインプットしていくため、日中のほとんどは意識も思考もそのことでいっぱいの状態。このような状態が続くと、無意識に仕事を軸とした思考や行動が当たり前になって、いつのまにか日常生活へと侵食してくる。
自分の興味関心ための活動や時間が減っていくことで、自分から仕事を取り上げたら中身が空っぽになってしまうような感覚になる。

良く言えば、仕事などの外から与えられる責任や役割が、自分にはもともと無かった興味関心を生み出し、活動に対してモチベーションを与えているということだ。しかしその一方で、日常的に仕事が軸になってしまうと、自分がどういうことに興味があり何をしたいのかという自分の中にある軸がブレていき、気がつけば自発的にモチベーションを生み出せない状態になってしまうとも言える。

だから今回の「学び」というテーマでの活動は、仕事の延長線ではなく、自分たちが学びたいことを学べる場にしたいと思っていた。
「選択肢はたくさんあるのに、ワクワクしないしやる気も起きない」からと言って、学ぶ機会が減ってしまうのではもったいない。ここから抜け出し「これを学んでみたい」という自発的なモチベーションが生まれる状態を作るためにも、自分の興味関心を理解していくことで、改めて自分の軸を再認識することが必要だと感じた。

無意識に”気になる”モノゴトから自分の軸を見つける

自分の中にある興味関心の引き出しは、意識されているものとされていないものがある。
そして、自発的なモチベーションを生み出す自分の軸を再度認識していくためには、無意識に生まれる興味に本質があるのではないだろうか。

例えば、本屋に立ち寄ってふと目に止まったものや、街を歩いていてすれ違った人など、すぐに忘れてしまうかもしれない刹那的な関心。「面白い」「すき」と頭で理由を考えるよりも一歩先に心が動いているような感覚。
この「あ、なんかこれ気になる」くらいの弱いひっかかりが、目的や理由など無くても自分の懐にスッと飛び込んでくる。なぜなら、あらゆる文脈を一切無視した直感的な興味は、純度100%とは言えないかもしれないが、少なくとも仕事軸ではない自分の軸から生まれているからだ。

であれば、自分から生まれた「気になる」というほぼ無意識の興味を観察することで、自分の軸を再認識することができそうではないだろうか。また、「気になる」という感情がきっかけになり、学びだけでなく仕事の中にも、「すき」や「面白い」という自分の軸を見つけることができれば、そこから自発的なモチベーションを生み出せるはずだ。

そんなことを頭に描きながら、私たちはようやく活動内容の軸となる問いを決めた。

  1. どうすれば“気になる”という感情を捉え認識できるだろう?
  2. ”気になる”という感情を生むには、どのような環境や要素が必要だろう?また阻むものはなんなのだろう?
  3. “気になる”という感情を持ったモノやコトを、どのような状態でアーカイブし活用することができるだろう?

無意識に感じる「気になる」という感情が、結果的に自発的なモチベーションを生み出すために必要である、という仮説が正しいかどうかはわからない。しかし、自分の軸による興味関心が無ければ、目の前にある仕事に対して、いくら責任ある立場や期待された役割があったとしても、心から自分がやりたいと思えるだろうか。一見興味が無いものも、自分の内側から出てくる「気になる」という感情に気づき理解することで、自分の興味が向いている方向から仕事を設計したり、モノゴトの見方を変えたりすることができるはずだ。

直感的な感覚を丁寧に読み解き、モチベーションとの関係性を探る

ということで私たちは、自分から生まれる「気になる」という感情を紐解きながら、自分のモチベーションに働きかける方法を探ろうとしている。昨年11月から始めたこの活動は、外部パートナー1名が加わり、既に3つのワークを終えた。

日常的に気になったり直感的に惹かれたりするモノゴトの理由が、過去の経験や記憶とどのような関係性があるかなど、まずは手探りにワークしてみたので、そこでの気付きや発見を今後のコラムにて紹介していきたい。

(次回に続きます。)

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#05 場が働き方をつくる
(ドーナツの穴 ー創造的な仕事のつくり方ー)

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