地域発のオリジナルプロダクトで世界の市場を目指す
「YAOYA PROJECT 2019 AWRD」採択アイデア決定
台湾に挑戦する8つのアイデアが決定
大阪府八尾市。ここには、生活雑貨や工業製品など、日本のものづくりを支える優れた技術を持った企業が数多く活動しています。一方で、OEM製品の生産を主軸にしているために、技術を広くアピールしたり、新たなプロダクト開発にチャレンジする機会に恵まれなかった企業も多く存在していました。
そこで、ロフトワークと八尾市では、そうした状況から脱却するため、培ってきた技術力を活かしたオリジナルプロダクトをつくり、数年かけて世界の様々な市場への展開を目指す「YAOYA PROJECT」をスタート。Web上で広くプロダクトのアイデアを募り、クリエイターと企業をマッチングさせるためのアワードを実施しました。アイデアをもとに、企業とともにプロダクトの開発を行い、最初のチャレンジとして、台湾のマーケットに挑戦します。
2019/09/19(木)〜2019/10/20(日)の約1ヶ月間の募集期間に世界各国から集まったアイディアは96個。募集企業の方々からは「複数選びたい」との声があがるほどでした。本記事では、採用された8つのアイデアとクリエイターをご紹介します。
No.1 - 藤田金属株式会社
受賞アイディア:Carafe+Cup
受賞者:大村 卓
2001年東京工業大学大学院修了。2009年oodesignを設立、プロダクトデザインを中心に活動を開始。おもに生活雑貨、文具、家具など身の回りのもののデザイン開発、コンサルティングを行う。企業に向けてデザインを提供するかたわらオリジナル製品開発も手がけ、ジャンルにとらわれない振幅の大きい活動を心掛けている。Twitterでの発信も盛ん。
Twitter:@trialanderror50
受賞コメント
案を採択していただきありがとうございます。へら絞りのタンブラーなどはすでに多く存在していますが、今回のデザインはそこに一工夫加え新しい使い方や見せ方などを生み出したいと提案いたしました。特別なものではなく日常生活の中でどんどん使っていけるようなカジュアルな製品としてイメージしています。今後は事業者さんとの打合せを通してデザインの調整や販売に向けての検討など、詰めていければと考えています。
No.2 - ホトトギス株式会社
受賞アイディア:ひかりだけを通す仮眠アイマスク
受賞者:木倉谷 伸之・塚本 裕仁
木倉谷伸之
埼玉県出身。2018年に東京造形大学デザイン学科インダストリアルデザイン専攻を卒業。ヒトの生活に寄り添ったデザインのあり方を模索中…。現在は家電メーカーにてプロダクトデザイナーとして勤務。
塚本 裕仁
富山県出身。2018年に首都大学東京大学院システムデザイン研究科インダストリアルアート学域を卒業。プロダクトデザインを軸とした課題解決提案を得意とする。現在は精密機器メーカーにてプロダクトデザイナーとして勤務。
受賞コメント
この度は新たな挑戦の機会をいただけたことを大変嬉しく思います。
今回、テーマである台湾の暮らしの中で「シエスタ」と呼ばれるお昼寝文化に着目しました。社会的に浸透していて、地域によってはシエスタが義務になっている学校もあります。
しかし、机につっぷして昼寝をする姿はあまり快適には見えませんでした。
そこで「ほどよく視界をフィルタリングし、快適なパーソナル空間を生み出す」ことが台湾のお昼寝文化に必要なのではないか?と考え、蚊帳生地特有の優しい肌触りや透け感を活かした仮眠アイマスクをデザインしました。
今後のプロジェクトでは事業者様の技術・素材を活かし、より良いプロダクトへと昇華できるよう邁進していきたいと思います。
No.3 - 有限会社大一創芸
受賞アイディア:おりふく
受賞者:タカハシトモユキ
文化ファッション大学院大学ファッションデザインコース修了後、アパレルブランドの広報等に携わる傍ら、to.designというブランド名でフリーペーパーやシルクスクリーン印刷を使ったBAGなどの布帛中心の制作活動を開始。Yシャツ型に折られたフリーペーパーがメディア等で取り上げられる。その後フリーランスで印刷物やロゴのデザインを受注しながら制作活動を行っていたが、2017年活動休止。2019年より再開。
受賞コメント
この度は第一回という記念すべきスタートに関われて大変嬉しく思います。
今回の舞台になる台湾は初めて訪れる国ではありますがとても面白みがあり深い国だと思います。こころを豊かにするプロダクトを通して、日本の伝統と技術をまずは台湾・アジア、続いて世界にアピールできるよう頑張りたいです。
No.4 - ラピス株式会社
受賞アイディア:3minutes brush
受賞者:望月 愛海
UXデザイナー。1995年静岡生まれ。海のそばで育つ。筑波大学芸術専門学群デザイン専攻卒業後、大阪に移り、メーカーで生活家電のUXデザインをしています。使う瞬間だけでなく、その日が笑顔で過ごせるような、ものがたりの生まれるデザインを大切にしています。こうした夢語りを入れてみても、プロフィールの指定文字数が満たせないくらい、華やかな経歴の無い新人ですが、リサーチを通してひとを知り、新しくてよりたのしい生活を考えて、かたちにして、それをユーザーが使ってくださることが好きで好きで仕方がないです。
受賞コメント
みなさんは歯みがきしている時、どんなことを考えて、どんな動きをしていますか?
きっと理想は、今磨いている歯の磨き回数を数えながら、手の動きに集中することだろうと思います。しかし、実際はテレビを観ながら手が動いていなかったり、歩き回りながら磨いたり。
もし、歯みがきをすることで歯ブラシ自体が変化したら、歯みがきは創造的な時間にもなります。歯を磨きながら、何かを生み出すってたのしいかもしれないなあと思い、3 minutes brushを提案しました。このたびは、ありがとうございました。これからの活動がたのしみです。
No.5 - 錦城護謨株式会社
受賞アイディア:Silik Glass / Silik Wrap
受賞者:合同会社シーラカンス食堂
シーラカンス食堂は2011年、デザイナー小林新也が兵庫県小野市に立ち上げました。播州刃物や播州そろばん、石州和紙、石州瓦、京都の伝統工芸品などの商品や技術、販路や伝え方、意識のイノベーションに取り組み、生産者が抱える問題解決に取り組んでいる。特にグローバルとローカルを行き来した視点で持続可能なものづくりを目指している。2016年、オリジナル商品ブランド「MUJUN」をオランダアムステルダムで立上げる。2018年7月に地元の刃物職人の後継者育成を目指して「 WORK SHOP 」を立ち上げ、持続可能な新しい後継者育成の仕組みを構築している。
受賞コメント
シーラカンス食堂です。この度の受賞は嬉しく、これから錦城護謨さんとお仕事ができるようになりとても嬉しく思っております。プロダクトだけでなく、世界市場を視野に錦城護謨初のオリジナルブランド創出を目標に進めていきたいです。
事業者の記事:https://note.mu/yaoya_project/n/n308da1edeb9c
※公平性を期すため、メンターの小林新也は本事業者の審査に関与しておりません。
No.6 - 赤坂金型彫刻所
受賞アイディア:好きな街を持ち歩く。
受賞者:平山 靖子
編集者・ライター・料理人。京都在住の1989年生まれ。京都精華大学日本画コース卒(2013年)。ローカルコンテンツを掘り下げる取材や、飲み歩きレポートなど、現地に赴いて得たものを形におこすことを得意としている。「ジモコロ」「Gyoppy!」などのWebメディア、雑誌『Meets Regional』『Men’s Leaf』などのさまざまな媒体で企画・編集・執筆に携わる。全国あっちこっち取材に行くかたわら、出張スナックや料理人、イベント出店をおこなう飲食のプレイヤーもしても活動中。
受賞コメント
採択の結果を知って正直いまびっくりしています。赤坂さんの彫金は、髪の毛ほどの細さで金属を造形できるものすごい技術。八尾市が誇る繊細な職人技が、台湾の街をどんな風に切り取ってくれるのか楽しみで仕方ありません。企画は得意ですが、製品づくりは未経験。サービスの完成を目指して、これからいろんな方を巻き込んで、手に取ってくれる人がワクワクするようなプロダクトづくりを目指します。がんばる。
No.7 - 株式会社オーツー
受賞アイディア:Bridge stool
受賞者:濱西 邦和
インテリア・プロダクトデザイナー。版画家の家庭に生まれ幼少期を日本と海外で過ごし、 アートを愛する気持ちや、物を作る精神と共に、伝統的な方法と、従来の型に はまらない方法の両面から物事の可能性を探求するようになる。
受賞コメント
この度は、この様なプロジェクトに採択いただき大変嬉しく思います。これから短いながらも、面白いチャレンジングな挑戦期間になると思いながらワクワクしています。宜しくお願いします。
No.8 - 有限会社ルネセイコウ
受賞アイディア:ハンモックのように身軽な折りたたみソファ
受賞者:ゼツ ユウキ
メーカーのプロダクトデザイナーとして主にBtoB商品のデザイン業務を6年間担当し、現在はハードウェアのスタートアップにて製品開発にかかわるデザイン全般に携わりながら、デザイン活動を行っています。
受賞コメント
ご採択いただきありがとうございます。
このアイデアは、リビングにソファを置きたいけれど、将来的に邪魔になってしまうかもしれないという不安から、ソファを購入出来たなかった経験をもとにデザインしました。
パイプを使った家具には色々な可能性があると感じています。その特徴を活かしながら製品化に向けて一緒に頑張っていければと思います。
YAOYA PROJECTでは上記のクリエイターと一緒に、プロダクト制作に向けて動き出します。今後もnoteやFacebookページで引き続き経過をお知らせしていきます。
ロフトワークについて
ロフトワークは「すべての人のうちにある創造性を信じる」を合言葉に、クリエイターや企業、地域やアカデミアの人々との共創を通じて、未来の価値を作り出すクリエイティブ・カンパニーです。ものづくりを起点に、その土地ならではの資源やテクノロジーを更新する「FabCafe(ファブカフェ)」、素材と技術開発領域でのイノベーションを目指す「MTRL(マテリアル)」、クリエイターと企業の共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」などを運営。目先の利益だけにとらわれず、長い視点で人と企業と社会に向きあい、社会的価値を生み出し続けるビジネスエコシステムを構築します。
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