株式会社ニコン・トリンブル
ビジョンと企業文化の言語化 コミュニケーションツール制作
Outline
今の企業の実情にあった言葉を探す。
測量・測位技術の開発・製造・販売を行う株式会社ニコン・トリンブル。ニコンと米国トリンブルのジョイントベンチャーとして2003年に設立されました。設立から15年。それぞれの企業から参加したメンバーに加え、ニコン・トリンブルとして入社した社員が全体の5割を超え、独自の企業文化が醸成されつつありました。
そんなニコン・トリンブルでは、中長期の企業ビジョンの策定にあたり、改めて企業としての表現を統一するために、キーメッセージを含めたコミュニケーションのリデザインに着手。ロフトワークでは、ブランディングコンセプトの策定そして、各種コミュニケーションツールの制作を支援しました。
- 課題・背景
・育まれつつあった独自の企業文化を言語化し、ブランドメッセージを作りたい
・各事業部が主導で制作していたコミュニケーションツールを統一したい - 支援内容
・ブランディングコンセプトの策定
- 代表インタビュー/社員アンケート
- 事業領域・ソリューションの構造化
- キーワードの構造化
- クリエイティブ方針策定
・コミュニケーションツールの制作
- 会社案内パンフレット
- Webサイト 会社概要ページ
- Webサイト 採用情報ページ - 体制
・クライアント:株式会社ニコン・トリンブル
・プロデュース:脇水 美千子
・プロジェクトマネジメント:北島 識子
・クリエイティブディレクション:北島 識子 岩倉 慧
・テクニカルディレクション:藤田 健
・Webデザイン/アートディレクション:libretto works 原田 充
・コーディング/テンプレート開発:libretto works 原田 充
・写真撮影:中込 涼
Process
プロジェクトの全体像
インプット
プロジェクトはまず、情報の集約から始まりました。代表の丹澤さんへのインタビュー、プロジェクトメンバーによるニコン・トリンブルの価値・強みの発散、さらには社員へのアンケートなどを実施し広く情報を抽出しました。
整理・構造化
抽出した情報は、「エピソードに裏付けられるサービス・プロダクトの品質と信頼」「サービス・プロダクトと顧客をつなぐプロフェッショナル(人)」「変化・複雑さを乗り越えられる組織とカルチャー」に分類し、構造化しました。
ブランディングコンセプト
構造化して整理した様々な言葉の中から、社内投票を行い、ニコン・トリンブルを象徴する言葉、及びイメージとして導き出したコンセプトは
“ or でなく and ”
トリンブルの製品力だけでなく、ニコンのブランド力と技術。最先端の技術と製品だけでなく、それを最適化して顧客と社会に手渡す人材。グローバルな視点だけでなく、目の前にいる顧客やスタッフに向けられる視点。
新たな時代を切り開くパートナーとして、ニコン・トリンブルを体現するために。このコンセプトを戦略・企画・コンテンツに落とし込み、各種ツールの制作を進めていきました。
Outputs
写真
人の魅力や企業カルチャーにフォーカスした写真を撮影しています。測量機という一見すると難しそうなイメージを壊し、誰もがパートナーになりえる存在でありたいという想いを表現しています。
Webサイト 会社情報ページ
会社情報として事業の内容の紹介よりも、伝えたい言葉に想いを込めています。
Your Work&ニコン・トリンブルというキーメッセージは、これまで関係のあった人や業界以外にも繋がりを広げ、誰もがパートナーになりえる存在であることを表現しています。
ページ上部で語られる想いから業界やソリューション、事例と読み進めていくと具体的な強みや企業像が共感とともに鮮明になっていきます。
Webサイト 採用ページ
想いを表現した企業情報に対して、カルチャーの表現を重視したのが、採用情報のページです。ニコン、トリンブル、さらにはニコン・トリンブルという少し複雑な組成を価値に、複雑さを乗り越えられる強さをメッセージとして打ち出しています。
また測量機を知らない人が見ても、現場で働くメンバーに共感し、求人に応募するきっかけを見つけてもらうために、社員紹介のコンテンツと、Q&Aのコンテンツを企画しました。リアルな会社像を伝えるために、Q&Aはネガティブなポイントまで包み隠さず紹介し、撮影した写真のレタッチも控えめにしています。
会社案内パンフレット/パワーポイント用フォーマット
Webサイトをはじめとしたコミュニケーションツールは、単一のものに全ての内容を詰め込むのではなく、会社案内で詳細を知りたくなったらWebサイトをみて、理解を深めてもらうように相互補完をしながら機能するように設計しています。
各事業部で活動する際のコミュニケーションにもブランドとしての統一感を醸成するため、パワーポイントのフォーマットも作成しています。
Member
メンバーズボイス
“ビジョンや企業文化は、外部、内部に対して、わかりやすさと共感を呼ぶことが重要と考えていました。今回のプロジェクトを通じて、今まで、曖昧にしか表現できなかったこと、そして伝えたい色々な思いを、シンプルなキーメッセージに集約できました。
また、従業員の参画や、そしてプロジェクトメンバーが意見をオープンにだせる雰囲気を
作ってくれたことにとても感謝しています。採用ページでは、会社の“いまいち”なところを出すことなど、我々の発想にはなかったことを提案してくれたので、とても満足しています。”
ニコン・トリンブル 代表取締役社長 兼 CEO 丹澤 孝
“ニコン・トリンブルとはどんな会社なのか、どうありたいのか、イメージはあってもなかなか一言にできないもどかしさがありました。ロフトワークの皆さんと一緒に紐解いていくなかで、改めて会社や自分たちを別の視点から見つめなおすことができました。
“orでなくand”、シンプルだけど力強いコンセプトです。これからもいろいろな場面で展開していきたいと思います。
今回のプロジェクトで、私たち自身も成長することができました。ありがとうございました。”
ニコン・トリンブル マーケティング・コミュニケーション 平山 雅子
“点と点が繋がって大きな円になるようなアイデアの出し方がとても新鮮でした。ワークを重ねるごとに強みや企業文化が可視化され、‘ニコン・トリンブルらしさ’が形となっていくことにとてもワクワクしました。
採用ページに「ニコン・トリンブルのイマイチなところ」を掲載した結果、応募者の方から「風通しの良い雰囲気が伝わってきた」と反響をいただきました。社内からも、「写真が多いことで、明るい雰囲気になった」等ポジティブな意見を聞くことができました。
‘ニコン・トリンブルらしさ’を引き出していただき、本当にありがとうございました。”
ニコン・トリンブル 経理課 尾川 晶子
“プロジェクトの後日、代表の丹澤さまから「社員アンケートの内容をサイトに掲載したところ、メンバーの仕事のモチベーションが上がったように思う」とフィードバックを頂きました。社員のみなさんを巻き込んだプロジェクトにできたことで、ニコン・トリンブルの外側だけでなく、内側のブランディングにも、少しだけ力になれたとしたら、これほど嬉しいことはありません!”
ロフトワーク クリエイティブディレクター 北島 識子
“会社のメッセージを変えたり、新たに作る場合、ともするとトップダウンになりがちですが、代表の丹澤さんだけでなく、若手のメンバーも含めたプロジェクトメンバーがしっかりと意見を出し合って、決めていけるところに、ニコン・トリンブルさんの企業カルチャーがにじみ出ていたように感じます。”
ロフトワーク クリエイティブディレクター 岩倉 慧
“ “ブランディング” と一言で言うのは簡単ですが、表面的な耳障りの良い言葉ではなく、社員の皆さんにもしっかりと腑に落ちる言語化は簡単ではありません。
ニコン・トリンブルらしい言葉を紡ぐことができたのは、丹澤さんやプロジェクトメンバーのみなさんが日々の仕事に対して確固たる想いをもって臨まれているからこそだと感じました。プロジェクトを通して、みなさんの仕事に対する誠実さを深く知り、私もニコン・トリンブルが大好きになりました。”
ロフトワーク プロデューサー 脇水 美千子
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