子どもの「夢中」が、大人も社会も動かす
探求型プログラム「Unlock PROGRAM&DAY」
Outline
パナソニックホールディングス株式会社は、2025年大阪・関西万博との連動企画として、小学4年生から中学生を対象とした探求型プログラム「Unlock PROGRAM&DAY」をコワーキングスペース「point 0 marunouchi」で実施しました。
本プログラムは、パナソニックのクリエイティブミュージアム「AkeruE(アケルエ)」で行われていた「アルケミストプログラム」をベースに、その内容をアップデートしたもの。「子どもたちとより豊かで希望に満ちた未来社会を共に考えたい」という思想のもと、誰もが自分の「好き」を見つける段階から社会へ発信する段階までをシームレスに体験できる、包括的な成長の道筋をデザインしました。
ロフトワークは、アルケミストプログラムから継続して、本プログラムのコンセプト策定から全体の企画・運営までを担当しました。約3ヶ月間のものづくりを通じた探求体験を通じて、子どもたち一人ひとりの「好き」を「夢中」へと昇華させ、自らの可能性を解き放つ(=Unlock)を支援する場を創出しています。
Concept
子どもたちの変化をまわりに連鎖させる「Resonant Unlock」
本プログラムのコンセプトは、「Resonant Unlock(レゾナント・アンロック)」。教育プログラムでは一般的な「子どもだけの成長」を超えて、子どもの変化が波及効果を生み出し、関わる大人や社会全体を変えていく「変化の連鎖」を意図しています。
起点となるのは、参加者である子どもたち自身の「Unlock」です。ここでの「Unlock」とは、刺激を受けて新たなことに挑戦したり、何かに没頭したり、自らの成長のために行動を起こすことを指します。子どもたちはものづくりを通して自分の「好き」を見つけ、それを自分の力でカタチにする挑戦へと変化させ、内側にある「夢中」を外部に向けて発信できるようになっていきます。
そして、子どもたちが本気で「夢中」に取り組む姿や成果物を目の当たりにすることで、周囲の大人たちの心が動き、彼ら自身の意識や行動にも変化が生まれていく。こうした、社会を巻き込むビジョンのもと、プログラムは実施されました。
Program
一人ひとりの成長を支えるステップアップ型の設計
プログラムは、継続的に探求を深めるスクール型の「Unlock PROGRAM」と、単発で参加できるイベント型の「Unlock DAY」という2つの活動で構成されています。
「Unlock PROGRAM」では、参加者の成長段階に合わせて2つのコースを用意。個人の内なる「好き」の発見から、それを社会的な価値へとつなげていくまでの道のりを、無理なくステップアップできることが特徴です。
プログラムを通じて、枠にとらわれない「学際性」、自ら考える「能動的に取り組む姿勢」、自分を知り他者を受け入れる「自己や他者を認める心」といった、未来を生き抜くための力を身につけていきます。
ALCHEMIST Jr. コース:「好き」を見つけ、深掘りする3ヶ月
基礎造形からデジタルファブリケーションまで、多様なものづくりを体験する導入コースです。さまざまな創作活動に触れる中で、子どもたちが自分でも気づいていなかった「これが好きなんだ」という興味の種を見つけ出し、それをものづくりで表現することで、「夢中」になっていくことを目指します。
カリキュラムの例
ALCHEMIST コース:「夢中」を社会へ発信する3ヶ月
「ALCHEMIST Jr.」で見つけた「好き」をさらに深く探求・発信するためのコースです。プログラム内外のイベントに参加し、お客さんや参加者に対して自分の作品紹介やワークショップを行います。メンバー自身の力で社会との接点をつくり発信していくことをサポートします。
決められた課題をこなすのではなく、自分で設定したテーマを軸に制作を進める「自由制作」が中心です。参加メンバーは、メンターのサポートを受けながら独自のプロジェクトに取り組みます。ボードゲーム制作のためにルール検証とテストプレイを繰り返したり、3Dモデリングを駆使して鉱石のミニチュアなどを制作するなど、多様な挑戦が生まれました。なかには理想のプログラミング言語を自作しようと試みるメンバーもいました。
Approach
発信の場をデザインし、プログラムの輪を広げる
プログラムでは、制作活動だけでなく、子どもたちが社会との接点を持つための多様なイベント機会を設けています。これらのイベントは、子どもたちの成長を可視化すると同時に「Resonant Unlock」の連鎖を生み出す重要な場となっています。
成果発表イベント
3ヶ月間の探求の成果を保護者や関係者に向けて発表します。子どもたちは自分のプロジェクトについてプレゼンテーションを行い、制作プロセスや学びを共有します。この場は、子どもたちが「夢中」を言語化し、他者に伝える大きな経験となるだけでなく、保護者が子どもの新たな一面を発見する機会にもなっています。
さまざまな場所で開催される単発イベント「Unlock DAY」
単発型のイベントとして「Unlock DAY」を開催。毎回多数の親子連れが参加し、プログラムに対する関心と共感の輪を広げました。これらのイベントでは、「ALCHEMIST」コースの参加者が講師役として活躍する機会もあり、子どもたち自身が学びを他者に伝える経験を積むことにもつながっています。
社員交流を通じて、組織文化の醸成へ
「パナソニックグループ社員との交流」も大きな特徴の一つ。Unlock DAYにはパナソニックグループ社員が参加したり、プログラム内で同社社員を講師とした子どもたちへのワークショップを実施するなど、交流の機会を設けました。「好きなことを仕事にしている大人」として子どもたちと交流することは、社員にとっても自身の仕事への刺激となり、社内文化の活性化や、次世代層に対してパナソニックグループのファンを増やすきっかけにもつながっています。
Outcome
本プログラムの成果は、「Unlockの連鎖」が象徴するように、参加した子どもたち一人ひとりに確かな成長をもたらしただけでなく、周囲の大人や社会にも変化をもたらしています。「子ども」「大人」「社会」の3つの視点に立ち、それぞれの声から、その「変化」をお伝えします。
子どもたちのUnlock
「楽しそうで、役に立ちそうなことは自分に向いていない」
ーーALCHEMIST Jr. コース参加メンバー
Unlock するには「自分に詳しくなる」ことが大切であるとし、メンバーやクルーとの対話を通じて自分の好き嫌い、得意不得意、興味関心の深掘りを徹底しました。ものづくりの何が好きなのか、ものづくりで何を表現したいのかを考えるうちに、得意分野や夢中になれる工程を見つけ、自分や他者を認める力がつきます。さらに、人前で話すことに積極的になったメンバー、自ら外部イベントに出展したメンバーなど、それぞれが自分の「夢中」を起点に、自ら社会との接点を生み出すことに挑戦しました。
大人たちのUnlock
「子どもだからという理由で、 手加減や手助けしようとは 思わなくなりました」
ーー保護者の方
プログラムに同席する保護者も多くいますが、彼らが子どもたちの手助けをすることはありません。メンバーは毎回の課題に自分の力で真剣に向き合い、上手くいかなくてもメンバーやクルーにアドバイスをもらい、挑戦し成長していきます。その姿は、どう子どもたちと接するべきか、保護者の姿勢にも影響を与えました。この変化は運営スタッフやパナソニックグループ社員にも広がり、子どもたちから学ぶという新しい関係性が生まれています。
社会へのUnlock
「lock されている事に 自分 1 人では気付けない」
ーー保護者の方
本プログラムでは、ひとりでは気づくことが難しい自分自身の可能性を、人との交流を通じて解き放つ姿が見られました。夢中な子どもたちの表情は、会場であるコワーキングスペースの入居者にも刺激を与え、子どもと大人の新たな共創のかたちに可能性を見出しました。こうしてプログラムのメンバーが Unlock を伝播し続ける人になることが期待されます。
このプログラムから巣立った子どもたちが、自らのUnlock体験を社会に伝播し続ける存在となること。それこそが「より豊かで希望に満ちた未来社会」の共創に向けた確かな一歩となるでしょう。
子どもたちの可能性を解き放つことが、時に、凝り固まった大人の価値観をもUnlockする鍵になる。未来を担う子どもたちの成長が、いかにして私たちの現在を動かす力となりうるか。「「Unlock PROGRAM&DAY」は、その可能性を示すプログラムとなりました。
Credit
プロジェクト概要
- クライアント:パナソニックホールディングス株式会社
- プロジェクト期間:2024年12月〜2025年12月
体制
- 株式会社ロフトワーク
- プロジェクトマネジメント:越本 春香
- クリエイティブディレクション:星 安澄
- プロデュース:中圓尾 岳大
- 外部パートナー
- プログラム制作・運営、メイン講師:鈴木 順平(株式会社unworkshop 代表)
- 運営/アートディレクション:中里 亜純(株式会社unworkshop デザイナー)
- 運営クルー:あんちゃん、エリー、大槻 菜月、さこ








