組織の環境方針を次世代Web技術で表現する
サステナブルWebサイト
Outline
都市デザインと建築環境に関するエンジニアリングの融合のもと「持続可能な社会の構築」を目指して活動する日建設計総合研究所(以下、NSRI)。クライアントである企業や行政に対してのサステナブルな都市開発・運営支援に加え、自社のサステナビリティに関する情報開示も積極的に行いたいという思いが強くなりました。
そこで、2025年の7月24日に、NSRIの「環境方針」を定め、社会に貢献したコンサルティングサービスやESGへの取り組みなど、2024年の一連の取り組みをまとめた『Sustainability Report 2025』を刊行。その内容と共に、今後も継続して情報発信をし続けられるプラットフォームとして、サステナビリティへの取り組みをまとめたWebサイトを構築することになりました。
新たなWebサイトでは、NSRIの環境方針と4つのアクション、ESGに沿ったそれぞれの施策、またコラムやプロジェクトといったコンテンツでNSRIの考える環境に対するビジョンを適切に伝えながら、それを軽量かつ電力消費を抑えるデジタル・サステナビリティに配慮したサイト設計を行いました。環境配慮型のデータセンターを採用し、無駄なデータ通信を抑える最新のWeb構築手法であるモダンWeb技術を用いて、意匠性を犠牲にすることなく、環境負荷の低減(軽量化)を実現しました。
日建設計総合研究所 サステナビリティへの取り組み Webサイト
Outputs
Webサイト
サステナブルWebサイトとは
今回、そのWebサイトを構築するにあたって、「サステナブルWebサイト」という思想・方法を用いて実装を行いました。「サステナブルWebサイト」は、一言で言えば軽量で、公正な、電力消費を抑えてつくられるWebサイトのことを指します。
2015年のSDGsやパリ協定の流れを受けて、インターネットの電力消費におけるCo2排出量が問題になりました。そこで2019年にはSustainable Web Manifestoが宣言され、2023年にはWeb技術の標準化を行う非営利団体W3CがWeb Sustainablity Guidelinesを発表。今回は日建設計総合研究所の伝えたいメッセージとそういった社会潮流との親和性から、サステナブルWebサイトの方法論を用いて実装することになりました。
日建設計総合研究所 サステナビリティへの取り組み Webサイト
Approach
モダンWeb技術の6つを実装したWebサイト
サステナブルWebをつくるためには、いくつかの技術要件があります。Web担当者Forumの以下の記事には、サステナブルWebを実現するために6つのキーテクノロジーが挙げられています。今回は、グリーンホスティングから環境負荷の可視化、静的サイトジェネレータとヘッドレスCMSなど、その全てを実装しながら、高速・軽量なサイト構成を目指しました。
グリーンホスティング『石狩データセンター』
キーテクノロジーのひとつである「グリーンホスティング」は、さくらインターネットが提供するVPSの『石狩データセンター』を採用しました。国内で唯一再生可能エネルギー100%で稼働しており、外気冷房や太陽光直流給電等、環境に配慮したデータセンターです。
環境負荷の可視化『Website Carbon Calculator』
キーテクノロジーのひとつである「環境負荷の可視化」は、WebサイトのCO2排出量を計測できるサービス『Website Carbon Calculator』を採用しました。1PVあたりのCO2排出量が可視化でき、世界平均の排出量と比較したA+〜Fまでのランク付けを行うことができます。
静的サイトジェネレーターとヘッドレスCMS
静的サイトジェネレーターはAstroとGithub Actionsで構築し、ヘッドレスCMSはmicroCMSを採用しました。この組み合わせにより、表示速度の高速・軽量化やフロントエンド開発の自由度向上、本体サイトでも使用しているWebRelease2と同等のセキュリティ確保を実現しました。
ブランドの統一感を重視し、軽量化しつつ意匠性も担保する
一方で「ただ軽量にすればよい」だけであれば、ページのコンテンツや装飾を質素にするなど、意匠性を犠牲にすればよいだけです。しかし、今回はNSRIのコーポレートサイトが持つ世界観と連動させるために、軽量化は行いつつも、ブランドとしての統一感を重視する方針で実装しています。
例えば、本体サイトでも使用しているWebフォントをデバイスフォントにダウングレードすれば、『Website Carbon Calculator』ではA+判定に近づくことは実証済みですが、それでは本体サイトと印象が変わってしまい、世界観が壊れてしまいます。そのため、Webフォントは変わらず本体サイトと同じものを採用し、画像圧縮率やJSファイル圧縮率向上、英語フォントのセルフホスティング、JSライブラリの遅延読み込みといった対策を少しずつ重ね、最終的にはD判定(0.26g/pv)となるよう着地させています。
サステナブルWebサイトは、ロフトワークで2023年から取り組んでいるテーマです。ロフトワーク京都のリサーチスタジオ「なはれ」では、太陽光と自作したサーバを用いた、オフグリッドWebサイトを運用しています。今後も、自然エネルギーとデジタルデザインの関係性について模索していく予定です。
オフグリッドのWebサイトと考える“生存可能”なエネルギーとの付き合い方ーエネルギーとデザイン vol.1 エネルギーを草の根で創造的にとらえてみよう!太陽光で稼働するオフグリッドWebサイトの舞台裏
2024年秋、NSRIの所員全員が主体的に発信活動に関わる「全員参加型広報」を目指して、コーポレートサイトはリニューアルされました。所員の知見や活動を起点に、研究・プロジェクトと連携させることで、NSRIの独自性や事業価値を効果的に伝えることを目指しています。
Credit
プロジェクト基本情報
クライアント:株式会社 日建設計総合研究所
プロジェクト期間:2025年6月〜2025年10月
体制
- 株式会社ロフトワーク
- プロジェクトマネジメント:吉田 日菜子
- ディレクション:国広 信哉、佐野 まり沙
- テクニカルディレクション:伊藤 友美
- プロデュース:柏木 鉄也
- 制作パートナー
- Webサイトデザイン:THREE Inc. / 中野 浩明、山上 弘毅
- Webサイトコーディング・CMS開発 : 山田 哲也
- 写真撮影:金本 凜太朗
Member
メンバーズボイス
“『Sustainability Report』の作成を機に、サステナブルへの取り組みを紹介するサイト構築についてロフトワークさんに相談したところ、Webの世界にもサステナブルという概念があることを知りました。これは挑戦するしかないと思い、「サステナブルWebサイト」という思想・方法を用いて実装するプロジェクトをスタート。新しい技術をご紹介いただきながら、NSRIらしさをデザインで表現しつつ、軽量化と意匠性が両立したサイトを公開することができました。このサイトを通じてNSRIのサステナブルな取り組みを積極的に発信していきたいと思います。”
株式会社日建設計総合研究所 広報デザイン室長 山本 ちはる様







