地域、人、大学のつながりを「対話」を通して言語化
中部学院大学・中部学院大学短期大学部
Webサイトリニューアル
Outline
大学の空気感を、地域や人の「つながり」から伝える。
中部学院大学・中部学院大学短期大学部は、1918年に女性の自立のための教育を目的として設置された学校法人岐阜済美学院から始まりました。保育から介護まで、ローカルそしてグローバルに多くの卒業生が活躍しています。
これまでのWebサイトでは「見学に来れば感じることでのできる、大学の魅力的な空気感が伝わらない」という課題がありました。空気感を伝えるためには、単純に写真や映像を増やすだけでは解決しない、と感じたロフトワークは大学と地域、卒業生のつながりに着目。
児童保育から介護福祉まで、人の一生に携わる大学での学びを、物語として紹介する新コンテンツを提案。
卒業生へのインタビューシナリオを作成し、入学前や卒業後も学びが続いていくことを、大学のさまざまな場所に紐づけて語ってもらいました。それぞれのエピソードでは、自分の一生を決めていく学びの「きっかけ」と、大学生活を通して「成長した姿」を紹介。自分の中から一生をかける学びの「タネ」を見つけ出し、そのタネを伸ばすきっかけが大学で見つかることを伝えています。
プロジェクト概要
- 支援内容
要件定義、リサーチ、企画、情報設計、デザイン、コンテンツ制作、コーディング、開発、移行、公開 - プロジェクト期間
2020年10月〜2021年4月 - プロジェクトメンバー
クライアント:中部学院大学・中部学院大学短期大学部
プロデューサー:吉田 真央
プロジェクトマネージャー: 上ノ薗 正人
クリエイティブディレクター:䂖井 誠
テクニカルディレクター:伊藤 友美
Webデザイン:株式会社 ニコットラボ
コーディング・CMS開発:株式会社ネクストページ
Outputs
中部学院大学・中部学院大学短期大学部Webサイト
Webサイトのインターフェースは、縦横の水平、垂直のラインが特徴的な校舎の構造を起点にデザインしています。
Webサイトを最初に訪れる訪問者に対しては、ロード画面に「生きる、を学ぶ」という大学を象徴するメッセージを伝えています。スクロールして表示されるコンテンツの一部も、メッセージとコンテンツ表示の順番をアニメーションで制御し、大学の魅力や空気感をUXとしても表現しています。
新コンテンツ「実は私も、中部学院なんです」
「幼児教育から介護まで」人の一生を学べる大学であることを伝えるために、注力したスペシャルコンテンツ「実は私も、中部学院なんです」。時間を軸に「高校時代」など縦書きの見出しを含めて大きな余白をとり、それぞれの卒業生が過ごした日々を、段落ごとに魅せています。
関連リンク
Points
多面的なリサーチとインタビュー。「地域」と「人」から大学の価値を導き出す。
これまでも大学の「価値」については学内で議論されていましたが、職員の立場や役割が異なる為、それぞれが納得できるような言葉やイメージが出てきませんでした。そこでロフトワークは段階的なトレンドリサーチを経て、インタビューを設計。
まずは学内資料や広報誌から大学の持つ「強み」や「課題感」を集約、まだ伝わっていない大学のポテンシャルについて、いくつかの仮説を立てました。そして仮説を元に「地域性」、「規模」、「専門領域」といった多面的な視点でのデスクトップリサーチを実施し、大学と地域の関係性やPR方法を分析。その上で学内インタビューを実施。年齢も経験も異なる方々から大学にまつわるエピソードを伺いました。そこで見えた共通点は「地域が人を育て、人がその地域を育てていく」こと。
この言葉をWebリニューアルにおけるキーワードとして据え、「大学を取り巻く地域や人の魅力も合わせて伝えることで、大学の魅力が言語化されるのでは?」という結論から、「実は私も、中部学院なんです」という新規コンテンツ「実は私も、中部学院なんです」を提案しました。
コンテンツでは卒業生に、学内で思い入れのある場所について語ってもらいました。さまざまなエピソードに共通するのは、入学前は漠然と「やってみたい」と思ったことが、明確な「やりたいこと」へと変わっていくプロセス。自分で気付き、考え、成長してきた卒業生の過去と現在を伝えることで、「地域と共に、人を伸ばしていく大学」であることを入学希望者に伝えています。
1万ページあった情報から、本当に伝えたい要素を分析して抽出。
サイトの構造を整理し、複雑に階層化され必要な情報へアクセスするのが難しかったサイトを「ユーザー」の視点から考えることを提案。ページアクセス数の解析や、他大学のコンテンツを構造分析した上で分類。PJメンバーの協力もあり、これまで1万近くあったページが約400ページに集約され、「伝えたいこと」よりも、「知りたいこと」がわかるサイトへ大きく切り替わりました。
これまでのサイトにあったページに対しても、ページごとにリダイレクトを細かく設定。ユーザビリティだけではなく検索エンジンへの対応も実施しています。
少人数でも全体を管理しやすいCMS設計
運用の基盤には、拡張性とメンテナンス性に優れた、CMSであるWebRelase2を採用。これまでの大学Webサイト構築で培ったノウハウを活かし、管理するテンプレート数を抑えながらも、更新がしやすい構造を実現しています。集中的に、チェックから公開までを行える承認フローを構築した他、静的なページ生成によって、セキュリティも担保されています。
Member
メンバーズボイス
“中部学院大学のホームページは、長年リニューアルされてきませんでしたが、2018年度に大学広報室が設置されたことを機に、リニューアルに向けた本格的な議論がスタートしました。
これまでも商談やオープンキャンパスなどで本学を訪れる方から「とても雰囲気の良い大学ですね。来て見て驚きました。」と嬉しいコメントを度々いただいていました。しかし、それはホームページから本学の魅力がうまく伝わっていないことの裏返しだと気づきました。
最大のテーマは、ブランドづくりや学生募集において、大学の顔であるホームページで、「いかに本学らしさを表現できるか」。
「デザインが古く、情報が氾濫したホームページを日々見ている教職員は、それぞれ何か意見を持っているのではないか。」「学生や高校生はどんな印象を持っているのだろう。」と、まずは“人の声を集める”ことから始め、ロフトワークと共に丁寧にインタビューを実施した結果、しっかりとしたコンセプトを設定することができました。リニューアル後も定期的に“声”を集め、”地域や人から愛される大学”を、ホームページで表現していきたいと考えています。”
中部学院大学・中部学院大学短期大学部 大学広報室 室長 高柳 竜一
“中部学院大学のホームページでの課題は、「伝えたい内容」が「伝えたい人」に「しっかり伝えきれていない」ということでした。それまでの情報発信を振り返ると、大学報やキャンパスネットワークマガジン『ポロ―ニア』といった印刷物は充実していたものの、ホームページでは情報があふれ、交通整理ができていませんでした。また、ブログや動画コンテンツをはじめ、インスタグラムやLINEなどSNSとの連動もうまく機能していませんでした。
今回のホームページのリニューアルでは、高校生や保護者の方々、地域の皆さんなど、読み手目線を大事にしながら、全体の構成から細部の表現方法を検討しました。当初は1万に及ぶページ数を400ページまで落とし込み、さらにそこから再分類を進めました。作業は画面だけの情報では整理ができないため、すべてのページを印刷し、一つ一つ手作業で精査していきました。
情報にあふれた時代だからこそ、優先順位が重要になります。今回のリニューアルを機に、より伝えたい情報を伝えたい人に「伝わる」ホームページに生まれ変わったものと思っています。”
中部学院大学・中部学院大学短期大学部 企画部 野口 晃一郎
“大学のwebサイトのリニューアルを行うということは、必然的にその大学がどうあるべきなのか / どうありたいのかを再確認することにもなります。どう見せるか、以上に「どうありたいのか」を教職員並びに卒業生の方々から問うところから本プロジェクトははじまりました。
その問いをプロジェクト期間中、多忙な中で真摯に考え続けたプロジェクトメンバーの皆様の思いから「実は私も、中部学院なんです」という独自コンテンツが生まれました。受験を考える高校生に限らず、一人でも多くの方々の目に触れてほしいなと思っています。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 上ノ薗 正人
“「生きる、を学ぶ」のフレーズを体感する人の人生の全ての分野を学ぶことのできる大学。その魅力を伝える為の大規模なリニューアルのプロジェクトでした。
実際に大学関係者のみなさまと、じっくり時間をかけてお話させていただいたことで、リニューアルで伝えたい想いや実情の部分を明確に知ることができました。プロジェクトメンバーのみなさんが学校案内もしてくださり、学生さんや学校全体の雰囲気まで感じられたことも印象的でした。
受験生だけではなく、大学のみなさまにも見るのが楽しくなるようなサイトだと感じていただければ幸いです。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 䂖井 誠
“今回、中部学院大学チームとは初めてプロジェクトをご一緒させていただきました。互いに文化が違うところからスタートしたのですが、連日現場の声を一緒に吸い上げたり、穏やかに時には議論を交わしながらプロジェクトを進行しました。学内プレゼンではみんなで力を合わせたことも懐かしい。中部学院大学の魅力って”人と人の繋がりの深さだよね”というところに辿り着き、オリジナルコンテンツとして形になったことも嬉しいです。一歩学校に入ると、学生の皆さんから挨拶してくれ、とても暖かい空気が流れていました。そんな空気感が伝わるホームページです。是非、ご覧ください。”
株式会社ロフトワーク プロデューサー 吉田 真央
“このコメントを書くにあたり、はじめは、「普段と変わらないフローから生まれた、大学の想いに寄り添ったサイト設計」と話したのですが、普段と変わらないサイト設計と言えるのは、これまで数々の大学webサイトリニューアルプロジェクトを担当する中で、よりよい設計について悩み、考え蓄積してきた大学サイトへの理解の深さから来ていることに気付きました。
もちろん大学によってサイト設計内容は様々ですが、これからも社内で蓄積されている大学webサイトリニューアルのナレッジを活かしつつ、どんな大学の想いにも寄り添えるよう努力していきたいと思います。”
株式会社ロフトワーク テクニカルディレクター 伊藤 友美
Method
リサーチ〜CMSの選定までロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方
プロジェクトの全体感をつかみ、戦略と戦術に落とし込むことで、Webプロジェクトの「成功のすがた」を描きます。
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