持続可能なモジュラーバッグをデザイン
クアラルンプール・ファッション・ウィークで発表
ファッションブランド「Nelissa Hilman」プロジェクト
クアラルンプールファッションウィーク2022で、ファッションデザイナー、ネリッサ・ヒルマンさんのショーのため、FabCafeクアラルンプールチームが革の端材を活用したモジュラーバッグをデザインしました。
Background
ネリッサ・ヒルマンとFabCafeクアラルンプールの出会い
本プロジェクトのクライアントであるネリッサ・ヒルマンさんは、2012年、自身の名を冠したフットウェアブランドをマレーシアで設立し、靴、衣類、アクセサリーのスタイリッシュで快適なコレクションを作り上げています。また、倫理的な素材のライフサイクルに重点を置き、地元マレーシアのメーカーや小規模事業者をサポートしてきました。責任ある生産と地域のエンパワーメントへの取り組みを通じて、ネリッサ・ヒルマンさんは国内外のファッション業界をリードする存在としての地位を確立しています。
ネリッサさんは持続可能な素材とクリエイティブパートナーを探す中、バイオマテリアルとサーキュラーデザインの取り組みで有名になりつつあった、FabCafeクアラルンプールを知り、ワークショップに参加しました。その後、FabCafeクアラルンプール代表のイグナティウス・アンディ・ペルマディとグウィネス・ジョンは、ネリッサさんのチームに個別でバイオマテリアルのワークショップを実施。彼女からクアラルンプール・ファッションウィーク2022でのコラボレーションが提案されました。
生物(またはかつて生きていた生物)に由来する材料を用いて、バイオベースの材料を作り、育てることを探究するワークショップ。参加者は、トウモロコシ粉、寒天、オレンジの皮やコーヒーかすなどの生ゴミを使い、さまざまなバリエーションのバイオマテリアルをプロトタイプしました。
スクラップレザーから美しく機能的なバッグを作るという挑戦
ファッションウィークでのネリッサさんのショーケースにむけて、彼女はFabCafeクアラルンプールに10セットのオリジナルバッグをデザイン・制作するよう依頼しました。このコラボレーションで挑戦したことは、ブランドの靴の製造工程で発生する革の残骸のみを使用することでした。伝統的なバッグ作りによく使われる大きな革とは異なり、形や色が不揃いで、限られた小さな革の切れ端を使う必要があったため、工夫が必要でした。
Output
サーキュラーファッションにふさわしいモジュール式バッグ
端材を使うという制約に対して、FabCafeクアラルンプールは、モジュールデザインというアプローチでこの課題に取り組みました。
※ モジュールデザイン
システムをモジュールと呼ばれる小さな部品に分解する概念。モジュールは、独立して作成、修正、交換、または交換することができ、設計のカスタマイズと柔軟性を可能にします。モジュール化により、個々のコンポーネントを変更または交換することができ、必要に応じてシステムを調整・適応させることができます
ネリッサさんの特徴的なデザインと、持続可能なファッショントレンドを入念にリサーチした結果、チームは小さな革の端切れを使ったさまざまなモジュール型のデザインに辿り着きました。そして、FabCafeのレーザーカッターで試作品を作り、強度、耐久性、快適性、意匠について検証を重ねました。最終的なデザインは、一連の連動したパターンを表現。その結果、端材を価値ある持続可能な資源に変えることができたのです。
Key Point 1
モジュール設計により、リソースの有効活用、カスタマイズ性、製品寿命の向上を実現
FabCafeクアラルンプールがデザインしたモジュラーバッグは、ファッション性の高さだけでなく、使う人のニーズに合わせた高い適応性を持っています。部品を取り外したり、追加したりしてサイズや形を調整することができ、さまざまな質感や色の素材を組み合わせて、遊び心のあるパターンのバリエーションを作ることができるのです。また、モジュール化されたデザインは、破損したパーツがあった場合でも、全体を捨てることなく簡単に交換できるため、製品の寿命が長くなります。さらに、製品として寿命を迎えた後も、各パーツを分別して再利用やリサイクルができるため、廃棄物の処理も容易です。
Key Point 2
デジタルファブリケーションツールによるプロトタイピングの効率化
レーザーカッター、UVプリンター、3Dプリンターなど、FabCafeで利用できるデジタルファブリケーションツールによって、合理的かつ効率的なプロトタイピングが可能です。FabCafeのチームはクライアントと密接に協力し、実用的かつ費用対効果の高い方法で、さまざまなデザインの試作を繰り返すことができました。また、初期プロトタイプには紙などの素材を使うことで、プロジェクト計画段階での無駄を省き、プロジェクトのプロセスにおいても持続可能なデザインを目指しました。
世界のFabCafeチームと持続可能なデザインを仕掛けませんか?
以下のようなプログラムやテーマにご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
- 循環型社会と持続可能性に基づいた新しい製品デザインの開発がしたい
- FabCafeのアーティストやデザイナーとともに、廃材の新しい使い方を探りたい
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プロジェクト概要
- プロジェクト期間:2022年7月~9月
- クライアント:ネリッサ・ヒルマン
- プロジェクトメンバー:FabCafeクアラルンプール(ディレクター: イグナティウス・アンディ・ペルマディ、グウィネス・ジョン、アシスタント: ムスタファ・カミル、メイサラ・ルビス)
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