“働くひと中心”のオープンなサービス開発を実践
NEC 未来のはたらきかた実験室
「自分らしく働く」とは、どういうことでしょうか。子育てや介護といったライフステージの変化や、副業、パラレルキャリア、障害者雇用など―個人の生活スタイルと働き方を取り巻く状況は多様です。そんな中、個人がそれぞれの生き方に応じて、自ら柔軟に働き方を選択しながら自己実現や成長を目指し、活躍する時代が訪れつつあります。
NECは生体認証などのデジタルID技術を活かし、組織がワークスタイルの多様化に対応するためのサービスを開発しています。同社が目指すのは、アイディエーションや作業、会議といった多様な「仕事のシーン」と、オフィスからリモートワークといった「働く場所」をシームレスにつなぎ、一貫した「未来の働き方」体験を提供することです。
NECとロフトワークは、これらのサービスにおいてユーザー中心型の開発を実践するために、オープンなイベントの場を設定。サービスのコンセプトとプロトタイプを検証しました。そのねらいは、ターゲットとなる顧客とエンドユーザーの深いインサイトを探りながら、サービスの仮説を検証することです。
本記事では、2019年11月12日、WeWork KDX 虎ノ門1丁目にて行われたオープンな検証イベント「NEC 未来のはたらきかた実験室」の模様をお伝えします。
執筆:伊藤 望(ロフトワーク クリエイティブディレクター)
編集:loftwork.com編集部
多様な働き方を担保する、組織改革の最前線―インプットトーク
ターゲットユーザー(イベントの参加者)にサービスのプロトタイプに触れてもらい、良し悪しのフィードバックをもらうだけでは、参加者の深いインサイトに触れることはできません。そこで本イベントでは、働き方改革の有識者や実践者によるインプットセッションからスタート。参加者と現状の課題感をすり合わせながら、NECが実現したい「未来の働き方」を共有することで、より深い理解・共感を得ることを目指しました。
登壇者は、株式会社オカムラ、ソフトバンク株式会社、NECの3社です。はじめに、株式会社オカムラ マーケティング本部 DX推進室 遅野井宏氏が、テクノロジーを活かしたワークスペース改革の最新トレンドについて語りました。
遅野井氏は、オカムラ社が制作した「Tomorrow Work 202X: OKAMURA Future Vision」の映像を紹介。202X年における未来の働き方について、顔認証やAIといった最新技術が私たちの働き方にどんなインパクトを与えるのかを解説しました。
テクノロジーは今すでに働いているオフィスワーカーの働き方を変えるだけでなく、これまでオフィスで働けなかった人たちが「オフィスで」働ける可能性が出てくると、遅野井氏は語ります。多様性が組織の創造性を高めると言われている昨今、働き方改革の施策は、いかにインクルーシブなチームづくりにつながるかという観点からも検討が必要になります。
続いて登壇したのは、NECのカルチャー変革本部で全社働き方改革プロジェクトリーダーを務める宗由利子氏。NECが実践する働き方改革を紹介しました。
NECは、2017年度から全社員を対象にテレワーク制度の導入を行ったほか、社内外にサテライトオフィス約40拠点を展開。時間や場所にとらわれずに仕事ができる環境を整えています。
2019年5月には、本社ビルにコワーキングスペース「BASE」を新設。社員自らが心身のコンディションを整えながら自律的に仕事のしかたをデザインできる場、さまざまな組織間のコラボレーションを促進し、より創造的な仕事ができる場として開放しています。NECは、こうしたグループ全体の働き方改革の実績・ノウハウを新たな製品やサービス開発に活かすことで、価値創造につなげています。
次に、ソフトバンク株式会社で、竹芝の新本社ビル移転計画を指揮している佐藤信秀氏が登壇。「Smart & Fun!」をスローガンとして掲げ、AIやIoTを駆使しながら大胆な働き方改革を進めるソフトバンク社のヴィジョンを紹介しました。
さらに、新オフィスに採用した顔認証技術を導入した入退場ゲートや、WeWork買収に伴い社員が各地のWeWorkで自由に働ける仕組みづくりなど、最新の施策について説明しました。
「未来の働き方」を実現する3つのサービス―デモセッション
インプットセッションでテクノロジーや仕組みづくり、場作りなどを通じた働き方改革の実践を共有した後、参加者はNECが開発している未来の働き方を実現するサービスのプロトタイプのデモンストレーションを体験しました。
今回デモを行ったのは、多様なワークスタイルに対応しながら、ひとりひとりが個性を発揮できる環境づくりを支援する3つのサービス。体験にあたり、参加者にユーザーシナリオを共有することで、より具体的な利用シーンをイメージしてもらいました。以下で、それぞれのサービスの内容を紹介します。
1) 顔認証を活用した入退場管理システム
1つめは、顔認証を活用したオフィスの入退場システム。多くの企業では、セキュリティ対策として受付の設置やカードキーを使った入場管理が行われています。しかし、これらの方法には、人的コストやパス紛失のリスクといった課題がありました。
NECが開発中の新しい入退場管理システムでは、顔認証を使うことでオフィスのセキュアな環境を確保しながら、より快適かつ効率的に人が出入りできます。さらに、外部人材との共創を推進している組織において、このシームレスな入退場システムがオープンイノベーションを加速することを期待されています。
さらに、同システムによって社外から安全に社内情報にアクセスでき、フリーアドレスやリモートワークなど、社員の柔軟な働きかたの促進にもつながります。
2) 顔認証によるコミュニケーション密度の高いリモート会議
2つめは、顔認証を活用したリモート会議をより効果的に行うためのシステムです。今や、ビデオチャットサービスを使ったオンライン会議は一般的になりました。しかし、ディスプレイを通じたコミュニケーションは、対面と比べるとまだまだ親密さに欠けているように感じる人は多いでしょう。
このサービスは、顔認証技術によってリモート会議をしている相手のプロフィールや人柄などの関連情報を自動的に表示することで、より密度の高いコミュニケーションを促進します。
今回のデモセッションでは、実際に離れたテーブルに座る人の顔を認識し、その人のプロフィールを表示しながら会話をしました。
3) リアルタイム記録・共有でオフライン会議を加速「(仮)インクルーシブ システム」
3つめのプロトタイプは、オフラインの会議を加速させる「(仮)インクルーシブ システム」です。このサービスは、発話内容を自動で記録し、会議のどの瞬間が一番盛り上がり、どんな会話がされていたのかをリアルタイムで記録・共有します。また、会議の途中で、ホットワードに関連する過去の会議で発言した内容をすぐに振り返ることもできます。
今回のデモセッションでは、会議中にメンバー間で盛り上がったホットワードをまとめてくれる機能を体験しました。ホットワードがどんどん更新されることで、会議がより盛り上がっていました。
終わりに
デモセッション終了後は、参加者とNEC、ロフトワークのメンバーが入り混じったミートアップに移行。NECの新しいサービスが働き方改革に与えるインパクトや可能性について、それぞれの視点から活発な意見交換が行われました。
また、終了後のアンケートでは、NECが社員の働き方の多様化を前向きに捉え、自社の取り組みやサービス開発を通じて社会のニーズに答えていく姿勢に対して、参加者から共感や期待感を伝えるコメントが数多く寄せられました。それらの内容は、いずれも自社の開発チームのみで行う検証プロセスでは得られなかった、深いインサイトを示唆するものでした。
NECでは、「未来の働き方」ヴィジョンをさらにアップデートしていくべく、共創パートナーを求めています。上記のサービスに関心のある方やアイデアが浮かんだ方は、ぜひお気軽にご意見やコメントをお寄せください。
お問い合わせ
NECの未来の働きかた関連サービスに対するご意見・ご質問は、以下までお問い合わせください。(NEC)
メールアドレス: nec-future-workstyle-lab@sbdesign.jp.nec.com