日本電気株式会社 PROJECT

Beyond 5G・Web3の事業領域の拡大を目指す
事業ビジョン策定プロジェクト

公開し、ステークホルダーとともにつくる事業を目指す

日本電気株式会社(以下、NEC)はBeyond 5GおよびWeb3に関する事業領域をリードしていくために、ヴィジョンの設計と研究テーマの検討をすすめています。NECが主体となり、Beyond 5G / Web3 を世界に発信し、問いかけていくためには、技術ドリブンの開発だけでなく、生活者視点を取り込むこがかかせません。また複雑化する社会において一社だけでは解決できない課題が増える中、ビジョンを掲げ共有することで、協業パートナーと出会う必要性を感じていました。

本プロジェクトでは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する未来社会デザインオープンプラットフォームが提唱する「つくりたい未来を実現するための8つの鍵 」を起点に、バックキャスティング手法を用い事業ビジョン(実現したい世界観)と研究テーマの仮説立てを実施。ビジョンアイデアを策定し、2030年までのロードマップに落とし込みました。

共感を生み生活者を含むステークホルダーを巻き込むために、ビジョンをオープンにしフィードバックを得ることが重要であると考え、アイデアを検証し対話を誘発する仕掛けとして作成したのがブックレットです。導き出した事業ビジョンを漫画とストーリーで表現し、多くのステークホルダーとの対話を促すための世界観をつくりました。

検証の場には、2022年11月に開催されたサイエンスアゴラ2022 / Science Agora 2022を活用。ブックレットの展示に加え、参加者との対話を引き出すステッカーを用いたコミュニケーションブースを設置し、参加者約200名からのフィードバックを得ました。これらのフィードバックはこれからの新事業開発や新技術研究開発にも応用されます。

プロジェクト概要

  • クライアント
    • 日本電気株式会社
  • プロジェクト期間
    • 2022/9/1〜2022/10/31
  • 体制
    • 株式会社ロフトワーク
      • プロジェクトマネジメント:村田 菜生
      • クリエイティブディレクション:加藤 あん
      • プロデュース:小島 和人(ハモ)、橋本 明音
      • ワークショップ設計:小島 和人(ハモ)
  • 制作パートナー
    • アートディレクション、デザイン:太田 知也
    • 文筆協力:太田 知也
    • イラスト、漫画:小指

Output

Visonブックレット

ワークにて導き出した事業ビジョンと研究テーマを漫画とストーリーで表現。

手触り感を重視すべく、印刷はレトロ印刷を選択。未来のことを描きながら、どこか懐かしい質感で、現実世界から離れないことを意識した

ロードマップ

Process

プロジェクト全体のプロセス

ワークショップのプロセス

Points

1)既視感のあるビジョンを回避する、ワーク設計

未来ビジョンを描く際、まだ見ぬ未来の話であるから故に、自分ごと化されず、どこかで聞いたようなアイデアに収束してしまいがちです。そこで、本プロジェクトで注力したのは、「自分の経験」を取り込み、没入するワーク設計です。例えば、「あるかもしれなかった世界」の物語を参加者が作成し、多角的で創造的な未来を各々発表するワークなどを取り入れています。
見落としてしまいがちな小さな視点を、自身の体験から導き出すことで既視感を感じない、感性視点を強化したビジョンに落とし込みました。

ワーク設計のポイント

2)生活者との対話を誘発するコミュニケーション設計

Beyond 5G・Web3の事業領域は研究者だけでなく、実際に使用する生活者の視点がかかせません。そこで、ソリューションに興味がある人だけでなく、そうでない生活者にも、 ビジョンアイデアに触れてもらうために、ビジョンを噛み砕きストーリーと漫画で表現し、想像を掻き立てる構成のブックレットとしてアウトプットしました。

生活者との対話、フィードバックの機会として2022年11月4〜6日に開催されたサイエンスアゴラ2022 / Science Agora 2022へ出展。NECブースでは、ビジョンブックを展示しながら口頭で紹介するとともに、問いとステッカーを活用したコミュニケーションブースを設置し、参加者からの声を収集しました。双方向に対話が生まれる設計により、通常3分程度の滞在時間が15分程度までに拡大。最終的には約400名が来場、約200の声が集まりました。これらのフィードバックはこれからの新事業開発や新技術研究開発にも応用されます。

ポイント

  • コミュニケーション施策により、1人あたりの滞在時間が15分まで拡大。来場者と丁寧な対話ができた。
  • 来場者から「NECが製品の提案ではなく、みんなでオープンに考える取り組みをしていたことに驚いた」という声あり。NECの姿勢を届けることができた。
  • ビジョンのテキストに、様々に解釈できる余白があったことにより、来場者の専門性に応じて説明を変えるといった柔軟な対応ができた。
  • ステッカーにおいて、コメントを書く欄が漫画の吹き出しであったことによって、自然に本音や疑問が書きやすい仕組みになっていた。

サイエンスアゴラ2022

サイエンスアゴラ2022、ブースの様子

ブックレットを用い、

問に対しての回答を、参加者の視点で記入

ステッカーをボードに集約。200名の声が集まった

3つの問いに対して、参加者から声を収集。多様なコメントが集まった

3つの問いに対して、参加者から声を収集。多様なコメントが集まった

3つの問いに対して、参加者から声を収集。多様なコメントが集まった

Member

永井 研

永井 研

日本電気株式会社
新事業推進部門 Beyond 5G推進統括部

小出 俊夫

小出 俊夫

日本電気株式会社
デジタルテクノロジー開発研究所 リードビジネスデザイナー

福田 浩一

福田 浩一

日本電気株式会社
経営企画部門 ソートリーダーシップ部(マーケットインテリジェンス部兼務)MIプロフェショナル

村田 菜生

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

加藤 あん

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

小島 和人(ハモ)

株式会社ロフトワーク
プロデューサー / FabCafe Osaka(仮)準備室

Profile

橋本 明音

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

メンバーズボイス

“「来月中に社内ワークショップを開催し、Beyond 5GとWeb3に関する事業ビジョンの策定と研究テーマを設定したい」そんな無理難題を抱え悩みながらロフトワーク様の扉を叩きました。「ぜひやらせてほしい!」と熱意に溢れたチームとの出会いで悩みはすぐに払拭、爆速の打合せで骨子が固まりました。ワークショップで終わりにせず社外とも対話する方針が決まった時には、もうワクワクしてメンバー全員の目が輝いていたのが印象的でした。

ロフトワーク様の熱意のもとに参集した社内の新事業開発メンバーと研究者が額に汗かき紡ぎ出し、サイエンスアゴラ参加者の老若男女の皆様と共に手に入れた最高のビジョンと研究テーマ。キラキラした未来に加え、深く考え尽くされた少し気持ち悪い未来が、絶妙な自分ごと感と手触り感を与えています。

今これを携えて、社外も巻き込み新産業を検討し実現させていくフェーズに入りました。まだまだワクワクは続きます!”

日本電気株式会社 デジタルテクノロジー開発研究所
小出 俊夫

“弊社メンバーで出せる個性とNECさまの未来への挑戦、想いをかけ合わせてできたプロジェクトだったと思います。短い期間でしたが、とても濃い時間でした。ワークショップでは、事前宿題もお忙しい中多くの方が記入してくださり、初日のワークの内容を深めることができましたし、ディスカッション中に個々に考えを発言してくださったことも印象的でした。ロードマップは参加してくださったNECの皆さまの言葉が重なりアウトプットされたものだと感じています。良い意味でNECらしからぬ世界観を、サイエンスアゴラの来場者の方々に見ていただけたのではないでしょうか。老若男女、多様で温かいコメントが集まっている様がとても嬉しかったです。漫画って何であんなにワクワクしちゃうんだろう。
誰しもの生活において、切っては切り離せない、未来の話。心地よい距離感で社会と繫がれる日に想いを馳せて、どんどん更新される未来が楽しみです。”

ロフトワーク クリエイティブディレクター
村田 菜生

“未来の話は往々にして「綺麗で美しい世界」として語られることが多い。それでいいのだろうか。本当そんな世界は来るのだろうか?
綺麗事を抜きにして人間が心地いいこと、心地悪いこと。そのどちらの視点も取り入れ、いち未来の生活者としての気持ちを探るプロセスを歩みました。
これまでに数多くの未来予測・洞察を行ってきた両社だからこそ、今回のプロセスによって今まで取り残されていた未来の欠片を広い集めることができたと感じます。これからこの流れにもっと多くの人を巻き込んでいきたい。”

ロフトワーク プロデューサー
小島 和人

“プロジェクトメンバーだけでビジョンを作るのではなく、出てきたビジョンのアイディアを生活者に直接問いかける。この過程を踏むことによって、生活者から離れすぎていない・自分ごととして捉えることのできるビジョンが生まれました。
実際にサイエンスアゴラで生活者から受けたフィードバックを見ながら「私ならどうだろう」と、いち生活者に立ち戻って考えることで、プロジェクトメンバーも多角的な視点でビジョンを見ることができたのではと思います。
これからますます時代の変化が激しくなる中で、取り残されてしまう人ができるだけ現われないように、みんなで未来を創っていけることを願っています。”

ロフトワーク プロデューサー
橋本 明音

「未来」をテーマにした壁打ち相談会実施中

本プロジェクトの手法である、「生活者視点からの未来ビジョン策定」に関心のある方や、
ロジックモデルやロードマップを用いた整理、コミュニケーションツールの制作など、「未来」を探るためのプロジェクトに興味のある方に向けて、

未来洞察やビジョン策定を得意とするロフトワークメンバーと気軽にディスカッションいただける相談会、
「ミライの談話室」を開催しています。
通常の相談会に加え、ロジックモデル体験ワークプランもご用意。
具体的な課題感を抱いている方も、モヤモヤとしたお悩みをお持ちの方も、ぜひご参加ください。

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