003 Beauty Center Co.Ltd. PROJECT

海外市場参入の可能性を探るデザインリサーチ
タイのアロマ吸入器「ヤードム」日本における機会発見を支援

タイの化粧品会社 003 Beauty CenterとFabCafe Bangkok、ロフトワークは、アロマ製品『ヤードム』の日本における機会領域を探索するためのデザインリサーチを実施。日本市場に参入に向けた新製品のアイデアを生み出しました。

*英語版はこちら

Outline

自国特有の文化から生まれたプロダクトで外国市場への参入しようとするとき、そこには多くの障壁が立ちはだかります。003 Beauty Centerは、タイで多くの人々が使用しているアロマ吸入器『ヤードム』の日本市場における可能性を探索するプロジェクトを、FabCafe Bangkokとロフトワークに依頼しました。

プロジェクトチームは日本の人々にヤードム(吸入器)文化を紹介することを目指し、デザインリサーチとアイディエーションを通じて日本現地の顧客のニーズに対応した4つの新製品のアイデアを生み出しました。

プロジェクト体制

  • クライアント:003 Beauty Center Co., Ltd.

  • プロデューサー:野村 善文

  • プロジェクトマネージャー:林 剛弘

  • プロジェクトメンバー:戴 薪辰、カラヤ・コヴィドビシット、他Fabcafe Bangkokスタッフ

  • プロジェクトサポート:棚橋 弘季

タイ・バンコクでの現地調査で参考にした、ヤードム製品。

Process

1. プレリサーチ

仮説とリサーチ対象の設定

プロジェクトチームは、フィールドリサーチのための仮説とリサーチ対象を設定するためのプレリサーチから着手しました。プレリサーチにおいて重要なのは、フィールドリサーチの精度を高めるために、より良い仮説を設定することです。そのために、タイ本国でのデスクトップリサーチと既存ユーザーへのプレインタビューを通じて、定量・定性の両面からタイの吸入器文化を把握しました。

FabCafe Bangkokとの連携により、ヤードムの歴史やトレンドといった本国でしか手に入れることができない情報の収集と、複数タイプのユーザーに対するプレインタビューをスピーディに実施、レポーティングしました。

プレリサーチの結果、タイのヤードムユーザーを把握する上で以下の2つの視点が重要であると分かり、これを軸にインタビュー仮説と対象者を絞っていきました。

  1. ボディエクストリーマーヤードムを身体的効果のために使用しているユーザー
  2. マインドエクストリーマーヤードムを精神的効果のために使用しているユーザー

2. バンコクでのフィールドリサーチ

ヤードムの本場・バンコクに入り込み、ユーザーシナリオをあぶり出す

プロジェクトチームは、ヤードムが生まれた市場と現地市場でのユーザー行動をより深く理解するために、バンコクの街に入り込み集中的にフィールドリサーチを実施しました。初日は、市場(いちば)と高級デパート、それぞれにあるヤードムの店舗を訪問・視察。その場でユーザーにヤードムを利用した動機や利用方法を聞きだしたほか、公共交通機関での行動観察を通じてユーザーの生活習慣を把握しました。

その後、ヤードムがユーザーの心身にどのような効果をもたらすのかを知るために、7人の「ボディエクストリーマー」と「マインドエクストリーマー」に綿密なインタビューを実施。インタビュイーから、ヤードムの製品体験に関するエピソードや改善要望を引き出しました。プロジェクトチームは、ここで得られた内容からヤードムを日常生活の中で使用する具体的なシナリオを作成。これが、後に行うアイデア創発のための重要なインプットとなりました。

さらに対象者の行動をよりよく理解するために、「対象者がどのような目的で、どのようにヤードムを使用したのか」「いつ・どこでヤードムを利用したのか」「使用したヤードムの種類はどれか」といった調査結果を統合しました。また、タイの気候や生活文化といった、ヤードム利用シーンの周辺にある情報やファクトも加味しながらKJ法によって情報を整理することで、プロダクトの一般的な利用方法や考慮するべき点についての洞察をまとめました。

3. 東京でのフィールドリサーチ

日本でヤードムの潜在ニーズを把握

続いて、東京でのフィールドリサーチを実施しました。東京ではヤードムはほとんど使われていないので、デオドラントスプレーやアロマ製品といった類似商品のユーザー傾向から日本市場でのニーズを把握することを目指しました。プレリサーチで導き出された2つのタイプにヤードムユーザーを含めた、以下の3つのタイプに当てはまる7人の対象者に詳細なインタビューを行いました。

  1. ボディプロダクトユーザー:デオドラントスプレーなどの身体的効果のある商品を使用している人 
  2. マインドプロダクトユーザー:アロマなどの精神的効果のある製品を使用している人
  3. 既存ヤードムユーザー:日本でヤードムを使用している人

インタビュイーのコメントをKJ法を用いて統合したところ、日本でもバンコクと同様に「Body to Mind」の軸が存在する一方で、日本のユーザーは「自分が他人へ与える印象をよくしたい」という点に特有のニーズがあることがわかりました。そこで、プロジェクトチームは以下の3つのアーキタイプを設定しました。

  1. ボディ-ヘビーユーザー蚊除け、消臭、酔い止め、花粉症といったように具体的な課題が明確に決まっており、他人の目が気になっていても商品を使わざるを得ない場面が多いユーザー
  2. マインド-ライトユーザー危機迫って解決しなければいけない症状を持っているわけではなく、自分が使用している製品が他人にどう見られているかを最も気にしているユーザー。様々なメディアを頻繁に利用することでトレンドを把握している。
  3. マインド-ヘビーユーザー身体的な効用は満たされているため、精神的/情緒的部分のニーズが強いユーザー。マインド-ライトユーザーに比べて、自身のニーズをシチュエーション毎に細かく把握しているだけでなく、それらの細かなニーズ毎に対して適切な解決手段を知っている。

各アーキタイプごとに、特徴的なニーズや、価値観、理念、機会領域、そして、解決すればより多くの購入機会につながる課題を定義しました。

4.アイデアソン

日本参入に向けたヤードム製品のアイデアを、2日間で創発

プロジェクトチームは、日本市場参入に向けたヤードム製品をデザインするために、東京で2日間のアイデアソンを開催しました。

初日は、デザイナー、アロマのスペシャリスト、マーケットプランナー、学生、003 Beautyチームメンバー、ロフトワークのスタッフなど20名が参加しました。参加者は、まず調査結果から得られたインサイトをインプット。3つのアーキタイプそれぞれが持つ機会領域に着目し、香りを通じて人々に幸せをもたらすヤードムの新商品を考えました。その後、参加者はアイデアをプレゼンテーションしフィードバックを受けた後、さらにアイデアをビジュアル化していきました。

2日目は、プロダクトデザイナー4名と003 Beautyチームメンバー、ロフトワークのスタッフが、初日のアイデアをもとに日本市場のニーズに合ったヤードムの最終的なアイデアを選定・補完・統合していきました。

5. アウトプット

アイデアソン後、あまりピックアップされなかった潜在的なアイデアアイデアの中に含まれる良い要素を改めて整理し、グループ化しました。

最終的に、プロジェクトチームは日本市場の具体的なニーズに対応する新しいプロダクトのアイデアを4つに絞り込みました。そして、それぞれのプロダクトについて、製品説明、使用方法、様々なアーキタイプや顧客ペルソナが製品をどのように使用するかという具体的なシナリオを作成しました。

Member

林 剛弘

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

戴 薪辰

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

棚橋 弘季

株式会社ロフトワーク
執行役員 兼 イノベーションメーカー

Profile

野村 善文


プロデューサー

Profile

カラヤ・コヴィドビシット

カラヤ・コヴィドビシット

FabCafe Bangkok
Founder

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