認知を広げ、他大学との差別化を図るには?
保護者の好感と安心感を育む女子大Webサイト
Outline
他大学との差別化を図り、広報ツールとして機能するWebサイトへの刷新
園田学園女子大学は兵庫県尼崎市に位置し、四年生大学と短期大学からなる女子大学です。兵庫県は県内に8校もの女子大を有し、全国屈指の女子大激戦区と言われています。その中で、“スポーツが強い園田学園”というイメージは定着しているものの、他の分野における認知については課題意識があります。また、運用面においても、Webサイトにはタイムリーな情報を掲載できておらず、広報ツールとして使い切れていないという課題がありました。
管理部門の組織変更を期にサイト構成や運営体制を抜本的に変更し、魅力の訴求と認知拡大を目指しWebサイトリニューアルプロジェクトが発足しました。
ロフトワークはリサーチからターゲットを保護者や高校の教員と設定。他大と比較した時に「個性」として届くよう、ターゲットが求める価値を基準に園田学園女子大学の魅力を再定義しました。その中で、ターゲットが最も重要視している資格就職の支援や育成プログラムに訴求ポイントを絞り、保護者と受験生に好感と安心感を与えるサイトを目指しました。また、ビジュアルを通じて、ありのままの生徒の表情や大学の空気感を伝えています。
- 期間
2019年4月〜2020年1月 - 体制
クライアント:園田学園女子大学
プロデューサー:藤原 里美
プロジェクトマネージャー:基 真理子
クリエイティブディレクター:国広 信哉/松下 恵里花
テクニカルディレクター:村田 真純 - プロジェクトパートナー
コピーライティング:株式会社Rockaku 中尾 奈津子
フォトグラファー:馮 意欣
デザイン:株式会社スピッカート細尾 正行
Outputs
Process
ターゲットを明確にし、訴求ポイントを絞る
大学サイトを取り巻くステークホルダーは多岐に渡ります。認知を広げていくために誰に向けて、どんな情報を訴求していけばいいのか?
まずは、学内のインタビューからターゲットは「地域の受験生」と仮定し、学生のニーズを探るため、在学生を対象に大学選定のプロセスや、大学の魅力についてインタビューを実施しました。
インタビューから得た気づき
1.学生や保護者は資格取得を最重視
学生や保護者にとって何より大事なのは「資格をとれるか」
ただ必ずしも「資格=なりたい職業」ではなく、とりあえず資格をとることで安心できるという心理がある
2.先輩や先生との距離の近さが安心感を生む
好感を抱いた学生は、オープンキャンパスで先輩や先生に親切にしてもらったことや、ゼミの先生の距離の近さなどをあげることから、「人」との実体験は非常に重要なことがわかる
3.経験値教育の目的や意味が伝わっていない
学生を地域に送り出し、失敗から学ばせる経験値教育は文科省からも高い評価を受けているが、成果がすぐには見えにくいため学生や保護者には伝わっていない
4.期待せず入学したが、入学後は「良い緩さ」が心地よいと感じる学生も多い
滑り止めとして受験し、期待値が低いまま入学する学生も多い。ただ入学後は「良い緩さ」のある大学として好感を持っている
※一部抜粋
インタビューでは、例えば『出産後の復帰を考え、まずは資格をとっておきなさい、と母親に言われたから園田学園を選んだ』といったように、志望校を決める前に両親や高校教員など身近な大人に相談しており、大きな影響を受けていることがわかりました。また、かつて子育て出産などで再就職に苦労した経験がある母親層は大学選びに資格取得を重視する傾向も見えてきました。
加えて、学生がWebサイトをあまり見ていないという回答が目立ったことから、メインターゲットは受験生ではなく保護者、高校の教員と設定しました。そして、インタビューから得た気づきを元に、特に訴求すべき魅力を以下の2つに選定しました。
- 資格や就職に合わせた学科ごとの支援体制があること
- 卒業後の社会を見据えた人材育成プログラムの充実
届ける人に対して最適化し、好感を育てる
伝えたい言葉をただ連ねただけではユーザーには届きません。そこで、保護者や学生視点の言葉に置き換えるために、言葉のプロであるコピーライターとタッグを組み、大学が大切にしている経験値教育の学びや、各学科の詳細ページに到るまで議論を重ね、細かいニュアンスを調整しながらつくり上げていきました。
10の問いからみるSONODAの学び
議論を重ねで生まれたコンテンツが「10の問いからみるSONODAの学び」。「園田学園に入学すると何が学べるのか?」学生視点で、疑問や不安に応え、好感を育てています。問いには学生の手書き文字を採用し、学生の個性を表現。より親近感が湧くコンテンツにしました。
SONODAが大事にしていること
大学が大切にしている教育理念である「経験値教育」。大学目線で伝わりづらかった内容を噛み砕き、図解も交えて理解しやすい表現にしています。
保護者と生徒に安心感を届ける
「どんな資格が取れるのか」、「安定した仕事に就けるのか」などターゲットに安心を届けるために、資格取得や目指せる職業、学びの内容について各学科ページでわかりやすく紹介。さらに、学科ページへの導線をトップページ上部に掲載し、たどり着きやすさにも配慮しています。
心地良い空気感をそのまま伝えるビジュアル
学生から「入学後に感じた良い緩さは大きな魅力」との声もあり、入学後の満足度が高いことがわかりました。それは地域に根ざし、先生や職員方と学生の距離も近く、地域住民など周囲が暖かく見守ってくれる体制があるからこその大学の魅力です。そして、緑豊かなキャンパスの居心地のよさをプロジェクトメンバーも感じていました。
今までの媒体では伝えきれてなかった「心地良い空気感」を、ありのままの学生の表情をとらえた写真や動画を通じて表現しています。
Member
メンバーズボイス
“今回のプロジェクトは、本学のブランディング事業の一環としてのホームページのリニューアルでした。本学は規模の小さな女子大学で社会的な認知度が低いことが大きな課題となっていました。なかでも、本学の教育の特色である「経験値教育」について、言葉は認知されているものの具体的な内容を情報発信することに苦慮していました。
ロフトワークの皆さんとは、定期的に何度もミーティングを重ねることで、本学の取り組みについて理解を深めていただくとともに、大学側のスタッフも十分説明できていなかった点や言語化できていなかった点など多くの気づきを得ることができました。その結果、「10の問いからみるSONODAの学び」というコンテンツが生まれ、高校生の目線にたって「経験値教育」の良さを発信できたのではないかと思っております。”
園田学園女子大学 企画運営部 部長 人間教育学部 教授 大江 篤
“園田学園女子大学さまは、私の地元(淀川区)からも近く、非常に親近感を抱いて担当できました!地元民として抱いていた学校のイメージはまさに、“スポーツ”。しかし、実際に学校関係者のみなさまとお打ち合わせの時間を設けてもらったことで、リニューアルで伝えたい想いや実情の部分をしっかりと汲み取ることができました。その際、基さんが学校案内などもしてくださり、生徒さんや学校全体の雰囲気まで感じられたことも印象的です。“知っている”からこそ、ユーザー側の気持ちも汲み取れるし、“知れた”からこそ、さらに発展できたのだと思います。園田学園女子大学さまや学生のみなさまにも、いいなと感じていただければ何よりです。”
株式会社Rockaku コピーライター 中尾 奈津子
“(本当に偶然だったのですが)園田は実家から一番近い大学で、個人的にも思い入れの強いプロジェクトでした。小さいころから見てきた印象と、実際に訪問して感じた印象のギャップを伝えたい!そんな私の思いをクリエイターの方々が丁寧に表現してくださり、大学のもつ「ありのままの空気」を感じられるサイトになったのではないかと思います。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 基 真理子
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