求められるのは、「なぜ?」と問い続ける姿勢。
「Loftwork OPEN OFFICE vol.7」レポート
ロフトワークは何をしている会社で、どんな人が働いているのか――。
一緒に働くことに興味がある方向けのイベント、「Loftwork OPEN OFFICE」を8/7に開催しました。多種多様なプロジェクトからロフトワークの実像を紹介。様々な話題が飛び交った中から、プロジェクトメンバーのトークセッションの一部をレポートします。
テキスト=西村 隆ノ介
大切なのは、俯瞰して見ることと素直な姿勢
──業界未経験で入社する人も多いロフトワーク。プロデューサーの浅見 和彦、Layout Unit ディレクターの松本 亮平も異業種から転職してきたメンバーです。
浅見 僕は前職ではインテリア雑貨の営業をしていました。そこで“形あるモノを売る”ということを一通り学んだので、次はWebや動画など、形のないモノの世界を知りたいと思い、ロフトワークに入社しました。
僕が最近担当しているもので、NEWVIEWというプロジェクトがあります。誰でもVRコンテンツをつくれるツール「STYLY」を開発したPsychic VR Lab社からの、「ユーザーを増やすための取り組みがしたい」という依頼が始まりでした。
STYLYは誰でも簡単に、無料で、しかもブラウザ上でVRコンテンツをつくることができるサービスなのですが、VRはファッションやカルチャーやアートの文脈がまだ弱くて、ゲームやエンタメが多いんです。だから、VR未経験でも良いのでファッションやアートなどの文脈のクリエイターに使っていただきたいという思いがありました。
そこで、ロフトワークが持っている世界中のFabCafeをプロジェクトメンバーで回って、共感してくれそうなクリエイターさんに声をかけながら、少しずつ仲間を増やしていきました。
ロフトワークには「何か新しいことをしたいけど、どうしたらいいのかわからない」というお問い合わせが多くあります。「これをつくってください」という依頼ではないので、良い意味で我々も模索しながら、クライアントの本当の課題を探りながら、つくるべきものをつくれているか、俯瞰して見る姿勢を大事にしています。プロデューサーとして、クライアントとディレクターのどちらにも肩入れしすぎないことは、ユーザー視点を持ち続けるために重要なスキルかもしれないですね。
──メーカーで家具の販売をしていたという松本は、入社面接でのエピソードが社内でも話題に。
松本 面接でもっと自分のことをわかってもらおうと思って、フリップ芸のように紙芝居をつくって自己紹介をしたんです。そうしたら代表の諏訪に気に入ってもらえて、その場で内定をもらいました(笑)。
──入社してから約2年後のWebのディレクションにも慣れた頃、立教大学のサイトにおける英語ページなどの横展開を担当。膨大な情報を整理し、足繁く大学に通い、丁寧にコミュニケーションをとりながらクライアントと信頼を築いていきました。
松本 当たり前ではありますが、泥臭く素直な姿勢で取り組んでこそ、自分の色を出すことが徐々にできることを、身を以て学びました。僕はWebのディレクションをすることがプロジェクトマネジメントを一番勉強できると思っていて、立教大学のプロジェクトでは改めてとても鍛えられました。すでに先輩が全体のWebリニューアルを担当していたので、同じデザインや世界観を踏襲した上で英語ページを新たにつくるなど、得意な英語スキルも活かしながら、横展開を進めました。
横のつながりと柔軟なコミュニケーションで多様なアウトプットを生み出す
──木島は、Webだけでなくロフトワークに最近増えてきた「アワード」を担当。大学を卒業後、ロフトワークが1社目のディレクターです。
木島 私は美大で絵を描いていて、最初は就活をしませんでした。卒業後しばらくして就職を考えていた時に、友人から面白い会社があるよと教えられてロフトワークに興味を持ちました。社会人経験がない中で入社してすぐはアルバイトでしたが、正社員登用選考を受けて今に至る、という経緯です。
私はWebサイトや紙媒体などの制作を多く担当していますが、最近は「アワード」のプロジェクトも増えました。去年担当していたYouFab Global Creative Awardsは、2012年からFabCafeが開催している、デジタルとフィジカルなものづくりの連携から生まれた作品を世界中のクリエイターから広く集めるアワードです。
私はWebサイトをつくるところから、募集期間中のイベント実施、募集終了後から結果発表までのフローや審査会の設計、審査合宿、情報発信や展示会などアワードプロジェクトの一連に運営チームとしてコミットしました。
松本 これまで何年もやっていて多くの人が関わるプロジェクトだと思うのですが、進め方で悩んだことはありましたか?
木島 2017年のYouFabにプロジェクトメンバーとして入ったのですが、情報共有で困ったことはあまりありません。社内で定期的にMTGをおこなって情報共有をしていましたし、ディレクターごとに得意分野も異なるのでわからないことがあれば聞くことができるフレキシブルな横のつながりがあります。
様々な種類の仕事が詰まっている複雑なプロジェクトでも、コミュニケーションや設計(プロジェクトデザイン)次第でスムーズに進められるのは、ロフトワークの環境もあると思います。
浅見 ロフトワークは、プロジェクトメンバーそれぞれが同じ方向に向かって進むために「なぜおこなうのか」という前提から整理し、認識に齟齬が起きないよう情報共有を丁寧にする会社です。それは、クライアントに対しても社内のプロデューサーやディレクターも同様。お互い相談しあいながらコミュニケーションをとることを大事にしています。
ロフトワークで働くために大切なこと
──神野は、新卒入社のメンバー。入社数日前にロフトワークにコンタクトを取ったそう。
神野 大学で専攻していたデザインリサーチに今後も取り組むことを考えた時、その活動をイメージしやすいのはロフトワークかもしれないという思いはありました。でも、ロフトワークは新卒採用をやっているようには見えないし、就職活動では一般的な新卒一括採用を実施している企業を受けていました。
たまたま、大学の卒業式直後の3月下旬に、自分が所属していた研究室の院生がFabCafe MTRLで展示を開催していました。それを見にきてみたら、「やっぱりロフトワークで働きたい」という気持ちが爆発してしまったんです(笑)。
──中途採用と新卒一括採用を分けることなく通年採用をおこなっているロフトワーク。部署や職種はありますが、固定のポジションに合う人を採用するというよりも、ご縁のあった方とお互いにできそうなことが思い描けた時に、仲間になっていただくことが多くあります。
神野 私が得意とするデザインリサーチは、物事が起こっているユーザーの生活圏内に実際に赴き、彼らがどういう生活をしていて、何を喜びとしているのか、何を不安としているのかなどを明らかにしていくものです。彼らの声や行動から潜在的なニーズを考え、クライアントを巻き込みながらプロジェクトを形にしていきます。
たとえば、高齢者は一般的には生産人口ではないと言われていますが、そもそも生産人口という言葉は使い手の目線でしかありません。実際に80歳のおじいちゃんや90歳のおばあちゃんに会って話を聞くと、まだまだ新しいことを学んでいたり、挑戦していたりする。渋谷のオフィスにいるだけではわからない情報を得ることができるんです。
「なぜ?」と問い続けることは、ロフトワーク全体に求められている姿勢だと思います。その時のトレンドに合わせて進めるのではなく、クライアントに対しては「本当にそれだけの予算をかける必要はありますか?」とか、社内でも「なんであの人のプロジェクトはいつもスムーズなんだろう」など、自分で問いを持つこと、納得するまで物事に向き合うスタンスは、ロフトワークで働く上で必須だと感じます。
松本 そうやって深く掘り下げて考え、アウトプットがWebに限らないクリティブ全般を手がけるからこそ、ロフトワークはWebのプロジェクトが主軸ながらも、“Webディレクター”ではなく“ディレクター”の集団なのだと思います。
──イベントはメンバー同士のかけ合いにより、終始和やかな雰囲気で進行していきました。参加者とロフトワークメンバーがグループに分かれてトークする後半のセクションでは、参加者からの質問も飛び交い、最初は緊張していた参加者のみなさんもイベントが終わる頃には笑顔で隣に座った方同士で話をしていたのが印象的でした。
外から見ただけではわからないロフトワークを知る「Loftwork OPEN OFFICE」。次回開催もどうぞお楽しみに。
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イベント開催概要
Loftwork OPEN OFFICE vol.7