大学選びの新しい体験をデザイン
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学問の中身で選ぶ大学選びへ。大学選びの「質」をアップデートする。
スマートフォン、タブレットなどの閲覧環境の変化や、受験生や、在学生、教職員向け情報の混在など前回のリニューアルから、7年が経過した立教大学のWebサイトは様々な課題を抱えていました。
このような状況を改善するために、立教大学の広報課では、ただ単にサイトをリニューアルするのではなく、大学広報のミッションの再定義も含め、いま一度、大学サイトのあるべき姿を再編集したいと考え、ロフトワークとのリニューアルプロジェクトがスタートしました。
何をゴールにし、何を作るべきかを決めるにあたり、学内各部門へのヒアリングやフィールド調査、各種分析、さらにターゲット周辺へのインタビューなど、3ヶ月に及ぶ徹底的なリサーチを実施。見えてきたのは、高校生には理解しにくい情報を一方的に発信している大学と、大学をどう選んでいいのか分からず、偏差値や知名度などで意志のない選択をしてしまっている高校生の姿でした。
そこで、プロジェクトのミッションを、「大学を選択するという体験の質の向上」と定め、さまざまなアイデアの検討を開始。情報があふれ選択が難しい時代において、どうすれば「大学を選択する」という体験を、より良いものにできるのか。立教大学が数年後にあるべき姿を模索しながらのプロジェクトとなりました。
リニューアルから5年。その成果を探るセミナーアーカイブ動画が公開中!
本事例で紹介している、リニューアルから5年。サイトの刷新による「実際の成果」とは、どのようなものだったのか。
8月3日に開催したオンラインセミナー、「立教大学 Webサイトリニューアルの成果を紐解く 時代変化に強いサイトへ導く「コンセプト」の重要性」のアーカイブ動画を公開中です。
大学選びの新しい体験づくりを目指したリニューアルが、どのような定量的・定性的な成果につながったのか。リニューアルを成功に導いた「機能するコンセプト」とその分析のポイントとは。リニューアル・成果リサーチを担当したディレクターと、立教大学広報部の担当者が徹底解説します。
Outputs
Webサイト
立教大学 公式サイト
リニューアル方針策定書
立教大学のWebサイトリニューアルに向けて、これからの時代に求められる大学Webサイトのあるべき姿を、業界動向の分析はもちろん、学内ヒアリングや大学構内でのフィールドワークからコンセプト抽出のワークショップまで、数々のリサーチプロセスを経て検討し、再定義をした内容をドキュメント化しています。
コンセプトグラフィックの制作
アカデミックで洗練された立教大学の印象を直感的に感じられるデザインを目指し、いきなりWebデザインを制作するのではなく、カラーリングや文字の印象、写真の使い方など、全体の世界観を規定するためのコンセプトグラフィックとして4種類のリーフレットを開発。それらを元にWebサイトのデザインへと展開することで強度の高いビジュアルアイデンテティを構築しました。
WebサイトビルダーXPRSを利用したプロトタイプ作成
スマートフォンやPCの実機で体験できるモックアップのサイトを作成し、掲載記事のテストライティングや使用する写真のイメージを検討。Webサイトビルダー(XPRS)を活用することで、スピーディーなモックアップ制作を実現しました。
四季折々のキャンパスの空気を伝えるシーズンムービーの制作
言葉や写真だけでは表現しきれない大学内の空気感を伝えるため、各シーズンごとの動画を撮影し、トップページに掲載。リアリティにこだわり、全て実際の大学生活で撮影されたノンフィクションの日常風景で構成されています。
全学科分のコンテンツ再設計とライティング
「経済学」と「経営学」の違いすらはっきりしない高校生に対して、いかに分かりやすく学問の魅力を伝え、興味のスイッチを刺激するか。ポイントになったのは、さまざまなキーワードから複数の学科にアプローチできる仕組みと、プロトタイプの制作時から丁寧に行われた、言葉の精査。さらに、各学科の意外な研究領域を紹介するコラムを設けるなど、多角的な視点で学びの魅力にふれることができるコンテンツを設計しています。
Impact
ページリニューアルにより資料請求数が66%増加
2019年1月発行の「大学時報 No.384」にて本プロジェクトが紹介されました。リニューアルから1年の効果として、次のような変化が挙げられています。
- 学部・研究科ページのページビュー(以下PV)数が29.8%増加
- 資料請求のページPV数が69.3%増加
- 資料請求数が65.9%増加
- 平均セッション率(1回のサイト訪問における滞在時間の平均)22%増加
- 直帰率10%低下
上記の効果を踏まえて、レポートの中でも、”メインターゲットである受験生の満足度は高くなったと判断でき、コンセプトの「『大学を選択する』という体験の質を向上させる」に合致したリニューアルができたと考えている”との評価をいただき、当初意図した設計が成果に繋がりました。
Member
メンバーズボイス
“2016年の本学ウェブサイトへのアクセスのうち、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末からのアクセスが約70%を占めていました。したがって、デザインだけでなく文章量についても、スマートフォンで見た時に最適なものどうか、という視点で検討しました。また、今回のリニューアルをきっかけに、学内者向けサイト(SPIRIT)との情報の住み分けを実施。メインターゲットである受験生や学外の方が閲覧した際に見たい情報にすぐたどり着けるよう、情報量やリンク数を絞るなど導線の設計を行いました。単純なサイト移行ではなく、各部局と調整しながらページの統合や分割などを多く行う複雑な移行作業であったことから、ニュースなど一部ページを除き、大部分の移行作業を学内で行いました。”
立教大学広報課
“大学を選ぶことは、やはり、自分が学びたいことを選ぶことなのだと思います。何が知りたいのか、何をおもしろいと思ったのか。そういう、自分の興味との出会いが進路を選ぶきっかけになるはずだし、そのきっかけを最初に与えてくれた大学こそが、その人の志望校になるはずだという考えがありました。事前のアンケートでは、「自分で立教大学を選んだ」という学生は、在学中の満足度が非常に高いのに対して、「人から勧められて選んだ」という学生の満足度は低いというデータがありました。だから、少しでも自分で選んだという自覚を持って欲しかったし、それができれば、大学選びの質だけでなく、その後の4年間の質も高めることができるのではないかと考えました。”
ロフトワーク京都ブランチ事業責任者 寺井 翔茉
“「サイトリニューアルを見据えて、そろそろ準備を始めたい」と、最初にご相談をいただいたのは、公開希望日より1年半以上も前のタイミングでした。 上流工程を丁寧に行うべく、早めに動き出してくださったおかげで、ユーザー体験のデザインに注力したサイト設計と、最適なチーム体制の構築が適ったと考えております。 また、自ら大量のデータ移行作業を行うご担当様の姿には胸を打たれました。(作業現場は見ていないので、想像ですが) これからも一緒に良いモノを作りましょう。”
ロフトワーク プロデューサー 石田 真里
“テクニカルディレクターとして、技術面からのデザイン・コーディングのレビューとCMSの仕様設計を担当しました。 立教大学サイトでは、学部・学科単位で細分化されたカラーパターンやリソースが各所に使われています。学部の新設などの際に運用側で簡単にカラースキームに基づく設定を追加できるよう、管理部分の設計は自由度と制約のバランスについて検討を重ねました。 今回は、コンテンツ担当チームのレビュー作業に関わったり、普段とは少し違う関わり方のプロジェクトでした。それぞれのメンバーがこだわり抜いて制作したコンテンツは、大学での「可能性」を感じさせる内容になっていて見応えがあり、学部ページや研究コラムのレビューをしながら、私自身何度も「高校生の頃にこんな大学サイトが見たかった…」とこぼしていたのが印象に残っています。”
ロフトワーク テクニカルディレクター 村田 真純
Contact
大学のブランディングを支援いたします
大学の特徴や、教育・研究の質、実績を適切かつ魅力的に伝えることは簡単ではありません。ロフトワークでは様々な手法を駆使して、丁寧にそれぞれの大学の価値を言語化していきます。Webサイトのリニューアルはもちろん、映像やコンテンツ、大学案内など様々なメディアを起用した大学のブランディングを支援いたします。
リサーチ〜CMSの選定までロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方
プロジェクトの全体感をつかみ、戦略と戦術に落とし込むことで、Webプロジェクトの「成功のすがた」を描きます。
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