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実本 慶子 2018.09.28

PM歴7年目の私がPMBOK®︎を学び直し、PMPを取得しました。

こんにちは、ロフトワークの実本です。
「プロジェクトマネジメント」という言葉に惹かれて入社し、気がついたら7年経っていましたが、変わらず楽しく仕事に向かう毎日です。しかし入社以前は、業務システム開発やWebサイト構築に携わっていましたが、当時は正直、プロジェクトは常に遅延し炎上とは縁をきれないものだと思っていました。プロジェクトを成功にまでリードできるPMって天才か魔法使いかと。

PMP試験を受けました

ロフトワークは15年以上前から、プロジェクトマネジメントに、グローバルな知識体系「PMBOK®」のフレームワークを積極的に取り入れてきました。2008年には書籍『Webプロジェクトマネジメント標準』(社内通称、「紫本」)が出版されていますが、これは私にとっても入社以来のバイブル的存在であり、いまでも傍らにおき、様々な場面で参照しています。

一方、ビジネス環境の変化やテクノロジーの進化に伴い、私たちが取り組むプロジェクトは多様化・複雑化し、成功の難易度は高まっています。従来のプロジェクトマネジメントの技法のみでは、成功の道筋が描きづらくなっているのも確かです。

ロフトワークでプロジェクトマネージャー(以後、PM)として7年、そしてクリエイティブディレクターからマーケティングへジョブチェンジした節目の年、私は改めてプロジェクトマネジメントの価値に向き合ってみようと、PMBOK®を学び直すとともに、PMI本部が主催するプロジェクトマネジメントの国際資格、PMPの試験を受験しました。
そして合格しまして、ロフトワークで4人目のPMPホルダー(*1)となりました。
(*1) 現時点での保有者は入谷と私の2名です。

PMBOK®を学び、PMPを取得する効用

PMBOK®がPMPに求めるものは、プロジェクトの成功に向けてマネジメントの方法論をテーラリング(*2)できること。
ちなみにPMP試験では、PMBOK®に書かれていることそのものより、その知識をある場面でどう適用できるかということを4時間200問、怒涛のごとく問われ続けます。終了後は大量のクリティカルなトラブル処理を行った後のような心地よい疲れ(笑)に襲われます。
(*2)組織が規定するプロジェクトマネジメントのプロセスや開発標準などを、規模や特性にあわせて手直しし、実用的なプロジェクト標準としてカスタマイズすること。tailor(=服の仕立て)に由来。

PMBOK®には、プロジェクトをテーラリングするためのツールと技法がその適用場面やポイントとともに紹介されています。これらは版を重ねるたびにアップデートされています。(この記事を書いた2018年9月時点での最新は、2017年9月にリリースされた第6版です。)

ロフトワークもプロジェクトごとに様々なチャレンジをし知見を蓄積しているものの、そこで得られるものは手がけたプロジェクトの範囲のものでしかありません。PMBOK®を学ぶことで、そのギャップを埋めていくことができました。
また、PMBOK®第6版ではアジャイル型で進めるプロジェクトや新たな実務慣行にも対応していますが、ロフトワークの実践がまさにそれだ、と確認することも少なくありません。

2日間の集中アイディエーション。集めてきたインプットに対し、プロジェクトメンバー全員で実施すべき施策のアイデアを出す。
本質的な議論をスピーディに行えるステークホルダー合宿形式の要求事項収集も、ロフトワークらしい進め方。(京都市観光協会 Webサイトリニューアルより)

数ヶ月の集中学習を通して、プロジェクトマネジメント方法論のグローバル基準をキャッチアップし、これを実プロジェクトに適用できることは、クリエイティブな課題解決を目指す私たちのプロジェクトの質を高めるものだと実感しました。「プロマネ」というと、まだまだ単なる「管理手法」と思われがちでしょう。でもその実態は、事業価値を高めるためにプロジェクトを成功させる、ということへの意識が高く、ポジティブで前向きな武器です。それこそPMBOK®を学ぶ価値であり、テーラリングできるスキルを持っているという主観的・客観的な評価を得られることがPMPを取得する効用ではないかと思います。

PMのコンピテンシーと次のチャレンジ

「PMI タレント・トライアングル」というフレームワークがあります。PMは、「テクニカル・プロジェクトマネジメント」「リーダーシップ」そして「戦略的およびビジネスのマネジメント」の3つのスキルセットをバランスよく持ち合わせている必要がある、というPMのコンピテンシーを表すものです。

ロフトワークの強みは、このトライアングルをおさえている点だと思いますが、3つのいずれも、過去の経験だけに頼らず、絶えずブラッシュアップされていくべきものです。特に「戦略的およびビジネスのマネジメント」のスキルにおいて、ロフトワークはいくつかのプロジェクトで提供しているものの、紫本でWebサイト構築のPMナレッジを集約したような体系化については、引き続き手がけていきたい領域です。
私自身、マーケティングとしてロフトワークそのものの戦略やビジネスを考える立場でいるので、他社のみなさんともナレッジシェアをさせていただくなど、積極的に取り組みたいと思っています。

さいごに

紫本が書かれて10年、ロフトワークのプロジェクトマネジメントナレッジは進化し続けています。
PMPとして引き続き、プロジェクトマネジメントに関するあれこれを発信してゆければと思ってます。(もちろん私だけでなく、メンバーからの発信を増やすこと含めて、です。)

そして、そんなロフトワークで働いてみたい、というメンバーも随時募集中です!

実本 慶子

Author実本 慶子(経営企画, CIO)

大手SI・Web制作会社・ロフトワークでプロジェクトマネジメントに携わり、シニアディレクターも務める。2018年にキャリアチェンジしマーケティングに異動、2020年より経営企画、2022年よりCIO。週3日の朝ランの他、週末はゴルフ、サイクリング、東京近郊のトレッキング、三線(八重山民謡)、お酒とのペアリングを意識した料理を楽しむ。16personalities=論理学者(INTP-T)。京都大学卒(法学)。PMI認定PMP®。Asanaアンバサダー。

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